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古典歌舞伎の手法で新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』を! 製作発表会見 

宮崎駿の漫画を原作にした新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』が、2019年12月6日(金)~25日(水)に新橋演舞場にて上演される。
9月30日に製作発表記者会見が行われ、出演する尾上菊之助、中村七之助、演出のG2と安孫子正氏(松竹株式会社 代表取締役副社長)、そして鈴木敏夫氏(株式会社スタジオジブリ 代表取締役プロデューサー)が登壇。大勢のマスコミが集まる中、歌舞伎上演までの経緯や作品の構想が明かされた。

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左から G2   中村七之助  尾上菊之助   鈴木敏夫氏  安孫子正氏

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 我孫子正氏:「ジブリさんの作品を歌舞伎にできないかと、常々考えていた。今回、鈴木様の御助力を頂いて、歌舞伎にする機会を頂けたことを本当に感謝しております。菊之助さんが随分前から強い思いで『なんとか歌舞伎で出来ないか』と熱意を持って語っておられました。そういうそれぞれの思いが重なって実現しました。

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鈴木敏夫氏:宮崎駿にとって『風の谷のナウシカ』という作品は一番大事な作品だった。精根込めて、自分の持っているものをすべて込めた。その後、いろんな作品を作ってきましたが、彼のそばにいて僕は分かっていました。彼の中心にあるのは、この『風の谷のナウシカ』でした。
これまでハリウッドから実写映画にしたいとか、各方面からいろんな話があったけれど、全部お断りしてきた。それが今回に限っては、なぜか「やろうよ」と言ってくれた。その時に宮崎が出した条件が2つ。「タイトルを変えないこと。記者会見その他、いろんなことがあるだろうけど協力しないよ。鈴木さんがやってくれるなら」と。
私の母が大の歌舞伎のファンでした。歌舞伎の仕事に関わらせて頂いて、楽しい仕事になっています。良い作品を作って下さい。期待しています。

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G2:150年ぶりとなるかもしれない新作歌舞伎(昼夜)通し公演。菊之助さんから「なるたけ古典歌舞伎の手法でやりたい」との言葉もあります。35年前に発表されたアニメもほぼ古典ですから、古典と古典が融合してどういう反応が起きるか、しっかりお届けできるように、知力・体力・気力の限界まで頑張りたいと思っています。

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ナウシカ役 尾上菊之助:約5年前から準備を始めまして、今日、皆様にご紹介できますこと、今、すごく武者震いをしています。
生み出す苦しみより、ジブリの作品に寄り添い、歌舞伎ファンの方に納得して頂ける、ジブリファンの方にも絶対納得して頂ける作品にしようと鋭意制作段階に入っています。

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クシャナ役 中村七之助:私が映画「かぐや姫」に出させて頂いたことがありますが、とにかくうちの兄がジブリ作品の大ファンで、ナウシカが初恋の人なんです。(笑)スタジオジブリさんに声の収録に行くときにも、兄の運転で兄と愛さんと3人で行きました。2人は大喜びでしたが、僕は大好きなジブリの作品ということでずっと胃が痛かった覚えがあります。
そして今回は僕たちのホームの歌舞伎でやらせて頂ける。宮崎さんの思いを改めて聞いて、全員で素晴らしい作品にしないと歌舞伎のためにもスタジオジブリのためにもならないので、それを肝に銘じて、一日一日励みたいと思っています。

質疑応答では

―スペクタクルなシーンの演出上の見せ方について
G2:あくまで歌舞伎の手法にのっとってやりたい。原作は空を飛び、オームが出てきたり古代生物が出てきたりする。その辺の外連(ケレン)は、昨今の手法ではなく、いかにも歌舞伎という手法でしっかり出していきたい。元々歌舞伎はSFX的な効果を江戸時代からつくっていたり、見立てで1階部分を2階に見立てたりといろいろな手法があるので、それを駆使して漫画・アニメの世界に肉薄できるようにがんばりたい。

―衣装・道具なども古典歌舞伎に準じたものになりますか?
菊之助:はい、古典歌舞伎に準じたものになります。ただ主要人物たちに関していうと、登場した時にお客様にすぐに「ナウシカだ」「クシャナだ」と分かって頂けるように、 少し寄り添っていこうと思っています。ナウシカだと髪型や衣装のエッセンスの部分をどう歌舞伎と融合させて表すのか。今回の衣裳はいつも松竹(歌舞伎)で衣装を担当して下さっている方が「僕、衣装のラフスケッチを描いたことがないです」といいながら、床山さんも「どうしましょう」といいながら、職人が手探りで作り上げています。古典の力を信じている人たちが力を合わせて制作にはいっています。細かな小道具の制作にも、小道具さんたちにいつもにはない目の輝きがありました。(笑)制作スタッフがキラキラしながら制作して頂いています。

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公演タイトルは鈴木プロデューサーの手による。
「歌舞伎の世界に近づけたロゴができないかと考えて書きました」とのこと。

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菊之助と七之助は囲み取材にも登場した。
菊之助:曲も久石譲さんのお作りになった楽曲も何曲かお借りして、和楽器で演奏することもやっておりまして、ご来場頂いた方には「これは、あの場面の音楽だ」と思って頂けるように打ち合わせを重ねています。
古典歌舞伎とみなさんご存じの『風の谷にナウシカ』との合流点を探すのが大変です。脚本に関しては、ジブリの作品を手掛けておられる丹羽圭子さんと松竹の文芸部の方が合作で書いておられるので、かなり原作の1~7巻を忠実に描いています。そこでどう歌舞伎らしさを出していくのか。飛び六法をつかってみる、(衣装の早変わりの)引き抜けがあったり、本水の立ち回りや宙乗りとか、その大きな外連味も入れつつ、細かいところでは衣装ですね。どこまでキャラクターに寄り添っていくのか。アニメに寄り過ぎてしまうと歌舞伎らしさを感じて頂けないので、上手い合流地点を探すのが醍醐味です。

七之助:決まってからテレビ放送で見ました。これまでにも10回以上は見ていますが、苦しい思いでみました。「このシーン、どうやってやるんだろう?」という思いで見ていたので、全然楽しくなかったです。でも、この仕事をさせてもらって、良い苦しみなのかと。成功した時に喜びに変わるのが、すごいものなので、それを楽しみにやりたいと思います。
兄は大好きな作品なので「何でも手伝う」と言うと思います。出演するのは難しいと思いますが、お願いしたら何でもしてくれると思います。

 

新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』仮チラシ

新橋演舞場 12月公演
新作歌舞伎『風の谷のナウシカ』

日程:2019年12月6日(金)初日~25日(水)千穐楽
昼の部・夜の部で通し上演
会場:新橋演舞場
料金(税込):1等席 17,000円、2等A席 10,000円、2等B席 6,500円、3階A席 6,500円、3階B席 3,000円、桟敷席 18,000円
公式サイト:https://www.nausicaa-kabuki.com/

原作:漫画「風の谷のナウシカ」宮崎駿
脚本:丹羽圭子、戸部和久
演出:G 2
出演
ナウシカ 尾上菊之助
クシャナ 中村七之助
ユパ 尾上松也
セルム/墓の主の精 中村歌昇
ミラルパ/ナムリス 坂東巳之助
アスベル/オーマの精 尾上右近
道化 中村種之助
ケチャ 中村米吉
第三皇子/神官 中村吉之丞
ミト/トルメキアの将軍 市村橘太郎
上人 嵐橘三郎
クロトワ 片岡亀蔵
ジル 河原崎権十郎
城ババ 市村萬次郎
チャルカ 中村錦之助
マニ族僧正 中村又五郎
ヴ王 中村歌六

<非売品グッズ付きセット券販売>
【昼の部・夜の部 セット券(税込)1等席34,000円 (*非売品グッズ付)
受付期間:2019年10月4日(日)~2019年10月13日(日)まで
【チケットホン松竹 セット券専用ダイヤル】03-6745-0111
(販売期間中10:00~18:00)