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尾野真千子、大粒の涙で訴え「命を懸けて撮った。劇場で観て欲しい」 映画『茜色に焼かれる』公開前夜最速上映会

タイトル

尾野真千子、和田庵、片山友希、石井裕也監督登壇
公開前夜最速上映会
「命を懸けて撮った。劇場で観て欲しい」尾野真千子、大粒の涙で訴え

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主演・尾野真千子を迎え、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏らが共演する石井裕也監督最新作となる映画『茜色に焼かれる』が5月21日(金)より全国公開した。今の世相に正面から対峙し、もがきながらも懸命に生きようとする「母の生き方」を捉えた圧倒的な愛と希望の物語。本作は昨年の撮影時からこの世相に正面から対峙し、製作いる。公開においても、あらゆる観点から判断した結果、感染拡大の防止に細心の注意を払い、当初の予定通り5/21(金)に初日を迎えた。 公開前夜となる5月20日には、TOHOシネマズ川崎で本作の公開前夜最速上映会が行われ、映画上映後に尾野真千子、和田庵、片山友希、石井裕也監督が登壇する舞台あいさつが行われた。

大勢の観客の前に立った尾野は「ようやく公開となりました。本当にこんなに公開がうれしいと思えるのは、何年ぶりだろうと。とても感動しています」と感激の表情。石井監督も「本当に、今作るべき映画だと思いましたし、こういう状況ですが、今、公開するべき映画だと思っています」と続けた。

イベント中には、現代の世の中の生きづらさの中にも、石井監督らしい希望がある映画だったという指摘を受けた石井監督は「もちろん今を生きるのが大変、つらい、苦しいというのは誰でも言える。その中で希望のようなものを見出すのが表現者としての気持ち。少しでも前向きな映画になっているとしたら、尾野真千子さんの存在が大きかった。この人にしかできない役だったし、この人にしかできない映画だったと思います」とコメント。尾野も「台本の中に含まれている、すべての物語が今、自分でやらなきゃいけないものが詰まっていて。本当に魅力的な台本だったんです」と振り返った。

そして共演者も、尾野の存在に助けられたという。まず和田が「最初は、正直に言うと怖い方なのかなと思っていたんですが、初めてお会いした時からそんなことはなくて。本当に明るくて優しい方でした。現場でも本当の親子のように接してくれたので、僕も肩の力を抜いて、自然な演技ができたんじゃないかなと思います」と尾野への思いを述べると、片山も「現場でも『コーヒーを飲む?』『お昼、一緒に食べる?』と話しかけてくれて。尾野さんの明るさに助けられました。わたしはすごくかっこいい先輩とお芝居しているんだなと思いました」と感激の表情を見せる。

石井監督にとって、本作の母親は尾野真千子を想定して描いたとのことで、「この母親を演じられるのは尾野さんしかいない。最初から尾野さんにオファーをしようと思っていたし、尾野さんからやらないと言われたら辞めようと思いました」という強い思いを抱いていたそうだが、「ただこういう状況ですし、今日もそうですが、ある覚悟を持って選択しないといけないことや、自分の頭で判断しなければいけないことも多かった。尾野さんも死ぬ気でやっていたのが分かったので。そういう尾野さんの思いに応えるためにも、こちらも本気を出さないといけないなと思いました」とコメント。そのかいあり、「同じ方向を見て戦いあった、高次元の関係性を結ぶことができた」と自負した。

その言葉通り、劇中では主人公の良子が、信じていた“とある男性”にだまされて、女性としての尊厳を著しく傷つけられるというシーンがある。そのシーンを振り返って「久しぶりに撮影中に(役から)抜け出せなくなって。『監督、時間をちょうだい』と言った。でもそれは自分が全力でここにいるからだと思って、うれしかったんです。一歩、自分を引いて観た時にこんな自分もいたんだな、これも自分なんだと思って。40(歳)間近にして、自分を見つめ直した時間でした」と語る尾野。本作を通じて「変わることができた。今の年齢でそう思えたのは幸せですね」と付け加えた。

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 そして最後のコメントを求められた尾野は涙を浮かべながら「この映画はわたしにとって最高の映画です。もうコロナ関係なく言います。劇場で観てほしいんです。怒られるかもしれないですけど、皆さんと手と手をとりあって観に来てほしいんです。命をかけて撮った作品です。こんなやりにくい状況の中で、わたしたちの仕事はもうできないかもしれないという恐怖が襲ってきて。でも今、みんなとこういう作品を伝えないといけない。それがわたしたちの使命だと思って。スタッフも、出演者も、監督も、お金を集めてくれた人も、場所を貸してくれた人も、みんな命がけでやりました。こんな最高な作品はありません。ぜひ劇場でみていただきたい。そういう気持ちで作りました」と切々と語ります。そして最後にふりしぼるように「泣いてすみません。でも皆さんが笑って劇場に来てくださるよう。コロナに負けるな。頑張ろうね」とメッセージを送った。

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映画『茜色に焼かれる』
≪あらすじ≫
悪い冗談みたいなことばかり起きるこの世界で母ちゃんも、僕も、生きて、生きる。
1組の母と息子がいる。7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母子。母の名前は田中良子。彼女は昔演劇に傾倒しており、お芝居が上手だ。中学生の息子・純平をひとりで育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院している義父の面倒もみている。経営していたカフェはコロナ禍で破綻。花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はいじめにあっている。数年振りに会った同級生にはふられた。社会的弱者―それがなんだというのだ。そう、この全てが良子の人生を熱くしていくのだからー。はたして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは?

尾野真千子 和田 庵 片山友希 / オダギリジョー 永瀬正敏
監督・脚本・編集:石井裕也
製作幹事:朝日新聞社
制作:RIKIプロジェクト
配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ
2021年/日本/144分/カラー/シネマスコープ/5.1ch R-15+
©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ
公式サイト:https://akaneiro-movie.com/

5月21日(金)より全国公開