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タクフェスー春のコメディ祭!『わらいのまち』 宅間孝行 インタビュー「これまで知らなかった楽しい世界が、ここにはある」

笑いと涙で感動を呼ぶ作品を送り出してきた宅間孝行主宰「タクフェス」が、この春、笑いをメインに据えて新シリーズを始動させる。

そのシリーズ第一作は、「暗転なし」「転換なし」「ノンストップ」の爆笑コメディ『わらいのまち』。
寂れた田舎の温泉旅館「まつばら」を舞台に、町おこしのためのインベントをめぐって奔走する「まつばら」の面々と、彼らを取り巻く人々を温かなユーモアあふれるまなざしで描く宅間の原点とでもいうべき作品だ。

今回の出演は、「まつばら」に久々に帰ってくるトラブルメーカーの長男に宅間孝行、「まつばら」を切り盛りする主人の次男に永井大、調理場を担う三男に柄本時生。そして前回2011年の本作に出演して以来、タクフェス『晩餐』『くちづけ』と出演している柴田理恵と、舞台出演は2度目となる鈴木杏樹が共に仲居を演じるという豪華さ。

筆者も前回2011年上演の『わらいのまち』を観たのだが、全編声をたてて笑いまくり、そしてぐっと涙腺を刺激された。
6年ぶり再演となる『わらいのまち』は、どうなるのか?宅間孝行を訪ねた。

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―タクフェスが新始動なのですね?
2017年というのが、1997年に劇団を旗揚げして丸20年。20年間、かたちは変わっていますが、エンターティメントの、ステージの世界で食べていけている。これはお客様が来て下さらないと続かないものです。最近はタクフェスとして年1回秋にやっていましたが、もっとエンターティメントを提供させて頂きたい…感謝を込めて…と思っている時に、関西テレビさんにお声をかけて頂きました。切ないものも人気があって、それは秋に、そして加えて春にはコメディを、シリーズとして立ち上げていけたらいいなぁ…と考えています。

―宅間さんの『歌姫』そしてこの『わらいのまち』を拝見して「宅間さんは関西の方かな?」と思ったのです。脚本にも大阪弁があったり…。でもそうではないと知って驚きました。
『歌姫』でも関西だと思われましたか?昔、舞台でちょっと関西弁の台詞を書いた時には(大阪出身の)板尾(創路)さんからも言われましたし、1本全編関西弁のドラマを作った時にも、関西人だと思われましたよ。

―やっぱり、関西人だと思われていたんですね (笑)。さて、今回も豪華キャストですね。
柴田理惠さんは前回も仲居・くにゑ役で出て頂いて、この役はどうしても自分がやりたいとのことで、本公演の直後にWAHAHA本舗の公演が控えているのに、スケジュールをはめ込んでくれました。
鈴木杏樹さんは、昔からずっと作品を見て下さっていて、長い知り合いなのですが、舞台には出演されない方だと思っていました。ところが一昨年、舞台(『Walk oN』2015)に出演されてとても素敵だったんです。「近い将来、ご一緒できたら」なんて話もしていて、実現しました。
永井大は、以前に1本(『夕』2008年)出てくれて、ポテンシャルが高いと思ったので、また芝居でがっつりやりたいと思っていました。それに彼は非常に頭の回転がはやい。頭が良い男なので、コメディに向いているんじゃないかと思っています。
柄本時生くんとは、今回が初めてです。おもしろそうで楽しみにしています。

―宅間さん、永井さんと辻本さん、尾関さんと拝見して、BS時代劇「新選組血風録」を思い出したのですが…。
あ~、そうですね。実は(辻本)祐樹と尾関は、オーディションなんです。まさに「新選組血風録」で知り合って、公演を観に来てくれたり、仲良くしているので、ずっと心では応援しているのですが、今回は普通にオーディションを受けてくれて、えこひいきなしに良かった人を選んだら、彼らだったんです。
タクフェスではいい人と出会いたくて毎年オーディションをやっています。名前が知れている方で頑張ってくださったら、華やかにもなりますからお願いすることもあるんですが、期待したほどでもないときには、それでもやって頂こう…にはならないんです。基本的に本当に良いと思った人だけにお願いしています。
なので、僕だけじゃなくプロデューサーとも「辻本さん、素晴らしかった」と意見が一致して「じゃ、是非お願いしましょう」となった。尾関もそうです。

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―では、また出演して頂く柴田理恵さんの素晴らしさとは?
『わらいのまち』の初演は、もう15~6年前。芝居では食べていけない俳優たちが集まって小劇場で芝居をやっていた頃で、「例えば、このおばさん役は柴田理恵さんみたいな」と言ってやっていたんです。
前回の『わらいのまち』で初めて柴田さんとご一緒させて頂く前に、僕が柴田さんに抱いていたイメージや雰囲気は〈仲居のくにゑ〉という役のままでしたけど、柴田さんご本人については、バラエティ番組などで拝見していると女優というよりタレントという感じだったんです。
ところが、稽古初日の柴田さんを見て、役者として作品へのアプローチの仕方が素晴らしかった。「この人でいける!」と思った覚えがあります。俳優として、心を裸にする、開放することは、できるようでなかなかできないこと。特に映像だけやってきている女優さんは、「きれいならいい」で済んでしまってきた場合もある。
でも舞台は人としてのプライドを引っぺがす作業も必要だったりするんです。単に素っ裸になるというようなことではなくて、家族の前ならできることが、人前、それも舞台の上ではできない。それでも一ヶ月稽古して一緒に過ごしていくとできるようになったりもするのですが、柴田さんは最初からできる。女優さんとして、本当に素晴らしいです。
以来『晩餐』『くちづけ』にも出演して頂いているんですが、ものすごく良い女優さんなんです!それはまだ世間にちゃんと認識されてないと思います。

―座組みとしても、柴田効果はすごいんでしょうか?
今回も「柴田さんにそこまでやられちゃあ・・・」って、若手たちもなるでしょうね。柴田さんのひっぱり方…ひっぱってないのですが、結果的にひっぱっている。本当に存在が大きい。こちらが「そこまでやらなくても」って言っちゃう。

―演出家は楽だったりしますか?
楽です!「ここまでやって欲しい」と思っていることを、軽く超えてやってもらえる。それが稽古初日からでしたから。

―『わらいのまち』は再演を重ねる名作です。だから初めての人はもちろん「前にも観た」という方にもオススメできるポイントは、他にもありますか?
改めて考えると…そうですねぇ。キャストがほとんど変わっていますから、俳優さんたちに合わせて稽古場で作っていくので自然と以前とは変わっていくと思います。
そして、タクフェスは純粋なエンターティメントとして芝居以外の部分で、お客様とどう関わることができるかを大切にしています。「劇場に入った瞬間から、ワクワクできることがずっと続いているといいな」と思っているので、開演前にイベントのようなことをやったり、終わった後に発表会をやったり、お客様からリクエストをきいて、僕らがその場でできることはやっていこうと思っています。
「ライブを楽しむ」という気持ちで来て頂けるといいなぁと思っています。

―お芝居の中でアドリブも楽しいですよね。それはいつ考えておられるのですか?
稽古中に「ここはアドリブパート」と決めている部分はありますし、その日のいろいろな状況でふったりふらなかったりというところもあります。
公演中に何回も観に来て下さるお客さまもいらっしゃるので、日々いろいろ変えていきますし、純粋に物語を良くするために変えていくこともあります。

―では、最後にメッセージをお願いします。
僕も芝居を始める前は音楽をやっていましたが、その頃は演劇に対してのアレルギーがありました。「小難しいんじゃないか」「観に行っても、分からないだろう」と演劇に退屈で堅苦しいイメージを持っている方もいらっしゃると思うのですが、タクフェスは退屈や堅苦しさをとっぱらいたい。純粋に「ライブやエンターティメントとして楽しいんだ」ということをお伝えしたいと思います。
さらに今回はコメディなので、芝居や演劇に縁遠かった方も入りやすい作品だと思います。「これまで知らなかった楽しい世界が、ここにはある」と思います。ちょっとひっかかる何かを感じたら、ぜひ遊びに来て頂きたいと思います。お待ちしております。

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宅間孝行
1970年7月17日、東京都生まれ。タクフェス主宰。俳優・脚本家・演出家。
97年、劇団「東京セレソン」を旗揚げ。01年「東京セレソンデラックス」と改名するのを機に、主宰・作・演出・主演として活動。12年12月に劇団を解散。13年、「タクフェス」を立ち上げる。役者としてドラマや映画に多数出演する一方、脚本・演出家としても活動。(2009年まではサタケミキオ名にて活動)主な脚本作品には「花より男子」シリーズ(05/07/08/TBS)、「スマイル」(09/TBS)などを手掛ける。また、劇団作品の映像化としては、ドラマ「歌姫」(07/TBS)、「間違われちゃった男」(13/CX)、映画「くちづけ」など数多い。2008年『同窓会』では初監督・脚本・主演を務め、近年の映画『全員、片想い』内の短編「サムシングブルー」(16)では監督・脚本を務めた。

タクフェス春のコメディ祭!「わらいのまち」
作・演出 宅間孝行
出演 宅間孝行 永井大 柄本時生
辻本祐樹 尾関伸嗣 佐藤祐基 松本若菜 橋本真実
岡本玲 土 平ドンペイ 冨永竜 ブル えまおゆう
柴田理恵 鈴木杏樹
公式HP http://takufes.jp/warainomachi/
公式Twitter  @TAKU_FES_JAPAN

●東京公演2017年3月30日(木)~4月12日(水)全15回公演
■会場:東京グローブ座(東京都新宿区百人町3-1-2)
■入場料金:S席8,000円/A席6,000円/B席5,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
■お問い合わせ:サンライズプロモーション東京0570-00-3337(10:00~18:00)

●名古屋公演 2017年4月14日(金)~4月16日(日)全4回公演
■会場:中日劇場(愛知県名古屋市中区栄4-1-1中日ビル9F)
■入場料金:1F席8,000円/2F席7,500円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
■お問い合わせ:東海テレビ放送事業部052-954-1107(平日10:00~18:00)

●兵庫公演 2017年4月18日(火)~4月23日(日)全7回公演
■会場:兵庫県立芸術文化センター阪急中ホール(兵庫県西宮市高松町2-22)
■入場料金:8,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可
■お問い合わせ:芸術文化センターチケットオフィス0798-68-0255(10:00~17:00月曜休み※祝日の場合翌日)