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ミュージカル『アナスタシア』 葵わかなインタビュー 「私は思うとまっしぐらになってしまうタイプ」 「日本の皆さんに感情移入して頂けるようなアナスタシアを」

ミュージカル『アナスタシア』が、2020年3月に東京・シアターオーブで、4月に大阪・梅田芸術劇場で上演されます。

1918年に、帝政ロシア時代最後の皇帝となるロマノフ2世をはじめ一族が殺害された中、皇帝の末娘アナスタシアだけは難を逃れて生きのびたという歴史上の謎「アナスタシア伝説」にもとづいた物語から生まれたアニメ映画「アナスタシア」から着想を得て制作されるスケールの大きな作品です。

今回、Astageは『ロミオ&ジュリエット』で華々しくミュージカルデビューを果たし、ミュージカル『アナスタシア』で主役のアーニャ役を演じる葵わかなさんに話を聞きました。

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―趣味が宝塚歌劇団の公演を観劇することだと伺いました。ミュージカルもたくさんご覧になりますか?
はい、ストレートプレイもミュージカルも、舞台はジャンルにこだわらず観ます。

―ではミュージカル出演は昔から心の中で思っていらしたのですか?
それが、ミュージカルは昔から私にとっては観るものだったので、出たいと考えたことがありませんでした。宝塚が好きになった時には、すでにこのお仕事を始めていたので「今から宝塚に入るのは無理だわ」と思って観客としてとても楽しく観ていました。
でも『ロミオ&ジュリエット』の2013年バージョンを観た時に「やってみたいな」と思いました。それは「ミュージカルがやってみたい」よりも「ジュリエット役がやってみたい」という気持ちで、「ジュリエット役をやるためには、ミュージカルだから歌うことが当然必要ね」という感じで、ミュージカルというジャンルはジュリエットに付いてきたもの…でした。
でも公演をさせて頂く中で、ジュリエット役も最高に楽しかったのですが、それと同じくらい「ミュージカルって楽しい!」と思い始めました。稽古中や公演の初めの頃は『ロミオ&ジュリエット』でいっぱいで「次にまたミュージカルをやってみたい」という考えは無かったです。でも公演後半になって他のキャストが「次は何の公演に出演する」という話を聞くようになって「皆は次のミュージカルがあるのに、私は無いんだ…「私もやりたいかも…」と気持ちに変化がありました。

―「ジュリエットをやりたい」という夢を見事に叶えたんですね。素敵です!
私は思うとまっしぐらになってしまうタイプで、はまると深いです…。(笑)「ジュリエットがやりたい」と思ったら、出演する予定も何もないのにボイストレーニングをすごく頑張りました。朝ドラ(連続テレビ小説「わろてんか」)の撮影中も、週末東京に帰ってボイストレーニングしていたので、マネージャーにも「しつこいな」と思われていたかもしれません。(笑)

―そして夢をどんどん叶えて…
またミュージカルに出演できるのが、とても嬉しいです。まわりの方もとても喜んでくれるので、次も頑張りたいです。

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―そのミュージカル『アナスタシア』出演については?
前回出演させて頂いたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』が初めてのミュージカルで、またこのような機会を頂けるとは思わなかったので、 すごく驚きましたし、「(『ロミオ&ジュリエット』を)やってよかったな」と嬉しく思いました。前作では「初めて(ミュージカルを)やるタイミングは今じゃないのでは?」とか「もし失敗したらどうしよう…」と不安もありましたが、出演することを選んで間違っていなかったのだとわかって、すごく嬉しかったです。

―オーディションを受けるのは挑戦だと思います。積極的な姿勢ですね。
ずっと映像のお仕事をやらせて頂いてきましたが、去年・今年と色々なジャンルのお仕事に挑戦させて頂く機会が続いています。ミュージカルもそのひとつで、挑戦した結果、「やらなきゃよかった」と思うことがなく、むしろやって良いことばかりでした。何かに挑戦するときは怖いのですが、負けずに挑戦した方が良いだろうなと思っています。

―ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』に挑戦して感じたミュージカルの魅力とは?
舞台に立ってお芝居することは、映像での演技と似ているようでまったく違うという印象を受けました。今まで身につけてきたものがあまり通じない場面が多くて、自分としては困難ばかりでした。でも上手くできた時、求められてある程度のものを返せた時には、観ている方に伝わるものも大きくて、生でリアクションを感じることができるのは魅力でした。
そして、映画は撮影のカメラの横で見ているよりも、編集されて音楽がついて出来上がった方が感動が増すと思いますが、ミュージカルは音楽が自分の中から発信できる。それはある意味、観て下さっている方の気持ちをかきたてる演出的な部分も自分で行えて、それも役の一部だというのは、とても面白いと思いながら舞台に立っていました。

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―この『アナスタシア』では木下晴香さんとのWキャストですね。『ロミオ&ジュリエット』ではトリプルキャストでした。映像作品ではありえない、1つの役を複数の俳優が演じるというのはいかがでしたか?
稽古前は人間関係という意味でも、ジュリエットという役を作りあげていく上でもトリプルキャストを意識せざるをえないと思っていたので「上手くいくのかな?」と思っていました。でも実際に始まってみると「同じ役なのに違う人がやると違う役になるのだな」と思い、それがダメなことじゃない世界なのだと分かりました。「(正解が)これしかない」ではなく、私は私のジュリエットを作ることができ、はるちゃん(木下晴香)ははるちゃんの、いくちゃん(生田絵梨花)はいくちゃんのジュリエットができた。もちろん稽古を見て「いいな、あれ、やってみよう」とか「晴ちゃんはこうするんだ。私はこうしよう」と、トリプルキャストだからこそできたこともあります。2人が通し稽古をしているのを見て、「ジュリエットってこう見えているんだ」「この役の人はジュリエットをこういうふうに見ているんだ」と客観的にジュリエットを見る時間もできました。やってみると不便はなく、逆に面白かったです。

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―さて、ミュージカル『アナスタシア』についてですが、スペインで公演をご覧になったと伺いました。その感想も含めて、作品について教えて下さい。
アニメの「アナスタシア」とミュージカル版とは一部の曲を除いて音楽が違いますし、登場人物にも少し違いがありますが、アナスタシア像にはあまり違いがないように思います。そしてミュージカルになってもアニメ感…おとぎ話ぽい感じが全体を通して続くのも魅力だと思います。
公演はスペイン語で観たので、詳しい台詞などがわかりませんでしたが、衣装や舞台装置・音楽がブロードウェイバージョンそのままで素晴らしいです!(笑)映像も巧みに使われていますし「え、そんなことできるんだ!」という演出や舞台装置の使い方が多く、観ていて面白くてワクワクしました。音楽も素敵な曲が多いです。

―アーニャとして歌う楽曲については?
“ザ・ミュージカル”というような壮大な感じの曲調のものが多く、とても迫力があって感動しました。同じ曲を自分も歌えると思うと楽しみで興奮しました。実際に練習してみるととても難しくて、「ちゃんと歌えるかしら…」とちょっと不安もありますが、頑張って練習しています。

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―まだ台本もご覧になっていないと思いますが、今の段階では演じるアーニャ役について、どのように思っておられますか?
アーニャは記憶がないのに、とても長い距離を歩いてパリに向かいます。その状況だけを考えても、意志の強い人だと思います。歌う曲も力強い歌が多くて、「自分はこうしたい」と思う気持ちが強い人だと思うので、そういう部分は大事にしたいと思います。
そういう強い部分が表面に出ているアーニャですが、心細いところもあります。アーニャは記憶がありません。普通は自分が記憶を失っても、家族や周りの人が「あなたは○○さんよ」と言ってくれるでしょうが、アーニャには誰もいないので自分の存在がなくなるような恐怖があると思います。そういったところも強いアーニャの影の部分として出せていけたら、立体的なキャラクターになると思います。
日本の方は、繊細な機微が好きだというイメージがあります。海外のキャラクターですが、日本の皆さんに感情移入して頂けるような役づくりができたらと思っています。

―やりがいのありそうな役ですね?
スタッフのみなさんが海外の方で、感性の違いもありそうですが、そのへんをどうやって埋めていくか。両方の良いところを取り入れた方が成功に導けると思うので、たくさん話し合いながらやれたらと期待が膨らんでいます。

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―日本版では衣装を全部新調するとのことで採寸が始まっているそうですね。
採寸、しましたね!!?! ホントにメジャーで計っただけですけど。(笑)
アーニャも“ザ・ミュージカル”という感じの衣裳があり、圧倒される豪華さです。「似合うかな?」と思いましたし、はるちゃんとも「着こなせるかな?」と話しました。ロマノフ朝の回想シーンは、皆がきらびやかで素敵です。

―では、公演を楽しみにしておられるみなさんにメッセージをお願いします。
音楽も舞台装置も衣装も海外レベルになっています。会場もシアターオーブなので、海外にミュージカルを観に来たような雰囲気を味わっていただけたらと思います。その中に日本人キャストが演じる意味を見つけていきたいと思っています。海外スタッフとミックスでつくる『アナスタシア』にできればと思っています。

【新】ビジュアル画像

ミュージカル『アナスタシア』
◇ STAFF ◇
◆脚本 テレンス・マクナリー
◆音楽 ステファン・フラハティ
◆作詞 リン・アレンス
◆振付 ペギー・ヒッキー
◆演出 ダルコ・トレスニャク

◇ CAST◇
葵わかな・/木下晴香(Wキャスト)
海宝直人(東京公演のみ・)/相葉裕樹・/内海啓貴
山本耕史・堂珍嘉邦 (CHEMISTRY)・遠山裕介
大澄賢也・石川 禅
朝海ひかる・マルシア・堀内敬子
麻実れい

【東京公演】
2020年3月1日(日)~3月28日(土)
東急シアターオーブ

【大阪公演】
2020年4月6日(月)~4月18日(土)
梅田芸術劇場メインホール

公式HP:http://www.anastasia-japan2020.jp/
Twitter :@AnastasiaJapan

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