映画『いのちスケッチ』の完成披露試写会が、10月31日、東京・聖路加国際大学の日野原ホールにて行われ、主演の佐藤寛太（劇団EXILE）、共演の藤本泉と瀬木直貴監督が舞台挨拶に登壇した。
本作は、福岡県大牟田市に実存する動物福祉に特化した動物園を舞台に、漫画家になる夢を諦めて帰京した青年が、ひょんなことから動物園の飼育員になり、動物たちや周りの人間と触れ合うなか成長していく姿を描く、ヒューマンストーリー。延命動物園に務めることとなった主人公の青年・田中亮太役を佐藤、獣医師・石井彩役を藤本が演じ、そのほか、武田鉄矢、渡辺美佐子、浅田美代子など実力派俳優が脇を固める。
舞台となった大牟田市でのロケを楽しそうに振り返る3人。藤本は「本当にお世話になりました。地元の方に何から何まで協力していただいて･･･」と感謝の気持ちを述べ、「炊き出しでは名産の“だご汁”が美味しかったです」と懐かしそうに振り返ると、佐藤は「僕はカレーライスが美味しかったです！ 作ってくれる家によって味も違うし」とワンパクな笑顔を見せる。撮影の半年前から現地に住んでいたという監督は、「僕は自転車で現場まで行っていました」と明かすと、「本当に地元の人たちに溶け込んでいましたよね」と佐藤。
映画が完成し、いよいよお披露目となったことについて、佐藤は「映画は観てくださる方がいて成り立つもの。（完成披露を迎え）やっと出来上がったんだなと」と感慨深げに話し、小さくピースサインを出した。
先日は先行して大牟田市で上映会が行われ、監督と佐藤が舞台挨拶に立ったが、佐藤は「客席を見渡すと、いろいろな年齢層のお客さんが来てくださっていて。（大牟田市の）街の皆さんが楽しみにしていてくださったんだなと、感動して胸がいっぱいになりました」としみじみ。
本作は福祉に特化した動物園の現状を描いているが、映画化のきっかけを瀬木監督は「地域にどのように処方箋をあてようか考えたんです。大牟田市はとても子供の出生率の高い街なので、子供がいれば動物園に行く。そして親もいくし、そのおじいちゃんやおばあちゃんもいくのでは？と考え、その10年、20年後の未来をつくる手助けができればと」と、明かした。
漫画家を目指す青年を演じた佐藤は役作りについて、「動物の飼育員にもなりますが、その前に絵を描くことを勉強しました」と吐露。「動物の絵を描くには、動物の骨格も知らないけることができて楽しかったです」とニッコリ。ちなみに、絵を描いているシーンは吹替えなしでこなしたという。
一方、藤本は「獣医師の方にも教えてもらいましたが、動物園の方々も色々教えてくださった。動物園の裏側を知ることができました」と充実感を滲ませる。
撮影時も動物にストレスを与えないように努力したと話す監督。「マイクの先についているフサフサもライオンにとっては猫じゃらしみたいになるんです。だから音を録らないようにしたりしました」と苦労を伝えた。続けて、「動物よりも人間のほうが猛獣でしたよ」と監督が言うと、佐藤も藤本も笑い転げ「明るすぎてすみません」と謝罪(笑)。現場では強い結束力が生まれたそうだが、佐藤は「武田さんが（現場で）CMにも出演されている、某ギネスに登録されたカップ麺を食べているんですよ。心の中で『本当に食べるんかい!』ってツッコミました(笑)」と言って会場の笑いを誘う場面も。
最後に、佐藤が「この映画は観る方のそれぞれの捉え方があると思います。水彩画のような淡い映画を楽しんでください」とメッセージを伝え、舞台挨拶を締めくくった。
映画『いのちスケッチ』
●ストーリー
東京で漫画家を目指し奮闘していた青年・田中亮太（佐藤寛太）は、自身の夢に限界を感じ故郷の福岡に帰ってきた。
実家に頼れず旧友の部屋に居候する亮太が紹介されたのは、地元の延命動物園でのアルバイト。園長の野田（武田鉄矢）や、獣医師の石井彩（藤本泉）らと働いていくうちに、亮太はここが動物の健康と幸せを第一に考える“動物福祉”に力を入れる、世界でも珍しい動物園であることを知り、理解していく。しかし、予算縮小で園の運営は危機的状況にあった。亮太はこの取り組みを自らの絵で伝えるために、もう一度漫画を描くことを決意する…。
出演：佐藤寛太、藤本泉、芹澤興人、須藤蓮、林田麻里、前野朋哉、塩野瑛久、大原梓、今田美桜（友情出演）、風間トオル、高杢禎彦、浅田美代子、渡辺美佐子／武田鉄矢
監督：瀬木直貴
脚本：作道雄
音楽：高山英丈
主題歌：Insheart「瞳の中のあなた」
配給：ブロードメディア・スタジオ
ⓒ2019「いのちスケッチ」製作委員会
公式サイト：http://inochisketch.com
11/15（金）ユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国公開
11/8（金）福岡県先行公開
