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【第44回日本アカデミー賞】 授賞式レポート!『Fukushima 50』が 最優秀監督賞など 6 部⾨受賞! 松坂桃李、新人賞受賞者たちにエールも!

【 第44 回 ⽇本アカデミー賞 】

「Fukushima 50」が 最優秀監督賞など 6 部⾨受賞
最優秀作品賞: 「ミッドナイトスワン」
最優秀監督賞: 若松節朗「Fukushima 50」
最優秀主演⼥優賞: ⻑澤 まさみ「MOTHER マザー」
最優秀主演男優賞: 草彅 剛「ミッドナイトスワン」
最優秀助演⼥優賞: ⿊⽊ 華「浅⽥家︕」
最優秀助演優賞: 渡辺 謙「Fukushima 50」

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本年度の日本映画界を締めくくる「第44回 日本アカデミー賞 授賞式」が、2021年3⽉19⽇(⾦)、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールにて開催された。12部⾨12賞で優秀賞を受賞した「Fukushima 50」が、今回の授賞式で、最優秀賞監督賞をはじめ最優秀美術賞や最優秀録⾳賞など、スタッフ関連の賞を中⼼に計6部⾨で最優秀賞を獲得した。

昨年の授賞式は初の無観客開催となったが、今年は会場を2つに分けて密を避けるなど万全の感染症対策を講じた上で、観客が来場して開催。授賞式の幕開けを告げるレッドカーペットでは、会場に集まった観客からの盛⼤な拍⼿で迎えられた受賞者たちが、晴れやかにまた緊張の⾯持ちで応えていた。

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授賞式は、シム・ウンギョン(昨年「新聞記者」で最優秀主演⼥優賞受賞)と⽻⿃慎⼀が司会を務め、各部⾨の最優秀受賞者および最優秀作品などを発表。司会初挑戦というシム・ウンギョンは「かなり今緊張しておりますが、今⽇頑張ります。⽇本語も頑張りますが、もし少し間違ってしまったら、優しい⽬で⾒てくださったら」と意気込みを語っていたが、羽鳥との息の合ったやりとりで多彩な受賞者が揃う式典を進⾏していった。

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●助演男優賞  プレゼンター:⻑澤まさみ(昨年「キングダム」で最優秀助演⼥優賞受賞)
「罪の声」から宇野祥平、星野源の2 名が優秀賞を受賞した助演男優賞。「Fukushima 50」で受賞した渡辺謙は、⾃⾝のクランクインの際にエキストラも含めた約100 名の出演者に対して、「今現在、福島でも原発事故で苦しんでらっしゃる⽅もいるし、そのことで命を落とされた⽅もたくさんいらっしゃるんだということを背負いきれないにしても、そういう思いをこの映画にぶつけていこう(⼀部抜粋)」と伝えたエピソードを披露した。

最優秀賞は渡辺謙が受賞。主演では、第30 回の「明⽇の記憶」、第33 回の「沈まぬ太陽」で最優秀の受賞経験があるが、助演での最優秀賞受賞は初。受賞スピーチでは、「 “福島の⼒”を、(最優秀受賞者に贈られる)このブロンズに込めていただけたんだなと思っております。福島の皆さん、とりあえず取りましたんで、どこか飾ってもらえるところに寄贈したいなと思います」と福島へ向けてメッセージを送った。

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●助演⼥優賞 プレゼンター: 吉沢亮(昨年「キングダム」で最優秀助演男優賞受賞)
「男はつらいよ おかえり 寅さん」で23 年ぶりに⼥優に復帰した後藤久美⼦、19 年ぶりの授賞式参加となる安⽥成美たちが揃った優秀助演⼥優賞。「⼀度も撃ってません」で受賞した桃井かおりは、ロサンゼルスの⾃宅からのリモート参加となった。

最優秀賞は、「浅⽥家︕」の⿊⽊華が受賞。⿊⽊にとって3 度⽬の最優秀助演⼥優賞受賞になる(過去2 回は、第38 回「⼩さいおうち」と第39 回「⺟と暮せば」)。⿊⽊は、「周りがピリピリした空気の中で、映画を⾒に⾏けるようになってから⾊々な映画を⾒に⾏き、私は救われました。改めて映画や舞台などのありがたみや⼤事さに気づきました。撮影もどんどんできるようになり、いろいろな⼈に会えるということの幸せをすごく今噛みしめています」とコロナ禍の⽣活の中であらためて感じた映画への思いを伝えた。

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●話題賞 プレゼンター: 星野源(昨年「引っ越し⼤名︕」で話題賞受賞)
ニッポン放送で募集された話題賞は、俳優部⾨を「罪の声」の⼩栗旬、作品部⾨を「劇場版「⻤滅の刃」無限列⾞編」がそれぞれ受賞。
⼩栗は「とてつもなく⼤きな話題の作品のとなりに、ちょっと⼩ぶりな⼩栗旬ですが」とおどけながらも、「こんな状況の中少しでも、誰かに寄り添って、勇気や元気や楽しい時間を提供できているところに⾃分という存在がもしいるんだったら、そんなうれしいことはないなと思っております」と感謝の気持ちを伝えた。

「⻤滅の刃」で作品部⾨を受賞したアニプレックスの岩上敦宏氏は、「この1 年間を振り返るとですね、(賞を)受け取った私が⾔うのも変かもしれませんけど、話題賞にふさわしい作品だったんじゃないかなとそう思っております」と、社会現象にもなった作品を称えた。また本作は、最優秀アニメーション作品賞も受賞した。

●会⻑功労賞
永年にわたり多⼤なる貢献と顕著な実績をしるした映画⼈に対し与えられる「会⻑功労賞」は、⽯原まき⼦さん、⼩⼭明⼦さん、鈴⽊達夫さん、前⽥⽶造さん、吉⾏和⼦さんに贈られた。受賞者の中から、会場には吉⾏さんが駆けつけ、吉⾏さんがステージに登場する際には、受賞者をはじめとする会場の皆が誰からともなく⽴ち上がり⼤きな拍⼿で偉⼤なる先輩映画⼈に深い敬意と感謝の意を伝えた。

「びっくりいたしました。⻑くやってまいすけど、チャンスをいただけた⽅のおかげだと感謝しています。現場にいる時が⼀番元気ですので、どうかよろしくお願い致します(⼀部抜粋)」と謙虚に挨拶するその姿に、若い受賞者たちはあらためて感銘を受けていた。

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●新⼈俳優賞 プレゼンター: 松坂桃李(昨年「新聞記者」で最優秀主演男優賞受賞)
これまで受賞した俳優はその後も「主演」「助演」で再び⽇本アカデミー賞を受賞するなど、各⽅⾯で活躍を続けられていることもあり、これからの映画界を担うことが期待される「新⼈俳優賞」。本年は、服部 樹咲、蒔⽥彩珠、森七菜、岡⽥健史、奥平⼤兼、永瀬廉の6 名が受賞した。岡⽥が、野球経験者らしく元プロ野球選⼿の落合博満⽒の名⾔を引⽤して挨拶する姿を、ドラマで共演経験のある星野源が笑顔で⾒守るシーンもあった。

プレゼンターを務めた松坂桃李は「僕⾃⾝も10 年前にこの賞をいただいて、もっと頑張ろう、またここに来れるように頑張ろうと、そんな⾝が引き締まる時間だったんです。この仕事は本当に出会いとか別れとかが連続でたくさんある仕事だと思います。みなさんと現場で再会できることを望んでおります(⼀部抜粋)」とエールを送り、その⾔葉ひとつひとつを6 名は真剣な⾯持ちで受けて⽌めていた。

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●主演男優賞 プレゼンター: シム・ウンギョン(昨年「新聞記者」で最優秀主演⼥優賞受賞)
⽇本アカデミー賞初受賞の⼩栗旬と草彅剛、対象的に複数回の受賞歴を持つ菅⽥将暉(今回で5 度⽬)、佐藤浩市(今回で13 回⽬)、⼆宮和也(今回で3 度⽬)が揃った主演男優賞。

最優秀賞は、「ミッドナイトスワン」で⺟性が芽⽣えるトランスジェンダーという難しい役を演じきった草彅剛が獲得した。⾃⾝の受賞を全く予想していなかった様⼦で、スピーチの⼀⾔⽬の「いや、あの、まじっすか」には、驚きと⼾惑いがあふれていた。「慎吾ちゃんとか吾郎さんとか本当に近い⼈たちが⽀えてくれて、今⽇ここの舞台に⽴てたんだなと思って嬉しいです。⼀⼈⼀⼈の⼈⽣がよりよく⾃由に全うできるようなそんな作品作りと⼈との関わりの中で、これからも⾃分の⼈⽣を全うしていきたいと思います(⼀部抜粋)」と⼈柄がうかがえる⾔葉で受賞の喜びを伝えた。

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●主演⼥優賞 プレゼンター: 松坂桃李(昨年「新聞記者」で最優秀主演男優賞受賞)
受賞者の披露するエピソードトークも授賞式の楽しみひとつだが、とりわけトークに花が咲いたのが主演⼥優賞。司会のシムは、昨年の授賞式後に⻑澤まさみから「おめでとうございます」と最優秀主演⼥優賞受賞を祝福された際に、緊張のあまり「すみません」としか返せなかったエピソードを披露し、⻑澤も「覚えています」と笑顔で返した。

「男はつらいよ お帰り 寅さん」で受賞した倍賞千恵⼦は、撮影で訪れた葛飾柴⼜で⾃⾝が演じた役「さくら」の銅像の前で演技をすることになった思い出を、「どうしたらいいんでしょう。どうぞう教えて」と冗談を交えながら語ってくれた。倍賞の授賞式参加は34 年ぶりとなり、⽇本アカデミー賞の歴史と伝統を感じさせる受賞となった。

最優秀賞は、⻑澤まさみが受賞(対象作品:「MOTHER マザー」)。最優秀助演⼥優賞は2 回受賞しているが(第28 回「世界の中⼼で、愛を叫ぶ」、第43 回「キングダム」)、主演での最優秀賞受賞は初となった。
⻑澤は壇上に上がると、声を詰まらせながら、「本当にたくさんの⽅に⽀えられなければ、映画づくりはできないんだなと、去年、⾝に沁みて感じました。きっと本当は作りたかった映画も、去年、作れなかった⼈たちもたくさんいると思います。そして映画も公開できず、先延ばしになっている⼈たちもたくさんいると思います」と、感染症拡⼤という中で⼤きな影響を受けた映画界の⽅々を思いやるメッセージを涙まじりに伝えた。最後には、「これからも誠実に映画づくりに向き合って、がんばっていきたいなというふうに思います」と、これからの決意を⼒強く語った。

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●作品賞 プレゼンター: 島⾕能成 ⽇本アカデミー賞協会会⻑
授賞式最後の発表となる作品賞。最優秀賞には、「ミッドナイトスワン」が輝き、俳優とスタッフの皆様が喜びとともに驚きの表情で登壇した。
草彅剛は、最優秀主演男優賞を獲得した際と同じく、冒頭で「マジかって感じですね」とコメント。そして「あきらめずに⼀歩ずつ進んでいけば、奇跡は起こるんだ(⼀部抜粋)」と続けた。服部樹咲は、初めて演技に挑戦した今作品について、「映画館に⾜を運んでくださった⽅々やSNS などで盛り上げてくださった⽅などに感謝の気持ちでいっぱいです」と感謝を伝えた。
内⽥英⼆監督は、「スタッフと役者そしてやっぱり観客、観客があってこそのやっぱり映画なんだと思いました」と語り、スタッフとキャストが全員が同じ⽅向を向いて作り上げた作品ということ、コロナ禍で、劇場に⾜を運んでくださった観客の皆さんの眼差しは本当にやさしくて、尊いものだったと実感していることが、それぞれのコメントからも伝わった。

©️日本アカデミー賞協会
公式サイト:https://www.japan-academy-prize.jp

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【第44回日本アカデミー賞】
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