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NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」鶴丸役 きづきインタビュー「成長していく北条泰時と鶴丸の関係に注目してもらえたら嬉しい」

終盤に向けて、ますます盛り上がり、注目されているNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。
今回、ご登場いただくのは、その出演者のおひとり、鶴丸役を演じる きづきさんです。

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鶴丸役のきづき (C)NHK

鶴丸は、北条義時(小栗旬)の息子・北条泰時(坂口健太郎)の従者で、泰時と常に行動を共にする相棒とも言うべき存在です。
実は、義時の妻・八重(新垣結衣)が面倒を見ていた孤児の1人で、川で溺れたところを八重に助けられたのが鶴丸です。助けてくれた八重が溺れて亡くなってしまうという過去を背負い、成長した青年・鶴丸をきづきさんが演じています。

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今後、鶴丸がますます活躍するとのこと。
俳優・きづきさんの素顔をご紹介するとともに、鶴丸役への思いをお話しいただきました。

―まず、きづきさんのお名前について教えて頂きたいのですが。
本名が城築創(きづきはじめ)で、福山雅治さんに芸名をつけて頂きました。

―いつデビューされたのですか?
大学で演劇をやっていて、ちょっと長く大学いまして、2014年、24歳のときに大学のサークルの先輩の伝手でアミューズに入りました。自分でも嘘みたいな話だなと思いますが、本当です。

―大学で演劇に目覚めたのでしょうか?
はい、大学に入るまでは受験勉強に向き合っていて、特に夢もなく、自分から何かを表現するような機会もなかったのですが、大学に入って「何か表現したいな」「音楽やるか?演劇やるか?」と思っていた時に、先に演劇をやっていた友達の公演を観て演劇が楽しそうだったので演劇を始めました。

―慶応義塾大学に通っていらしたんですね。
はい。ただ大学に入るための受験勉強をしていたので、大学に入ってから目標を見失ってしまった感じでした。結局、大学は中退してしまったのですが、大学在学中は演劇ばかりしていました。

―大学で好きなことが見つかってよかったですね。そして俳優としてお仕事を始められて、ドラマや映画、CMとご活躍されていますね。
ありがたいことに、僕はとても運がよくて、この事務所に入れたことも、福山さんからお名前をいただけたのも、とても恵まれていたと思います。事務所に入って最初の仕事となったドラマ『ブサイクの神様』(2015 BSフジ)も大学時代の先輩がフジテレビに入社していたことがきっかけでしたし、とても運がいいんです。

― “運がいい”のは何よりですね。
はい、願ったことは叶ってきているなと思っています。

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―これまでもたくさんのドラマや映画、CMでご活躍されていますが、印象深いお仕事を教えていただけますか?
どの現場でも勉強させてもらうことばかりで、ひとつに絞るのはとても難しいのですが…、今、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に出演させて頂いているので、やはりこれが自分にとっては大きいと思っています。

―大学でしっかり演劇をされていたので、順調にお仕事をされてこられたのですね。
いいえ、俳優として仕事を始めて、仕事と大学での演劇とは全然違うと痛感して、打ちのめされました。いろんな現場で叱咤激励され、悪戦苦闘しました。

―そんな時期を経て、今はそこから抜け出せましたね。
いえ、そんなことはなくて、過去形で話してしまいましたが、今も悪戦苦闘中です。大河ドラマの現場に入って、素晴らしい脚本、スタッフ、出演者の皆さんに囲まれてお仕事をさせていただく中で、自分の足りていない部分を痛感しましたし、毎回学ぶことだらけです。今は鶴丸という役とともに自分自身も少しずつ成長していっている感じです。

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―では、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」についてお尋ねします。鶴丸役に決まった時の思いから教えて頂けますか?
鶴丸は泰時と一緒に育ち、彼を親友として支えていく役という話を聞いて、すごく嬉しかったです。責任もプレッシャーも感じましたが、それ以上に「やってやるぞ!」という気持ちが沸きました。

―鶴丸をどう演じてこられたか、教えて頂けますか?
泰時の母の八重は、川でおぼれそうになる鶴丸を助けたために命を落としてしまいます。そんな状況で、義時は幼い泰時に「決して鶴丸を恨んではならん。鶴丸を憎む暇があるのなら、その分、母を敬え」と言ってくれました。その教えを守り、泰時は鶴丸が他の人からいじめられたときには、かばってくれました。その感謝と恩を鶴丸は片時も忘れることはなかったと思っています。だからいつも北条のためを考えています。中でも一番に思うのは親友の泰時。一度死んでいたはずの命なので、泰時を自分の命を賭けてでも守ろうという気持ちが、鶴丸の軸だと思います。
ただ、それを前面に出すことはせず、敢えて二人を明るく支えていて。ちょっと図々しくて裏表がない性格かな…と思っています。泰時がいろいろ考え過ぎて「どうしよう…」と立ち止まってしまうことが多いので、そういう時にいろんなかたちでちょっと背中を押してあげるような人物だと思っています。泰時とのそんな関係性が見て下さる方にも伝わったらいいなと思っています。

―では泰時(坂口健太郎)さんとの関係が大切ですね?
そうですね。どのシーンでも二人の絆が見えるように心がけました。
僕は結構人見知りなのですが、演技以外の部分でも普段から友達のように話せるといいなと思って、撮影が始まって早めに思い切って「今日からタメ口で行きます!」と宣言したのを覚えています(笑)。坂口さんは笑ってOKしてくれました。今ではとても自然な感じです。撮影後の映像チェックのときに、ふたりで一緒にモニターを見て、お互いがお互いのシーンでふっと笑うと「よし!」という感じになります(笑)。
終盤に向かって、このふたりも大人になり、泰時はどんどん偉くなって、ふたりが喋るシーンも増えてきます。鶴丸が泰時を支えるかたちも変わってくるのですが、その根本にはふたりが友達だという絆があります。泰時の成長と、それに合わせて鶴丸も大人になっていくので、そんなふたりの関係に注目してもらえたら嬉しいです。義時と泰時との関係に対して、鶴丸がどう接していくのかも見て頂きたいところです。

―「大人になって、鶴丸が泰時を支えるかたちも変わってくる」とのことですが、どう意識して変えていらっしゃるのですか?
大人になると、まず衣装が違ってくるので、見た目が全然違ってきますし、自然に変わった部分が大きいですね。歩き方を背筋を伸ばして堂々と歩くようにしたり、戦場に出るシーンでは臆することなく戦う姿を見せられるように意識しています。

―台詞も難しくなってきましたか?
話をたくさんする人物ではないですし、やはり泰時や義時がいての鶴丸なので、僕はその場にどう居るか、どう関係性を見せるかを考えて演じています。

―では、最後に、今後の野望を教えて頂けますか?
野望ですか⁈ちょっと大きなことですよね…。大河ドラマに参加して、たくさんの人とひとつの作品を作っていくことの楽しさを実感したので、もっと物語の中心に立つ役ができるようになりたいです。役者として演技力もまだまだですし、知名度まだまだ。いろいろなことを学んで、経験して、人間的に成長する必要があると思います。一番は目の前の仕事をしっかりやることだと思っているので、今は「鎌倉殿の13人」で「僕がこの役をやる意味」を意識して取り組んでいます!

―今後の鶴丸さんの活躍を楽しみにしています。ありがとうございました。