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竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』初日公演レポート

竹中直人と生瀬勝久の創作ユニット・竹生企画第四弾『マイクロバスと安定』が11/8(土)に下北沢・本多劇場にて開幕した。
初日公演レポート、作・演出・出演者コメントと舞台写真が届いた。東京公演は11月30日まで。
当日引換券販売中。当日券は毎公演開演1時間前より劇場にて販売される。
12月5日(金)〜7日(日)兵庫、10日(水)広島、13日(土)熊本、19日(金) 盛岡、21日(日)久慈、23日(火)青森、27日(土)長岡と全国を巡演する。

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本作は屈指の個性派俳優でありクリエイターの竹中直人と生瀬勝久が、作・演出に倉持裕を、ゲストに竹中と生瀬が舞台共演を望む旬の俳優たちを迎えてお届けする竹生企画の7年ぶりとなる第四弾。今回は 飯豊まりえ 戸塚純貴 サリngROCK 松浦りょう 浜野謙太を迎えた。

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舞台演出家・成清圭吾(竹中直人)の自宅兼稽古場に、疎遠だった旧知の戸張修一郎(生瀬勝久)とその娘・早帆(飯豊まりえ)が訪ねるところから物語は始まる。成清のもとで演出助手を務める井岡(戸塚純貴)、一人芝居の稽古をしている女優の真咲(サリngROCK)、隣に住む山野辺(浜野謙太)に怜奈(松浦りょう)と、人物が登場するたびに彼らが置かれている状況や立場、それぞれが抱える事情や心情、価値観の違いによる摩擦などが徐々に浮き彫りになっていく。

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まさに心理サスペンス劇を得意とする倉持の真骨頂、一つひとつ何かが明らかになるたびに心が動く。登場人物たちの心情が揺れるたび、観ている側の感情も揺さぶられる。現実的でもありSF要素もある本作、日常と非日常の狭間が絶妙だからこそ観る者を引き込むのだろう。台詞の言葉選びも巧みで、ふとしたひと言に心を掴まれる。ズレの可笑しさや笑いも清々しい。
その倉持が描く巧妙な世界を7名の出演者が丁寧に立ち上げたことにより、実に味わい深い絶品となった。

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ユニット誕生のきっかけとなった「竹中さんと二人芝居がしたい」という生瀬の願いを実現化した竹中と生瀬のシーンは、いつまでも観ていたいと思わせるほど心が躍り、多幸感に満たされる。役の心情を瞬間瞬間に目まぐるしく表現する竹中からはとにかく目が離せない。生瀬の重厚な演技からは時間の経過や関係性の変化など物語全体の動きまでもが伝わってくる。凜と立つ飯豊は実に鮮やか、場の空気をつくる。戸塚の映画やドラマとは趣の異なる繊細な演技は、観客に寄り添っているように感じられる。サリngROCKが演じる女優が放つ違和感が物語の中でスパイスとなり、観る者をより集中させる。ひときわ異彩を放つ松浦は目を引き、惹きつけられる。倉持作品を熟知している浜野は、物語に変化を与える重要な役割を軽やかに担っていて見事だ。
倉持の演出のもと、美術、照明、音響、衣裳、ヘアメイクをはじめとするスタッフワークで物語のリアルさが引き立つ。対して、時おり入る栗コーダーカルテットの音楽は現実と非現実の境を明確してくれるようで心地良く効果的。

2011年、2015年、2018年の東京公演は華やかな日比谷に位置するシアタークリエでの上演だったが、今回は下北沢にある本多劇場に移った。同じく「演劇の街」での上演ではあるが、場の変化が作品にも影響を与えたのかもしれない。竹生企画の公演を待ち望んでいた観客の期待に応えながら、今後のさらなる展開も予感させるような秀作。3週間の東京公演を経て、12月には兵庫・広島・熊本・盛岡・久慈・青森・長岡の7都市を巡演。緻密且つ観客の反応ひとつで変化する柔軟な本作は、上演を重ね、また劇場が変わることによって、生の舞台ならではの熟成や変容も楽しめるに違いない。

竹生企画第四弾 『マイクロバスと安定』
作・演出:倉持 裕
出演:竹中直人 生瀬勝久 飯豊まりえ 戸塚純貴 サリngROCK 松浦りょう 浜野謙太

東京公演:2025年11月8日(土)〜30日(日) 東京 下北沢 本多劇場
当日引換券の販売https://w.pia.jp/t/takenama4/
当日券は毎公演開演1時間前より劇場にて販売される。

2025年12月5日(金)〜7日(日) 兵庫 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
2025年12月10日(水) 広島 JMSアステールプラザ 大ホール
2025年12月13日(土) 熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール
2025年12月19日(金) 盛岡 トーサイクラシックホール岩手 大ホール
2025年12月21日(日) 久慈 久慈市文化会館アンバーホール 大ホール
2025年12月23日(火) 青森 リンクステーションホール青森 大ホール
2025年12月27日(土) 長岡 長岡市立劇場 大ホール