映画『か「」く「」し「」ご「」と「』の完成披露イベントが、5月13日、東京・丸の内ピカデリーにて行われ、W主演の奥平大兼と出口夏希をはじめ、共演の佐野晶哉(Aぇ! group)、菊池日菜子、早瀬憩と、中川駿監督が、舞台挨拶に登壇した。
住野よるの同名小説を原作に『カランコエの花』(18)、『少女は卒業しない』(23)の中川駿監督がメガホンを取り、実写実車映画化。本作は、“少しだけ人の気持ちが見えてしまう”男女5人の、純度100%の尊い日々を描く青春ラブストーリー。引っ込み思案で自分に自信の持てない主人公・京を奥平大兼、底抜けに明るい性格でヒロインよりもヒーローになりたいと願う・三木直子(通称ミッキー)を出口夏希が演じ、その他、佐野晶哉(Aぇ! group)、菊池日菜子、早瀬憩ら、フレッシュな顔が揃った。
奥平は「京は内気ではあるものの、ヅカと一緒にいるときとかは普通の男子高校生で明るく接しているときもある。なので、自由に気楽にやっていました」と振り返りながら、「ミッキーの前だと少し自分に自信がなくなってしまうところは、自分も学生時代でも特定の人に対して消極的になってしまう経験をしたことがあるので、その時のことを想像しながら演じていました」と役と向き合っていた様子。
内気で控えめな性格で、ある日突然学校に来なくなる宮里望愛(通称エル)役の早瀬憩は、「私も今高校生なんですが、エルが学校に来れなくなってしまうきっかけは、ちょっと分かる気がしました。誰かにとっては凄く些細なことでも、他の人にとってはそれが凄く重要なことだったりするので。学生や同世代ならではの部分が凄くリアルに切り取られているなと」と自身の環境に照らし合わせながら、「エルは4人に対してそれぞれ接し方が違う気がしたので、そこを意識しながら演じました」と述べた。
ミッキーと自身が近いと話す出口は、作品に入る前に原作者の住野からもらった手紙について言及し、「私だけ凄く淡泊な一言で『バカ可愛いミッキーを演じてください』と書いてあったんです。どんなふうに可愛いミッキーを出せるのか悩んでいたところ、その一言で分かった気がして、私も自然体でいられたらそれが画面に出るのかなと思って。本当に何も考えずにただただ楽しくやっていたら、(ミッキーが)自分ぽくなっちゃって(笑)」と弾けた笑顔を見せた。
体育会系でいつも明るく笑顔な人気者・高崎博文(通称ヅカ)役の佐野晶哉(Aぇ! group)は、パラと恋愛とも友情とも違う関係性を描き出す。「ヅカという役はド陽キャラ。スクールカーストの一番上にいるようなヤツなんですけど、決して嫌なヤツではないんです。誰とでも仲良くできるので、他の人の気持ちが少しだけ見えてしまうから。でも、だからこそその悩みが深くあるんです」と役を分析する。
一方で、予測不能な言動でいつもマイペースな黒田文(通称パラ)役の菊池日菜子は、「パラは凄く人間(ぽい)と思っています。予測不能な言動でちょっとみんなを搔きまわすようなキャラクターと説明されていますが、どうしようもない人間ぽさに共感して、愛おしく感じる感覚があって。認めたくないような人間らしさを、まず自分で認めてあげる作業が必要でした。エルに出会えたことは私自身としても成長できたと思ったので、まさやん(佐野)演じたヅカのお芝居をパラ目線で観たら、きっといいものが受けらるんじゃないかと思います」と」。
菊池の言葉に「そうですね。そこだけに注目してほしいです」と乗っかる佐野。すかさず奥平が「いや、そこだけはダメでしょ。こっちにもくださいよ(笑)」とツッコミを入れ、会場の笑いを誘う場面も。
中川監督は「この作品で一番自信があることは、この5人のキャスティング」と胸を張る。「役にもバッチリハマっていますし、役以外でも役者として人として大好きな人たち」とキャスト陣を称え、「(役どころの)制服姿の彼らしか知らないので、みんなよく話ができるなと思って。撮影は修学旅行しているみたいな気分で楽しかったですね」と横に並ぶキャストたちに目を細めていた。
“生きている学校で撮影がしたい”という監督のたっての希望により、実際に運営されている新潟の学校の夏休み期間に撮影された本作。イベントでは「撮影時の隠し事」をそれぞれフリップに書いて発表することに。
監督は「筋トレ」と書き、「佐野くんが『ドラムをやるので腕を出すので、ちょっとカッコいい腕にしたい』とトレーニングのアドバイスを聞かれたんですが、僕の理想はプロレスラーみたいなバキバキな筋肉なんですけど、ファンの皆さんはそれは望んでいないと思って(笑)、キュッと筋が出るような腕になるようにトレーニングを考えて器具を用意したんです。5Kgくらいの器具をわざわざ新潟まで持っていって撮影の合間にトレーニングしてもらいました」と告白。
成果のほどを「ムキムキですね!脱いだら凄いですけど(笑)」と佐野。続けて「その筋トレ器具が楽屋に置いてあったおかげで5人もやったりして、仲良くなるきっかけにもなりました。いいアイテムで最高でしたね」と、監督に感謝する。
佐野の「かくしごと」は「中川さんからのプレゼント」と発表。「監督から『パラとのシーンが上手くいったらプレゼントあげるよ』って言われて。僕、そんな物で釣らんでもちゃんとお芝居頑張るのに(と思ったけれど)、撮影後にその筋トレ器具をプレゼントしてもらいました」とニッコリ。「後日、実家に届いておばあちゃんしかおらんやって、おばあちゃんが5Kgの器具を家の仲に運んでくれました(笑)」とエピソードも明かし、嬉しそうに笑った。
本作の宣伝取材等で、「あなたのかくしごとは?」と度々尋ねられてきたという出口と奥平。「もう本当に話すことがなくて・・・」としながら、出口は「劇中のイベントのウォーミングアップで“でんぐり返し”をしたけど、上手くできなかったこと」、奥平は「学校の前にあった喫茶店に行ったこと。美味しかったです」と絞り出し、「もう教えることはないです!」と苦笑いしていた。
さらに、イベントでは主題歌を務めるちゃみなからサプライズでコメント映像が届き、「この曲は私の実際の初恋を思い出して、その時の経験を7~8年くらい前に書きました。言いたくても言えない、でもわかってほしい、わかってほしくない・・・というのをぜひ皆さまが大切な人や友達と一緒に大きなスクリーンと良い音響でご覧になって聞いてください」とメッセージを送り、キャストたちも大喜び。
最後に、中川監督が「この5人の魅力が伝わっていればいいなと思います。それぞれのかくしごとが何なのか、何で隠さなきゃいけないのかを思い巡らせて観ていただけるとより味わい深い作品になると思います」と声をかけ、出口は「観ていただければ、キャッチフレーズの“純度100%”の意味が分かると思います」と。奥平は「原作ファンの方にも住野よるさんのファンの方にも、いい映画だったと思ってもらえると思います。フィクションの部分もありますが、5人の気持ちや行動は決してフィクションではなく、現実の僕たちたしてもおかしくないこと。ぜひ自分に当てはめて観てほしいです。そして、住野よるさんが、『この映画は自分が自分であることを肯定してくれる作品』と仰っていました。純粋にこの温かい作品を楽しんでください」と思いの丈を口にし、イベントを締めくくった。
【作品概要】
■タイトル : か「」く「」し「」ご「」と「 ※と の後のかぎかっこは閉じません。
■主演:奥平大兼 出口夏希
■出演:佐野晶哉(Aぇ! group) 菊池日菜子 早瀬憩
■監督・脚本:中川駿
■原作:住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』(新潮文庫刊)
■配給:松竹
■コピーライト:(C)2025『か「」く「」し「」ご「」と「』製作委員会
(C)2017住野よる/新潮社
■公開 :5月30日(金) 全国公開
■公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/eigakakushigoto
公式X:https://x.com/eigakakushigoto
公式Instagram:https://www.instagram.com/eigakakushigoto
公式TikTok:https://www.tiktok.com/@eigakakushigoto
■STORY
みんなには隠している、少しだけ特別なチカラ。
それぞれの“かくしごと”が織りなす、もどかしくも切ない物語。
「自分なんて」と引け目を感じている高校生・京(奥平大兼)は、ヒロインじゃなくてヒーローになりたいクラスの人気者・三木(出口夏希)が、気になって仕方がない。三木の親友で予測不能な言動でつかめない存在の黒田文・通称パラ(菊池日菜子)と、明るく楽しそうな彼女を、いつも遠くから見つめるだけ。そんな三木の幼馴染で京の親友の、高崎博文・通称ヅカ(佐野晶哉)を通し、卒業するその日まで“友達の友達”として一緒にいるはずだった──
ある日、内気な性格の宮里(早瀬憩)が、学校に来なくなったことをきっかけに、5人の想いが動き出す───
5月30日(金)ROADSHOW