Open Close

「目から鱗が落ちる瞬間を共有したい」 ミュージカル『日本の歴史』 川平慈英 インタビュー 

舞台はもとよりドラマ・映画と縦横無尽の活躍をする三谷幸喜が、2018年12月上演の新作舞台で、卑弥呼から太平洋戦争まで1700年に渡る物語をミュージカルにする。
歴史を駆け巡る登場人物は、なんと50名以上。それをたったの7名のキャストで演じるという。

題してミュージカル『日本の歴史』。

IMG_0393

話題沸騰となったこの作品の栄えあるキャストのひとり、川平慈英さんが、本作の台本を手にして間もなくというタイミングでインタビューに応えてくれた。
さてさて、今度はどんな三谷マジックが仕掛けられているのか? ちょっと明かして頂きましょう。

―本作のオファーを受けられた時というのは・・・?
この7人のキャストに入れたのは、とても光栄ですごく嬉しかったです。近年、三谷さんとは『ショーガール』でがっぷり四つに組ませて頂いていましたが、こうした複数キャストのミュージカルに呼んで頂くのは『TALK LIKE SINGING』(2009年)以来、久しぶり。また三谷さんといろいろワイワイできるのは楽しみです。

―共演されるのは、中井貴一さん、 香取慎吾さん、 新納慎也さん、シルビア・グラブさん、 宮澤エマさん、 秋元才加さんですね。
新納くん(新納慎也)と慎吾ちゃん(香取慎吾)とは『TALK LIKE SINGING』で、シルビア(シルビア・グラブ)とは『ショーガール』で一緒にやりました。宮澤エマさんと秋元才加さんとは初めてですが、なんといっても(中井)貴一さんとミュージカルができるのが、本当に嬉しいです。貴一さんはご一緒した『趣味の部屋』(2015年)の時も、ウォーミングアップで♪「トゥモロー」(ミュージカル『アニー』より)を歌ったりされていました。めちゃくちゃ上手いんですよ! 

―中井さんが、歌がお上手だったとは、存知あげませんでした。
と~ってもいい声です。大尊敬する先輩であり、僕は貴一さんファンです!

―共演された時に、中井さんの魅力を体感されたんですね?
そう、何をやってもど~んと受け止めてくださる方です。でも「ミュージカルは怖いよ」とおっしゃる。貴一さんがミュージカルの世界に挑戦して下さるのは嬉しいです。小日向(文世)さんや温水(洋一)さんが『オケピ!』に入って下さった時とは、また違った感動です。僕が言うのも失礼ですが、「中井さん、オファーを受けてくださって、ありがとうございます!」と思っています。
実は今回、僕は貴一さんと二人のシーン、貴一&慈英のシーンがあるんです。台本読んでいる時から心躍りました。どんな場面になるのか、自分はなんとなく想像がつきましたけれど、貴一さんを想像しようとしただけで吹き出しちゃいました。

―それは三谷さんもいろいろお考えがありそうですね。
中井さんをどう料理するか、きっと考えておられるでしょう。小日向さんにジェラシーを感じさせようとしていますよ。(一同爆笑)

IMG_0362

―そして今回は7人で50役以上とか。
一人7役8役、多い方は10役超える人もいるんじゃないかな。「僕がこの役⁈ 大丈夫かな?」と思う役がありますし、他の人でも「わぁ、大変だぁ」という役があります。台本読みながら、「あ~、これかぁ!」って叫んでばかりですから。
一旦幕が開いたら、楽屋には戻れないで舞台袖で早替えですね。衣装にセット、照明…ひねりの効いた総合芸術を創ると思います。オリジナルミュージカルを生む苦しみは、もう大変です。でも役者が楽にできる芝居は、観ていても面白くないでしょう。悪戦苦闘して七転八倒して苦悩して苦悩して産み出した役でないとね。
三谷さんも稽古場で俳優を追い込んで追い込んで、出てきたものを喜ぶ感じがあります。楽にしていると、すぐ次の無理難題を出して来る。俳優も追い詰められてパワーが倍増することもありますし、今回はそういうメンバーだと思うので、しっかりやらせて頂きたいです。

―今回の音楽は?
僕もまだ台本を読んだばかりなので、言い切っちゃって大丈夫かな…とも思いますが、これまでの三谷&荻野清子タッグとは違う気がします。セリフから歌へ…だったのが、セリフを歌にしている。これまでとは逆パターンみたいな感じがします。音楽にしても、とてもチャレンジングなもの。「三谷さん、こういう引き出しもあったんだ」「ずっとこういうこと考えていたんだ」と初めて見る三谷ワールド、誰も知らなかった三谷幸喜じゃないかと思います。楽しみにして頂きたいです。

―ミュージカルですから踊りも?
もちろん踊りますよ!そこはミュージカルでしかできないマジックをお見せしたいです。最初に振付けされたときには振付家を憎たらしく思った踊りが、本番では「なぜ、この踊りがきつかったんだろう」と思うくらいにまでなる。そうすると、すごく良いものになります。でも、できれば苦労したくないなぁ~(笑)。

―観客には歴史に詳しい方、歴史は苦手という方、いろいろいらっしゃると思いますが。
三谷さんのことですから「この役をここでこの人でやるの⁈」という気持ちの良い裏切りや、日本の歴史についてもお客様に楽しんでもらえる裏切りがいっぱい散りばめられていますよ。「やられた!」「これかぁ~」という裏切られる快感を体感してもらいたいです。
歴史好きの方を取りこんで飲みこむぐらいのエンターティメントになると思いますし、そして是非、歴史が苦手な人や興味がない方にも観て欲しいです。

―子供が観ても大丈夫ですか?
OKですよ。分かりやすいかもしれません。知識がなくても、役者の身振り手振り・役作りやストーリー展開に引きつけられます。親子でも観て欲しいですね。機会があれば、海外でもやりたいですし、全国公演もしたい。故郷の沖縄には是非とも行きたいです。DVDになったら、学校でも見て欲しいです。

―では最後に…。
これはひょっとすると日本のミュージカル史のエポックメイキングになる作品だと思います。三谷さんはずっとこういうことをやりたかったのだと思いますし、素材にその力があります。そうできるかは、僕たちの奮闘にかかっていますね。
とにかく、今回は僕等も非常に苦労すること、間違いないと思います。役者のわがままは一切ない。渾身の作品を見に来て下さい。目から鱗が落ちる瞬間を共有したいです。

チラシ表のコピー

ミュージカル『日本の歴史 』
作・演出:三谷幸喜
音楽:荻野清子
出 演 :
中井貴一 香取慎吾 新納慎也 川平慈英
シルビア・グラブ 宮澤エマ 秋元才加

組み画像_三谷幸喜新作ミュージカル

【東京公演】 2018年 12月 4日(火) ~ 12月 28日(金)
世田谷パブリックシアター
問い合わせ:シス・カンパニー 03-5423-5906

【大阪公演】 2019年 1 月 6日(日) ~ 1 月 13日(日)
梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ
問い合わせ:大阪公演事務局 0570-004-555
http://www.siscompany.com/mitani/