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七之助、猿之助、幸四郎、中車『八月納涼歌舞伎』見どころ どっさり 納涼を楽しんで

夏恒例の歌舞伎座8月公演『八月納涼歌舞伎』8月9日(金)に初日を迎える。
初日に先立ち、8月7日に出演者揃っての囲み取材と、第一部の『伽羅先代萩』がマスコミに公開された。

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中村七之助 市川猿之助 松本幸四郎 中村扇雀 坂東彌十郎 市川中車

平成2年(1990年)に十八世中村勘三郎(当時 五代目勘九郎)と十世坂東三津五郎(当時 八十助)を中心に始まった『納涼歌舞伎』。
今年の『納涼歌舞伎』も、豪華俳優が楽しい多彩な演目を上演する。
第一部【伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)】【闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり】 :仙台藩のお家騒動を題材にした時代物と化け物が次々登場する舞踊。【伽羅先代萩】では、七之助が忠義を尽くす乳人政岡を、幸四郎が憎き大敵弾正を演じる。中村勘九郎の二人の息子・長三郎と勘太郎が、叔父の七之助と共に大役を演じる。
第二部【東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひあくりげ)】 :市川猿之助の喜多八と松本幸四郎の弥次郎兵衛が巻き起こす珍道中。今年も幸四郎の息子・市川染五郎と市川中車の息子・市川團子、七之助と中車も出演。猿之助と幸四郎の宙乗りもあり、新しい趣向を凝らした驚きの作品。
第三部【新版雪之丞変化(しんばんゆきのじょうへんげ)】 :三上於菟吉作の『雪之丞変化』を、坂東玉三郎がストーリー構成、演出を見直し、玉三郎自身が復讐に燃える美しき雪之丞を演じる。市川中車が、盗賊闇太朗はじめ五役に挑む。

【囲み取材】

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中村七之助:亡き三津五郎のおじ様と父が立ち上げて、私も学校がありましたので、歌舞伎に出られるのは8月のみで、父と大切な方との思い出がつまった大切な8月の納涼歌舞伎、令和初めての納涼歌舞伎に出演させて頂けるのは嬉しく思っております。
(共演する勘九郎の二人の息子については?)私が自分のことでいっぱいいっぱいなんですが、今日扮装をして二人の顔が初めて見えた時に、父親のことを思い出して久しぶりにグッときました。2人一緒に舞台に立つのは初舞台以来なので、そして1時間弱3人だけ芝居をしているという空間がとても…(「飯炊き」の)作法のことでいっぱいいっぱいなのですが、どこかで嬉しくもあり、父がいたらどう思うのかなと思いながら、今日はつとめました。
見ている方はちゃんと見ていらっしゃるので、作法はとても厳しく玉三郎様に教えて頂きました。「その時代には、その釜はなかった」というご指摘を受けて、玉三郎のおじさまは、ちゃんと釜を買いました。今使っていますが、あまりにも高価なものなので、僕は手が震えてしまいます。いろいろな面で勉強させて頂いているお役です。

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市川猿之助:うちはだいたい7月で、8月に出ることがなかったので、いまだになんとなく慣れないといいながら4年も出して頂きました。やじきた(『東海道中膝栗毛』)が、今回で本当に終わりになりますので、そういう意味で最後の弥次喜多をやり遂げたいと思います。

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松本幸四郎 :やじきたをこうして毎年やることができ、それも今回が最後。最後らしくお祭り騒ぎになるといいなと。そして8月の歌舞伎座は、納涼歌舞伎。やっている方もいつもと違う。そういう納涼らしさを皆さんに味わっていただけるようにしたいと思います。
(息子の成長を問われて)身長は20センチ以上は違うので、成長しているとは思います。(役者としての成長は?)美少年と言われてしますが、僕も美少年と言われていたので、それも併せて思い出して頂きたいです。(笑)

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中村扇雀:僕は亡くなったお兄さんたちと最初の頃から作っていました。歌舞伎座にもいろいろありますが、これに出させて頂くことは、若い力がどんどん育って来て、自分たちも若かったころを思い出して、みんなに負けないようにと思います。納涼は古典もあり、新作もあり。納涼を楽しみに来て下さるお客様が本当に喜んでくださるような内容になっています。僕は今回は一部古典・舞踊にでるだけですが、若い子も育って、「観に来てよかったな」と思って頂ける良い舞台に皆と作りあげたいと思っています。

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坂東彌十郎:納涼歌舞伎は、やはり特別な思いがあります。始まる前には8月はやってなかった。その頃僕はまだ猿之助さん、今の市川猿翁さんの元で勉強していましたが、勘三郎さんは(納涼歌舞伎を)おやりになると、夜中に楽屋でお会いして、そのお話を聞いて「いいなぁ」と思いました。数年後から出させていただけるようになって、いろいろ勉強させて頂く納涼歌舞伎です。まだまだ勉強させて頂くつもりでしがみついておりますので、一部だけの出演ですが、どうぞよろしくお願い致します。納涼を楽しんで頂きたいです。

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市川中車:またここにこうして立たせて頂いて、一年が経ってしまったなという思いです。今年は二部、三部にださせて頂きまして、二部には染五郎さん共々、うちの息子も一年ぶりにふたりで揃って出させて頂きますので、子供たちがどれだけ大きくなったか、知って頂く良い機会になっていると思います。三部については、非常に新しい試みに挑戦されていまして、演出も含めま見たことがない舞台になっていくと思います。
(三部では五役に挑戦するとのことですが?)大変です。僕の限界を超えているので、なんとかやります。

この日、マスコミに初日通り舞台稽古が公開されたのは、第一部【伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)】(仙台藩のお家騒動を題材にした時代物)。

『伽羅先代萩』左から、一子千松=中村勘太郎、乳人政岡=中村七之助、鶴千代=中村長三郎

一子千松(中村勘太郎)  乳人政岡(中村七之助) 鶴千代(中村長三郎)

乳人政岡はその子千松と、御家横領を企む執権仁木弾正から幼き君主・鶴千代を守るため、御殿の奥で若君のために尽くす日々。

『伽羅先代萩』乳人政岡=中村七之助
見どころの一つは、政岡が茶道のお点前でご飯を炊く「飯炊き(ままたき)」
七之助が「手が震える」と言った高価な釜がこれ。

『伽羅先代萩』左から、乳人政岡=中村七之助、鶴千代=中村長三郎、八汐=松本幸四郎、一子千松=中村勘太郎、栄御前=中村扇雀
左から乳人政岡(中村七之助) 鶴千代(中村長三郎) 八汐(松本幸四郎)一子千松(中村勘太郎)栄御前(中村扇雀)

栄御前の持参した毒入りの菓子を、鶴千代に代わり口にしたのは千松。
毒殺発覚を隠すため、八汐は懐剣で千松をなぶり殺しにする。

『伽羅先代萩』仁木弾正=松本幸四郎
迫力あふれる大敵の仁木弾正(松本幸四郎)
弾正が妖術を使っての変化もお見逃しなく。

母と忠義の狭間で苦しむ政岡、邪気あふれる八汐・妖気迫る弾正演じる幸四郎。幼いながら立派に勤め上げる勘太郎・長三郎の二人の姿。
さらには、荒獅子男之助(坂東巳之助)の大迫力の登場も嬉しい。

『八月納涼歌舞伎』は、歌舞伎座にて8月27日(火)まで上演。

公式HP  : https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/625