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「こんなはずじゃなかった」加藤シゲアキ主演 舞台『粛々と運針』公開ゲネプロ&及び取材会

3月8日(火)からPARCO 劇場にて上演される加藤シゲアキ主演の舞台『粛々と運針』の、公開ゲネプロ及び取材会が開幕前に行われた。
本公演は3月27 日(日)まで PARCO 劇場にて。その後大阪公演あり。

【取材会】

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【登壇者】演出:ウォーリー木下  加藤シゲアキ   須賀健太

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加藤:とても春らしい舞台なので季節感を楽しんでもらえたらなと思いつつ、このひと月、公演が無事できるのかと不安を抱えながらも、昨日の通し稽古までずっとマスクをして、すごく気を使いながらやってきたので、今日を迎えられたことをホッとしております。
役は40歳フリーターの役。だらしなく家族に甘えている、脛をかじるような、そんな兄を演じております。
台本を最初に読んだ時には面白いけれど静かな台本なので「動き的には楽かな」と臨んだんですが、思っていたのと全然違った。ウォーリーさんが(俳優を)すごい動かす。こういう解釈もあるのかと、本当におどろかされた。全然静かじゃないです。すごく視覚的です。「こんなはずじゃなかった」とずっと言ってます。
家族の話なので、これをどうするのかと思っていたら、PARCOでやるに相応しいと僕が言うのもなんですが、すごい壮大な作品になったと思います。(どんな話かと聞かれて)家族の話であり、宇宙の話!

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須賀:僕が演じる紘(つなぐ)は、お兄ちゃんと真逆のしっかりもので、だからこそお兄ちゃんに対するいろんな感情があったりするのを会話の中で感情のぶつけ合うのが見どころかなと思います。
(加藤は)役とシゲさんのギャップがすごい。基本は僕と(加藤との)二人の芝居なので、方向性など相談させて頂いていて、その部分ではすごく頼れるんだけれど、役は本当にどうしようもないお兄ちゃんで、役では頼れないので、(僕の)脳みそがおかしなことになっていて。(加藤は)10分前はしっかりしていたのに、(役では)めちゃめちゃダメな人になっていて、(僕の頭が)忙しかったです。

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木下:横山くんの本自体が物語性が強いんだけど私的な部分もあって、観る方がいろんな解釈ができるような作品です。テーマもありますが、そのテーマにもお客様が考える余白がたくさん有るので、そこを楽しんでもらえたらと思います。今日的なコロナとか戦争とか、僕たちの周りで起こっている分断や暴力とかもあるのですが、もっと人生で起こるささやかな悲劇や喜劇もあるので、写し鏡で掘り下げてもらえたらと思います。
役者が6名と音楽の2名、8名だけで最初から最後まで1時間50分あります。演劇は人間力だとつくづく思います。演出家は形作りはするのですが、今回は6人と2人が超えてくれたし、見ていて、人間の良さ…動物園に動物を見に行くように、劇場に人間を見に行く、そのぐらい素晴らしく劇場を駆けずりまわっています。
舞台芸術のひびのこづえさんもそうですし、僕も出演者、スタッフ全員が新しいところに挑戦しようと挑んでくれた舞台です。その皆の前のめりな感じが、こういう時だからこそ、失敗を恐れず思い切ったことをと、思い切ったことを(やりました)。糸が絡まる舞台です。

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【ゲネプロ】

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静かな会話劇…と思いきや、舞台にはたくさんの糸が下がり、オープニングは打楽器が盛大に打ち鳴らされ、キャストが椅子や机を持って走りまわる。映像もクルクルと転換する。
そして

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1組の兄弟(加藤シゲアキと須賀健太)と

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1組の夫婦(徳永えりと前野朋哉)のリアルな会話が交互に始まる。

兄弟の語る内容は、余命宣告された母の治療についてであり、遺産の問題であり、今度の生き方であり・・・。夫婦が話し合うのは子どもを持つことについて、仕事について、暮らしについて…。
その会話があまりのリアルで、観客も身につまされることがおおいのではないだろうか。

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二組の背後には、不思議な女性(多岐川裕美)と女児(河村花)が静かに縫物をしながら語り合う。kiIMG_3801

だが暗いばかりではない。正反対の生き方をする兄弟の言い分は共に納得できるし、夫婦の会話は関西弁で、そのリズムもツッコミも時に取材陣が噴き出すほどに鋭く面白い。それぞれの言い分を、わが身に引き寄せ笑い、傷つき、考えてしまう。

いつしか、別々の2組の家族が、なぜが1つになって意見を交わし合う。それがまったく不自然でなく、しかも1つの問題だと気付かされる。これぞ加藤の言う「宇宙の話!」

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そして予想もしない映像と、思いがけないキャストたちの動きが、会話劇だとおもわれていた静かな演劇を、いっきょに現代の、今のエンターテイメントに塗り替える。

ウォーリー木下ならではの驚く魔法が仕込まれた「粛々と運針」。文学でアートで哲学で音楽的な舞台でした。

 

PARCO PRODUCE 「粛々と運針」
作 横山拓也
演出 ウォーリー木下
出演 加藤シゲアキ
/ 須賀健太 徳永えり 前野朋哉 河村花/ 多岐川裕美
演奏 GOMA & 粛々リズム隊
Didgeridoo :GOMA
Percussions:田鹿健太・辻コースケより 日替わり参加
企画制作 パルコ/ニベル
製作 パルコ
【東京公演】
日程 2022 年 3 月 8 日(火)~27 日(日)
会場 PARCO 劇場
料金 12,000 円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可
【大阪公演】
日程 2022 年 4 月 8 日(金)~10 日(日)
会場 森ノ宮ピロティホール
料金 12,000 円(全席指定・税込) ※未就学児入場不可