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PFF全ラインナップ解禁! 第44回ぴあフィルムフェスティバル2022 ラインナップ発表会 「青山真治監督特集」に向けて、宮﨑あおいからメッセージも!

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今年で 44回目を数える映画祭「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」は、2022年9月10日(土)から 25日(日)まで、国立映画アーカイブにて開催する。第 1 回から続く自主映画を対象とした日本初の本格的なコンペティション「PFF アワード」をメインプログラムとし、招待作品部門では、映画祭でしか観ることのできない特集上映企画、映画講座を実現。

8月3日には、東京・京橋の国立映画アーカイブでラインナップ発表会を実施。この日はPFF アワード 2022 の最終審査員を務める三島有紀子監督、招待作品部門のメイン特集となる「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」を共催するイタリア文化会館のアルベルト・マナイ氏ら、それぞれの部門にゆかりのあるゲストが出席。さらに先日リリース発表した「青山真治監督特集」に向けて、俳優の宮﨑あおいから寄せられたビデオメッセージも発表された。

<会見レポート>
今年のPFFアワードは520本の応募作品の中から入選した16作品をスクリーンで上映。今年の傾向について荒木ディレクターは「半数以上が初監督作品で、初めて撮った人が多かった。なぜ多いのかと考えましたら、なんとコロナで時間ができて。今まで映画を撮ってみたかったのでやってみようと。コロナによって考える時間と、夢を実現する時間ができたことに感動しています。とにかく初めての人たちが温めてきたものが力のある作品になった。じゃ次に彼らがどんな作品を作ることになるのか、ということは、今後、映画祭のスクリーンで上映されて、いろんな人に観てもらうことで変わっていくんだろうと思います」と分析する。

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PFF アワード 2022 の最終審査員を務める三島有紀子監督も「今の自分だったら神経も図太くなっているので出していると思うけど、自分が映画を作り始めた時は、PFFは敷居が高くて。応募するのに躊躇していたんです。だから今回の審査員のお仕事もとんでもございません、という感じでしたが、わたしのようにPFFに出せなかった人間が、なんとか這いつくばりながら映画を作ってきた。例えば、こういうテーマで撮りたいというものを、オリジナルのテーマを守りながら撮るというやり方もあるし、オリジナルで撮っていくという形もある。いろんなやり方をした人間が、審査員として参加するというのは、ひとつの形としてあるかなと思いました」とコメント。さらに今回の審査の基準について質問を受けると、「その人のまなざしが見えるもの。その人のオリジナルの表現を持っているということが大事なところかなと思います。言葉にするとそういうことですが、感覚で表現すると、なんかずっとその映画のことを考えたくなるというか。その描かれた人物について考えたくなるということ。それがわたしにとっては大きいポイントになると思います」と付け加えた。

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続いて招待作品部門のメイン特集となる「ようこそ、はじめてのパゾリーニ体験へ」を共催するイタリア文化会館のアルベルト・マナイ氏が登壇。今年はパゾリーニの生誕100周年という記念すべき年となり、そこに併せて日本初上映作品を含む16プログラムがPFFで上映されることとなった。マナイ氏は「今回、PFFでパゾリーニ特集があり、そこに協力できることをとてもうれしく思います。ここまでコンプリートに近い形でパゾリーニを紹介できるのは、おそらくアジアでは初ではないかなと思っています、日本では『デカメロン』や『テオレマ』といった作品が紹介されていますが、それ以外にもドキュメンタリーなども、ぜひこの機会に紹介するというのが大事じゃないかなと思いました」と喜んでみせると、「パゾリーニは20世紀のイタリア文化でも特異な存在です。もちろん映画監督としても有名ですが、小説家、詩人としても非常に大きなものを遺しました」とその足跡を紹介する。

さらに「パゾリーニが扱ってきたテーマというのは非常に重いものもありますが、今でもパゾリーニは、非常にたくさんの研究がなされ、議論の的になっています。そういう意味では、パゾリーニも、パゾリーニの作品も、今でも生き続けていると思いますし、今でもわれわれを挑発し続ける、特異な存在であると思います」と指摘したマナイ氏は、「今年が生誕100周年ということで。国をあげて100周年を記念しようという機運もあって。これはイタリアがパゾリーニを文化的財産と認めている証しだと思います」と謳いあげる。そんなマナイ氏に「“はじめてのパゾリーニ体験”をする若い人たちに対して、どんな作品をオススメしますか?」という荒木ディレクターからの質問が。

それには「難しい質問ですが、あえて言うならば『アラビアンナイト』と『テオレマ』でしょうか。どちらも違った作品ですが、視覚的に訴えるものがあります。そうしたところで美しいと思いますし、いろいろと考えさせるところもあると思うので、この2作品を挙げさせていただきたいと思います」と語るひと幕もあった。

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さらにこの日は「青山真治監督特集」に向けて、俳優の宮﨑あおい氏から寄せられたビデオメッセージも上映。「第44回ぴあフィルムフェスティバルで青山真治監督の特集が行われるということで、青山監督のことを少しお話させていただきます。わたしは2000年の『EUREKA ユリイカ』で青山監督と初めてお会いし、そして 『サッドヴァケイション』『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』と3作品でご一緒させていただいたんですが、今のわたしがあるのは青山監督と出会って、青山組のかっこいいスタッフの方たちと出会ったから、わたしは今もこうしてお仕事を続けているんだろうなと思います。わたしにとって本当に大切な人です」と切り出した宮﨑は、今回のPFFの青山監督特集の上映作品に触れて、「これらがすべて35mmフィルム版とのことです。音や画に本当に素晴らしい感覚をお持ちだった青山監督がつくられたこの作品をぜひ若い世代の方にも観ていただきたいですし、また過去にも青山監督の作品を観たことがあるという方も、自分の年齢が変わったり、置かれている環境が変わったりする中で、作品の感じ方というのも変わってくるのではないかと思います」とコメント。

『月の砂漠』

『月の砂漠』

さらに「わたし自身も『EUREKA ユリイカ』を数年おきに観ているのですが、13~14歳で観たころとは全然違う感じ方をして、ますます『EUREKA ユリイカ』のことを好きになっていきますし、作品を作った青山監督のことも好きになっていきます。きっとこれからも青山監督の作品はきっといろいろなところで上映されていくと思うし、上映し続けてほしいなとも思っております。ぜひたくさんの方に、この機会に観ていただきたい」とメッセージを送った。

映画祭の上映プログラムについて「PFFのプログラムの基本は、常にPFFアワードにあります。招待作品なども、PFFアワードの応募者に見せたいというのが大きな基準です」と明かした荒木ディレクター。「そういう意味でパゾリーニは、今、映画を作ろうとする人たちに見せたいんです。もちろん青山さんの作品もそう。映画作りに興味がある人たちに観てもらえたらと思っています」とその思いを明かした。

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◎映画祭「第44回ぴあフィルムフェスティバル2022」開催概要
【公式サイト】https://pff.jp

<東京> 日程:2022年9月10日(土)~25日(日) ※月曜休館
会場:国立映画アーカイブ(東京都中央区京橋3-7-6)
<京都> 日程:2022年11月19日(土)~27日(日) ※月曜休館
会場:京都文化博物館(京都市中京区三条高倉)