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マルシア インタビュー ~地球ゴージャスプロデュース公演 Vol.14 『The Love Bugs』~

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結成から21年。Vol.14をむかえた「地球ゴージャス」の2016年の公演は『The Love Bugs』。
虫を主人公にした小さな世界で繰り広げられる「命」と「愛」の物語―

圧倒的な歌唱力と一瞬で劇場を支配する存在感を持つマルシアが、その『The Love Bugs』に出演する。
数多くのミュージカル作品に出演してきたマルシアの舞台への想い、そして『The Love Bugs』への意気込みを聞いた。

―マルシアさんが抱く「地球ゴージャス」のイメージは?出演することになって如何ですか?
「地球ゴージャス」のイメージはパワフル!私が出演できるなんて、想像もできなかったですし、私でいいのでしょうか…と思いましたが、なんでも経験ですから、やるからには「地球ゴージャスの血を吸っちゃうぞ!」くらいの気持ちで臨みます!

―製作発表では、マルシアさんに「盛り上げ番町」と声がかかっていましたね。
いえいえ、違いますよ(笑)。岸谷さんも寺脇さんもお優しいんです。一瞬で人を心地よく包んで下さる。ふたりのマジックですよ。だから「地球ゴージャス」は21年も続いているのだと思いましたね。今回の大成功は、もう始まっている気がします。

―舞台はカンパニーが大切というお話が製作発表でも出ました。
カンパニーの仲の良さ、一体感はすごく大切です。1つの物を作りあげるわけですから。

―舞台のカンパニーはとても濃い時間を過ごす仲間だと思いますが、そのカンパニーを良くするために、マルシアさんが心がけていらっしゃることはありますか?
すべての時間が当り前なのではない、当り前の仕事などない。今、このキャスト、スタッフがいるのが当り前じゃなくて、ひとつの奇跡だと思います。同じメンバーがまたいつか同じように集まることはすごく難しいですよね。だから毎日「今日もありがとう」という気持ちでいます。役を作るとか、自分にできることは尽くして、最後はスタッフに感謝、お客さまに感謝ですね。今できることをしっかりとやりながら、感謝の気持ち…ですね。

―長いキャリアを積み重ねてこられた秘訣も、そこにあるのかもしれませんね。
いえ、毎回教えられることがいっぱいです。自分の未熟さ、器の小ささを思い知らされて、いっぱいいっぱいになってパニックになりそうなこともよくありますよ。本当に…。でも最終的にはお客さまのために。それしかないです。お客さまがいなかったら何もできない。

―そこに喜びもある?
そうです。みなさんの拍手ひとつ。それが生きがいです。お手紙を頂いたり、ツイッター読んだり…ですね。それが心の栄養になり、「やっててよかった」と思えて「次、がんばろう」「明日また、がんばろう」となるのです。それがすべてですよ。

―観劇後にマルシアさんにファンレターを送っていいのですね?
是非是非下さい!私の心のエネルギーは、栄養はそれだけです。みなさんのお手紙やツイッター。それに励まされます。

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―今回も岸谷さんが『The Love Bugs』でもマルシアさんの役を「重い役です」と紹介されていました。『ファントム』も『青い種子は太陽の中にある』でも個性がはっきりしたキャラクターで、肉体的にも精神的にも大変ではないかと思います。
毎回死ぬかもしれないと思います。冗談ですけど(笑)、そのくらいの気持ちで尽くしています。役が大きい、小さいではなく、役も生きているからには1つの魂、1つのエネルギーを持って生きているのだと思います。毎回、稽古でゼロからその役を、魂を作って、生かして育てていきます。そして役に求められている魂や生命力、エネルギーをしっかりお伝えしたいと思っています。だから毎回、全力で走っている気がします。でも、そうでないと自分が納得できないのです。毎日どんな時間も尽くしきりたいです。そのくらいミュージカルをエンターテイメントを愛しています。そのために生まれてきたならば、そのために日本にきているならば、しっかりとやらせて頂きたいと思っています。
そして…千秋楽になると「ちゃんとこの役を生かしてあげられたかな」と考えますね。千秋楽の重み…千秋楽の空しさ、寂しさ、悲しさ…千秋楽の重みでその役を自分がどう尽くしたかが分かります。千秋楽までは役を生きているから、よく分からないのですが、千秋楽には考えます。

―演じながらも役は成長していくのですか?
役も生きているので、子供が育つように、初日以降に勝手に育つ場合もありますけれど、初日で役は完成させてあげたい。妊婦さんであれば、初日が出産です(笑)。役を1人の魂、人間として作りあげて、すべて初日に出し切っています。お客さまがパズルの最後のピースですから、初日にお客さまが入ってからのエネルギーを頂いての完成です。

―今回は岸谷さんが「重い役です」とおっしゃっていましたし、シングルキャストで3カ月の公演。
(小声で)どうなるでしょう。体力や健康維持がとても必要ですね。でもスケジュール的には1日1回公演が多いので、考えて下さっています。

―マルシアさんの秘訣は?
良く食べ、良く寝ること。正しい生活のパターンを作ることです。稽古から本番になると、だいたいペースができてきます。あとは運動でしょうかね。やはり汗かくことが大事です。筋肉トレーニングとかした方がいいですね。

―普段からされているんですか?
自分なりに家で1時間位、しっかり汗かきます。私はダンスが好きなので、筋トレしながら、後は踊っています。すごく汗をかきます。大事なのは筋肉を動かすことです。

―体力あってこそ心のエネルギーも生まれてくるんですね。
もちろんです。健康じゃないと舞台は務まらないし、お客さんに伝えることができないです。こなしちゃダメです。こなしてしまいそうになる場合もあります。長い仕事の時には危険な落とし穴がある場合もあります。慣れは絶対にダメです。

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―今回は虫というテーマですが…
テーマによって、日頃の生活で目に入ってくるものが違ってきます。最近は自然と虫が目に入ります。昨日も家で蜘蛛を見つけて「なぜ、そんな足の動かし方をするの?」「同じ所をまた通るの?」と思いながらじっと見てしまいました。そして「私はもうこの『The Love Bugs』の世界に入り始めたんだなぁと思いました。
私の今回の役は明確な名前や種類はないらしいので「私が考えてクリエイティブに作ればいいかなぁ。いいんですよね、それで」と岸谷さんに聞いたら、「それもいいかなぁ」という答えでした。私がどんな昆虫をもってくるかで岸谷さんのやり方が変わってかもしれない。なので、いろいろチャレンジしながら魂を作りたいと思います。
世界中を旅している昆虫らしいので、ということは「パワフルで、死ななかったわけだ」と考えながらマルシアの昆虫プロファイルを作っていきます。「どういうルートでこの国に行ったのか」もしっかり作りたいですね。

―昆虫で世界を旅するのはなかなか…
ないはずですよね。いろんな体験をしているはずですよね。そんな体験を彼女の魂の中に吹き込んでいきたいと思います。

―ブラジルの親善大使をされているマルシアさんが演じる虫ですから、ブラジルにはいたことがある虫ですね?
たぶん長い間いたと思います(笑)。そのあたりは岸谷さんとコミニュケーションして、台本見ながら細かく作っていきたいと思っています。

―見えない部分にたくさんのストーリーを持ってでてくるのですね。
それが歌になり台詞になり、表現の中にエネルギーに込められていくと思います。私はそうやって作っていきます。とても細かく作っていきます。
でも今回は2日間のお話なので

―えっ!
みんなが集まる2日間なのです。意味があるんですよ。私たちにも宿命や運命があると思いますけれど、虫にもあるわけですよ。1年生きる昆虫もいれば、何日という虫もいる。みんな与えられた命、時間もバラバラなのです。その命や愛の大切さは共通しているのだとお客さまに感じて頂けたらと思います。必死に生きるとか。昆虫だって必死に生きている。もしかしたら私たちより人間より必死に生きている。危険なものがたくさんあるから。人間にも危険がありますけれど、昆虫たちや動物たちの方が、危険はずっとたくさんあって、細胞の中にまで入っているから、そういうところも表現できたらいいなぁと思っています。

―迫りくるものがありそうですね!
そこで昆虫はしゃべれないけれど、私たちが代わりに舞台の上で表現するわけですね。面白いと思います。

―ダンスでも表現して?
今回の私の勝負どころは静かな場面のような感じがしています。岸谷さんがどう持ってくるか、わからないんですけど。もっと広いところにいるかもしれない。ちょっとマリア様のような…。そんな感じがしますね。まだ台本も見てないのですけど。

―虫の世界が舞台とは、観客は興味津々で劇場に来ますね。
たぶんセットもすごくて、劇場に足を踏み入れたら別世界に旅に行けるような気がしますよ。わずか2~3時間ですが、昆虫の世界を一緒に体験しましょうよ。

―アミューズメントパークに行くような気分になってきました。
そうです、貴重な体験だと思いますよ。私たちも最高のエンターテイメントをお届けしたいと思います。

―ありがとうございました。
ありがとうございました。観に来て、絶対感想聞かせて下さいね!

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マルシア(まるしあ)
1969年2月14日生まれ。ブラジル出身。
1989年「ふりむけばヨコハマ」で歌手デビュー。数々の新人賞を獲得、NHK紅白歌合戦にも出場。
以後、バラエティーなどでマルチに活躍するほか、圧倒的な歌唱力を活かしてミュージカル『ファントム』『ブラッドブラザース』『ガランチード』や音楽劇『青い種子は太陽のなかにある』など多数出演。
2015年「日ブラジル外交関係樹立120周年」親善大使に就任。

~STORY~
私達の世界のすぐ隣には、誰も知らない小さな世界が存在する。
もちろん、私達にも見えてはいるけれど、
それがこれ程までに魅力に満ちた不可思議な世界だとは誰も知らない。
ある夜。
何かに引き込まれて群がる無数の影が揺らめく。
突如、大きなヘッドライトに照らされ現れしその正体は、奇想天外、奇抜な姿に彩られた凛々しき紳士淑女たち。
……そう、今夜は100 年に一度…1000 年に一度の特別な夜。
一族の予選を勝ち抜いた、種の誇りを背負った代表たちが集う、伝説の祭典が始まった。
誰もが憧れる孤高のスター、
涙を知らぬ男殺しの美女、
光り輝く気弱な少年、
そして初めて大人の世界を知る唄と生きる少女。
怪しい振付師や
世界を股にかけた謎の女、
そして祭典の中目覚めてしまったひとつの魂まで加わって、カーニバルは大騒ぎ。
しかしその喧噪の中では、「宿命」に翻弄されるひとつの恋が密かに密かに芽生えていた…。
この物語は、人間の住む世界の隣の「小さな世界」から人間たちに向けて贈る、命と愛のお話です。

地球ゴージャスプロデュース公演Vol.14
『The Love Bugs』
作・演出:岸谷五朗
出演:城田 優 蘭寿とむ 大原櫻子 平間壮一 マルシア/岸谷五朗・寺脇康文 他

【東京公演】
日程:2016年1月9日(土)~2月24日(水)
会場:赤坂ACTシアター
チケット:S席¥12,000.- / A席¥9,500.- /B席¥8,500.-(全席指定・税込)
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【地方公演】
<名古屋>愛知県芸術劇場 大ホール 2016年3月1日(火)~3月3日(木)
<福岡>福岡サンパレス 2016年3月11日(金)~3月13日(日)
<大阪>フェスティバルホール 2016年3月19日(土)~3月29日(火)