Open Close

敗戦を迎え、日本に戻ることが出来なくなった2人の名噺家 こまつ座『円生と志ん生』開幕 囲み取材

9月8日に初日を迎えたこまつ座公演『円生と志ん生』が、前日に囲み取材を行った。

昭和の大名人噺家と呼ばれる六代目三遊亭円生と五代目古今亭志ん生が、満洲に渡った後に敗戦を迎え、日本に戻ることが出来なくなった史実をもとに、井上ひさしらしい大胆な発想と趣向を駆使した作品。
顔も声も志ん生にそっくりと言われるラサール・石井を始め、大森博史、大空ゆうひ、前田亜季、太田緑ロランス、池谷のぶえと、こまつ座にとってはフレッシュな顔ぶれが多く揃った。 演出は鵜山仁。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

太田緑ロランス 池谷のぶえ 大空ゆうひ 前田亜季
鵜山仁  ラサール石井  大森博史

こまつ座代表 井上麻矢よりご挨拶
「満州に取り残された日本人。引き揚げの時に苦労して途中で命が途切れて戻れない人もいた。その取り残された中にこの噺家2人がいた。
言葉に渇望し、言葉がわかる人の前で落語をやりたいと思っていた、命がけの珍道中。こういう歴史が過去あって、それでもめげずに名人になった二人。 この二人を通してきちんと歴史を再現することが大事だと生前井上ひさしも話していました。ラサールさん、大森さんはじめ皆さんやっと念願かなって出演となり、 鵜山さんの力を借りて形になってお届けできることを嬉しく思います」

鵜山仁
「敗戦体験、終戦体験をしたおかげで2人は落語がうまくなったと言われている。
だからこの芝居をやると芝居がうまくなるはず(笑)。そして生きることが上手になる。
ご期待頂きたい」

大森博史
「円生の魅力に引き込まれています。人間が好きだったんだな、というのをとても感じています。
この役は役者冥利につきます」

ラサール石井
「志ん生を演じるのは芸人のはしくれとして恐れ多いです。 頭を剃ってみたけど、頭の形が違うので百田尚樹さんに近くなってしまいました(笑)。
学生時代から井上作品にはあこがれていた。これほど初日がこわいのは初めてです。 ちょっとでも見守ってほしいと思って今日鎌倉にお墓参りにいった。 明日は志ん生師匠のお墓参りに行こうかな。ちょっとでも見守ってほしいので」

大空ゆうひ
「こまつ座作品初めての参加です。ずっとあこがれていて、稽古場から幸せをかみしめていました。
素敵な言葉がたくさんなので、心と言葉を大切にして、毎日を愛おしみながらがんばります」

池谷のぶえ
「女性4人で20人分を演じる、その重みを感じ、 その時代の女性たちをリスペクトして演じたいと思います。
こまつ座は初めてなので、どんなお客様なのか楽しみ。早くみていただきたいです」

前田亜季
「大変な時代、大変な生活だった。でも師匠たちのまわりにはいつも笑いがあった。 女性達はその笑いに助けてもらい、元気づけてもらっていた。
笑いの力を信じて精いっぱいつとめたいと思います」

太田緑ロランス
「本当に大変な時代を笑いの力を借りて生き延びた女性達に0.1ミリくらいは近づけたらいいな。
稽古場では力いっぱい1ヶ月作ってきたので、これから本番は力みすぎずに演じられたらと思っています」

こまつ座 第119回公演『円生と志ん生』
2017年9月8日(金)〜9月24日(日)
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
http://www.komatsuza.co.jp/