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佐藤寛太インタビュー! 「この作品で自分も俳優として大きく成長できた」 映画『いのちスケッチ』に主演!

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映画『いのちスケッチ』は、福岡県大牟田市に実存する動物福祉に特化した動物園を舞台に、若者の挫折と成長の姿を描く、ヒューマンストーリー。主人公の青年・田中亮太役を佐藤寛太(劇団EXILE)、獣医師・石井彩役を藤本泉が演じ、そのほか、武田鉄矢、渡辺美佐子、浅田美代子など実力派俳優が脇を固める。

漫画家になる夢を諦めて帰京し、延命動物園に勤めることになった青年を等身大に演じた佐藤寛太。動物たちや周りの人間と触れ合うなか成長していく姿を自分自身と重ね、俳優としてもこれまでと違う一面を見せている。そんな彼に話を聞くことができた。

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― これまで学生役やラブコメなど、キラキラした役を演じることが多かったと思いますが、今回は23歳の佐藤寛太さんの等身大な役がらを演じられたのではないでしょうか。本作の出演が決まった時のお気持ちはいかがでしたか?

そうですね、これまではラブコメ系の漫画の実写化などに出演することが多かったのですが、今回は、オリジナル作品。自分も福岡出身ですが、夢やぶれて地元に帰るという気持ちも想像しやすく、イメージを持つことができました。共感できることがたくさんある役でした。この若者(亮太)も現代の若者らしく、自分が本当に路頭に迷うという状況に陥ったことがないから、仕事や夢がなくなってもどうにかなるとどこかで思っている・・・そんな甘さがあるんです。追い詰められてない甘さが緩さにもなっているし、でも世の中をなめているから、そのシワ寄せをどこかで受けている。自分自身もそうなのかな?と考えながら演じさせていただきました。
台本を読んだ時よりも、実際に現場に立って方言で話している時のほうが、色々な事を感じたり思うことが多かったです。

― 役作りをするために特にされたことはありますか?

キャラクターに対しての役作りというより、漫画を書くことや飼育をすることなどをすることが多くて、役としてのパーソナリティーに対して作り上げようということはなかったです。

― 実際に動物に触れて飼育に参加されたのですね。

はい。動物園にはクランクイン前から行って、飼育員の方より勉強をさせていただきました。

― そういう作業をしていく中で、演じる亮太役とご自身がリンクしていったのでしょうか。

そうですね。飼育の作業を学んでいく役柄だったので、まさに亮太自身でした。最後まで、最初から飼育員だった(石井彩役の)藤本泉さんたちとは少し違う目線で立っていたと思います。知識は増えていきますが、どこかで外から見ている自分がいました。実践する機会は彼女たちより少なかったので、動物たちと面と向かっていた藤本さんたちとは違っていたと思います。

「いのちスケッチ」メインB

― 漫画を書くシーンもあります。

あれは、実際に僕が描いています。もちろん全部ではありませんが。手が映り込んでいるのも僕です。実は絵を描くことも今回の飼育に役立っているんです。初めて本気でたくさんの絵を描かせていただいたんですが、絵を描くには骨格や体の動きを知るところから始まるんです。人間の顔は表情筋が多くて難しいのですが、動物だったら大まかな動きの流れが決まっているんです。鳥だったら、頭、首、胴体と大きく3つに分かれていて、頭がこっちを向いているなら、首はこう回る、そして脊髄の動きを考えるんです。だから、動物の絵を描くことによって筋肉のつき方や、どうやって生きているのかを考えることができました。絵を描くことと飼育は全く違う作業にもかかわらず、繋がっている部分があって面白かったです。

― なかなかできない体験をされたんですね。

はい。でも、やっぱり難しかったです。飼育も作業は単純ですが、動物と向き合うことについてはどこまで追求しても足りないと思います。現代の漫画家の方には電子機器やデジタルで描いている方もいらっしゃると思いますが、(亮太は)違うスタイルかもしれません。水木しげるさんやNHK朝ドラ「なつぞら」に出てきた漫画家さんのころの時代の孤独さ・・・一人で考えて一人で描き進めるというものを肌で感じました。本当に何枚も描いて描いて描きまくっていました。

― 絵を描くのは得意ではなかった? とてもお上手ですが。

絵画を鑑賞するのは好きですし、たまに美術館に出かけることもありますし漫画も好きです。でも、描くことは違いますよね。

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― 本作は大牟田市を舞台にしています。博多出身の佐藤さんのナチュラルな方言も注目です。方言で話すことによって、より役の気持ちに入りやすいということもあったのでしょうか。

まさに、その通りです。武田鉄矢さんも「自分の中で博多弁が共通語とは違う母国語だと思っている」と仰っていました。「博多弁で話すと、自分の気持ちが何のフィルターも通さずに素直に出てくる」と。僕も全く同意見で、無理なく言葉を放っている感じがありました。ロケ地も僕の出身地の福岡県だということもあって自然に演じることができたと思います。

― そして、今回は主演。瀬木組の座長を務められました。

重圧感はありました。主演って、単純に劇中で主演シーンが多い人と取られがちですがそれだけではないんですね。これまで主演ではない作品では、自分の出演シーン、自分の演技だけに没頭していたんですが、今回は作品の全体を考えなくてはいけない。今作では劇中ほとんどのシーンで出ていて、ずっと考え続けていたので、それが自然に作品全体を考えることに結びついていきました。一つ一つのシーンの積み重ねが作品を作っていく。そういう意味では大変でしたが、自分の熱量を伝え、この作品に対して魂を賭けているという姿勢で取り組まないと周りの人はついてきてくれないなと感じました。

― これまでも映画で主演をされてきましたが、同年代のキャストの方が多かったかもしれません。しかし、今回はベテラン俳優さんが揃う中での主演。やはりいつもとは違いましたか?

全然違いました。凄いキャスト陣ですよね。でも皆さんが素晴らしいので安心していて僕は緊張することなく臨むことができました。信頼できる安定感があったので、全部を預けることができて、座長としてはとても助けられました。全員が味方でいてくれたので、とても楽しい現場でした。自分の中でも貴重な体験をさせていただきました。

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― 今作で佐藤さんが特に得たものはありますか?

作品を背負うということは、こういうことなんだと強く感じることができました。撮影している間も地元の方々に本当に助けていただいたので、皆さんとのコミュニケーションを大事にしました。映画って、色んな人と繋がりながら助け合いながら成り立つんだなと改めて考えました。今回の作品はこれまでやったことのないジャンルの映画でもあり、大事に大事に撮っていったイメージがあります。

― 劇中では可愛い動物がたくさん出てきます。佐藤さんは何か飼われたことありますか?

子供のころは犬を飼っていました。動物は好きです。

― 動物たちが心身ともに健康に暮らせるようにという取り組みから、「ハズバンダリートレーニング」という無麻酔採血のシーンも本作の見どころの一つですね。

ライオンのシーンは凄いです。僕は直接触ることはなかったんですが、ライオンだけでなく、大型の動物って「どうやって生きているんだろう」と、命の説得力みたいなものがあります。この動物園の取り組みで、改めて動物への接し方も考えさせられました。

「いのちスケッチ」メインA

― また、おばあちゃんの介護のことなど、家族のことも描かれています。

この作品は、今どきの若者が夢敗れて帰郷するところから始まりますが、動物園の飼育員や人生を通して、人と人との命の向き合い方、人と動物との命の向き合い方ということを軸にして青年の成長を描いています。その中での時の流れや色々な思いを感じることができると思います。この映画を観終わったときに自分の家族に連絡してみようと思うかもしれません。

― そして、自分自身とも向き合うことができるかもしれないですね。

そうですね。そういう優しい作品だと思います。

― 佐藤さんが特にお気に入りのシーン、印象に残っているシーンは?

やっぱり、全員で行う「ハズバンダリートレーニング」のシーンです。ライオンの採血のシーンが印象に残っています。物語の中でも大切なシーンだったのですが、現場での一体感がより一層高まった感じがありました。命を相手に何が起こるか分からない状態でやっていたので、スタッフの皆さんもキャストたちも普段とは違う緊張感の中で撮影していました。カットがかかったあとの顔が、キャスト、スタッフさん全員が同じ顔をしていたんです。成功のあとの表情は本当にリアルなものです。

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― 活躍めまぐるしい佐藤さんですが、俳優としてまた新たに考えることなどありますか?

主演って本当に大変だなと。ほかの作品でも主演をさせていただいているんですが、感じるものがとっても多くて、この作品の撮影が終わった時に、俳優として3年分くらい自分の糧として成長できたんじゃないかと感じるくらいでした。それと同時に毎回燃え尽き症候群のようになって、インプットも必要だなと思いました。自分の人生をちゃんと送る時間を持たないと何も(表現として)出すものがなくなってくる。もちろんこの仕事が好きでやっていますし、色々なお仕事をさせていただいて本当に感謝していますが、自分の人生も豊かにしないといけないと感じました。

― 俳優として5年目を迎えました。

いいタイミングで仕事を始めることができたと思いますし、少しずつ俳優のお仕事をさせていただき、その中で色んなことを経験して考えていくなかで今回主演をさせていただいたので良かったと本当に良かったと思っています。

― そんな佐藤さんご自身の成長も映像に映し出されているのかもしれません。亮太と同じようにもがいている人はたくさんいると思います。これからご覧になる皆さんへメッセージをお願いします。

映画では作品としてのテーマがよく謳われていますが、僕は観る方に潜入感を与えたくないので、とても言葉選びに慎重になります。この映画は観る方の背中を押してくれる・・・というものでもないと思うんです。亮太は亮太なりの答えを出しながら歩いていきます。亮太の生き方を観ながら、何かを感じとっていただけたら嬉しいです。また、男性女性問わずいろんな世代の方が観ても、それぞれの視点があると思います。ぜひご覧いただきたいです。

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【佐藤寛太(さとう・かんた)プロフィール】
1996年生まれ。福岡県出身。
2015年より劇団EXILEメンバーとして活躍。映画『HiGH&LOW THE MOVIE』(16)に出演し、『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ(16)で初主演を務める。その後も『恋と嘘』(17)、『走れ!T校バスケット部』(18)、『家族のはなし』(18)、『jam』(18)、『今日も嫌がらせ弁当』などに出演。
来年1月から劇団EXILE全メンバー出演舞台「勇者のために鐘は鳴る」が東京・大阪にて上演とテレビドラマ「駐在刑事Season2」の放送が控えている。

インタビュー撮影:ナカムラヨシノーブ

映画『いのちスケッチ』ビジュアル

映画『いのちスケッチ』
<STORY>
東京で漫画家を目指し奮闘していた青年・田中亮太(佐藤寛太)は、自身の夢に限界を感じ故郷の福岡に帰ってきた。
実家に頼れず旧友の部屋に居候する亮太が紹介されたのは、地元の延命動物園でのアルバイト。園長の野田(武田鉄矢)や、獣医師の石井彩(藤本泉)らと働いていくうちに、亮太はここが動物の健康と幸せを第一に考える“動物福祉”に力を入れる、世界でも珍しい動物園であることを知り、理解していく。しかし、予算縮小で園の運営は危機的状況にあった。亮太はこの取り組みを自らの絵で伝えるために、もう一度漫画を描くことを決意する…。

出演:佐藤寛太、藤本泉、芹澤興人、須藤蓮、林田麻里、前野朋哉、塩野瑛久、大原梓、今田美桜(友情出演)、風間トオル、高杢禎彦、浅田美代子、渡辺美佐子/武田鉄矢
監督:瀬木直貴
脚本:作道雄
音楽:高山英丈
主題歌:Insheart「瞳の中のあなた」
配給:ブロードメディア・スタジオ
ⓒ2019「いのちスケッチ」製作委員会
公式サイト:http://inochisketch.com

11/15(金)よりユナイテッド・シネマ豊洲ほか全国公開中

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