2025年11月7日(金)より東京・明治座にて、北山宏光主演で『醉いどれ天使』が幕を開けた。初日に先立ち、取材会が行われ、ゲネプロが公開された。
明治座での公演は11月23日(日)まで。その後、名古屋・御園座、大阪・新歌舞伎座にて上演される。

「醉いどれ天使」は、名匠・黒澤明と三船敏郎が初めてタッグを組んだ大ヒット映画。1948 年 4 月から約半年後、ほぼ同じキャストとスタッフが集結し、舞台作品として上演されたという記録が残っている。当時の映画界では、大規模な労働運動が起こり、窮状に陥っていた多くのスタッフや俳優達を救うために黒澤明を中心に劇団が編成され、全国巡業が催されたと言われている。近年偶然にも舞台台本が発見され、2021年に三池崇史演出で上演され好評を得た。今回は新たに深作健太を演出に迎え、キャストも一新しての25 年舞台版『醉いどれ天使』の上演となった。
三船敏郎が演じた闇市を支配する若いやくざ・松永役には北山宏光が挑む。脚本は2021年版に続き蓬莱竜太。
【取材会】

後)阪口珠美 横山由依 岡田結実
前)深作健太 渡辺大 北山宏光 大鶴義丹 佐藤仁美
演出の深作は「初めにこの作品のお話をいただいた時は大変なプレッシャーだった」としつつも「すごく満足のいく作品が出来上がりかけていると思います」と自信をのぞかせた。

北山:やっと初日を迎えられるという気持ちでありますが、深作さんからいただいた演出や、パズルがやっと今日全て揃っていくんじゃないかなと。その絵をお客さんに届けられる喜びをかみしめながら初日を迎えたいなと思っております。
ここまでエンタメ化して、ロックに演出されていて、こうなっていくんだという驚きはありました。セットひとつ一つにもこだわりがあり、そのセットからもちゃんとメッセージを受け取れる。そこにキャストが立つことで、さらに世界観の奥行きが広がる。そんな印象がとてもありました。観に来た方に楽しんでもらい、何かメッセージを受け取ってもらえる作品になっています。
この作品上での自分がこの板の上でカロリーを使うことによって、本気でやっていると、お客さんに伝わることもたくさんあると思うので。そこらへんも、実際にお客さんが入った時に空気感がどうなるか、ものすごく楽しみにしております。

渡辺大:チームワークに関しては、見ていただいているように、もう出来上がっているので、後はその思いを今日からぶつけていって、どんどん熟成していって大阪の千秋楽まで駆け抜けることを目標に頑張っていきたいと思います。
横山:いよいよ初日かという気持ちがすごく大きいんですけど、稽古場で深作さんが演出を作ってくださったものが、明治座さんの舞台に出て、照明や音響、いろんなものが揃ったタイミングで「あ、こういうことだったんだ」と、自分たちで見えてくるようなことがありましたので、それをお客様に届けるのがすごく楽しみです。
北山さんが「明治座さんの最前列がすごく近いね」とおっしゃっていたので、距離が近いと思いますので(目の前を指す北山)、しっかりと3階席のお客様までお届けできるように、千秋楽まで走り抜けていきたいと思います。
初舞台となる岡田:皆さんがおっしゃるように、初日を無事に迎えられたことを本当に心から嬉しく思います。深作さんと北山さんが目指す超超かっこいい世界がもう出来上がっていて、後はそれについていくのみだなと心から思っております。皆さんと最後まで駆け抜けられるように頑張ります。
私はもう、横山さんをすごく信頼をしていて、座長と横山さんのシーンを席で見ている時にこういうことがあるんだとか、すごく吸収することがありました。横山さんはシーンを終えて疲れているはずなのに、席についてすぐに質問したのに、涼しい顔で毎回優しく答えてくださる。横山さんがいなかったら私はこの初日を迎えられなかったと、本当に心から思っています。
阪口:この名作で歴史のある明治座さんに立たせていただけるということで、私にとって大きな挑戦だと思いますし、もうすでに共演者の皆さんや、深作さんからたくさんいろんなことを教えていただいて、毎日すごく吸収して、すごく素敵なお勉強をさせていただいております。頑張って奈々江の強さを存分に演じられるように頑張りますので、よろしくお願いします。
佐藤:この作品のメッセージが伝わればいいなと思うのと、男性陣の男臭さとセクシーさがふんだんに出ていると思うので、ぜひそこを見ていただければ。あとは最後まで長丁場なので、皆さん、健康に気を付けて最後まで駆け抜けたいと思います。

大鶴:私の演じる岡田は北山くん演じる松永を筆頭にみんなに迷惑をかけて戦っていきたいと思います。敵役なんですが、(北山が「裏だと優しいからね」)最強の敵役に徹したいと思います。
【ゲネプロ】横山由依・岡田結実はWキャストで、ゲネプロには横山が出演した。

闇市を支配する松永役・北山宏光
戦後の混乱期を身一つで成り上がろうという男たちの一人と思われた松永

毒舌で酒好きだが腕は確かな貧乏医師真田・渡辺大。

松永と偶然再会した同郷のぎん・横山由依(左)

松永の恋人奈々江・阪口珠美


真田の診療所に身を寄せる美代・佐藤仁美(左)
さまざまな人たちと関わる中で、松永の心のうちに抱えた重しが次第に明らかになっていく



兄貴分の岡田・大鶴義丹が出所してきたことで、松永は大きな転機を迎えることに。




深作の新鮮な舞台演出とアクションと会話劇の面白さが絡み合う、疾走感ある一幕65分 休憩30分 二幕60分。
『醉いどれ天使)』
【原作】 黒澤明 植草圭之助 【脚本】 蓬莱竜太 【演出】 深作健太
【出演】 北山宏光 / 渡辺 大 横山由依・岡田結実(Wキャスト) 阪口珠美 / 佐藤仁美 大鶴義丹
【東京公演】2025年11月7日(金)~23日(日)/明治座
【名古屋公演】2025年11月28日(金)~30日(日)/御園座
【大阪公演】2025年12月5日(金)~14日(日)/新歌舞伎座
【公式サイト】https://www.yoidoretenshi-stage.jp

















