N.Y.のOff Off Broadway世界演劇祭で初演され、最優秀ミュージカル賞など4部門を受賞。日本では2016年2017年と上演されたNew Musical『Color of Life』が、この春、新たなキャストで上演される。
脚本・作詞・演出の石丸さち子と作曲・編曲の伊藤靖浩が生み出した感動作を、若き実力派の東啓介と青野紗穂がどう見せてくれるのか?
桜の花がほころび始めた頃、東啓介を訪ねた。
―今回の作品は、N.Y.行きの飛行機で出会った和也とレイチェルという男女二人の物語ですが、実際にN.Y.に行かれたそうですね。飛行機でロマンスが生まれたりとかは?
なかったですね。ずっと映画を見ていました(笑)。
―N.Y.はいかがでしたか?
N.Y.は初めてで一週間滞在しましたが、毎日がお祭りのようににぎわっている場所で、感じたことのない感覚を味わった気がします。『ライオンキング』『オペラ座の怪人』『スリープ・ノー・モア』『ディア・エヴァン・ハンセン』の4作品を観ました。とても良かったです。ずっと前から「絶対に行って観たほうがいいよ」と言われていましたが、想像以上にすばらしくて面白かったです。
―英語の勉強はされていかれたのですか?
両親がずっとアメリカで仕事をしていたので、僕も聞き取りはできるのですが、言葉が思うように口から出てこなくて…。今回NYに行って、もっと英会話ができたらな…と思いました。
―New Musical『Color of Life』の作品魅力はどこだと思っておられますか?
「出会いの奇跡」でしょうか。誰しも他人と一言二言、言葉をかわすだけのことってよくあるでしょう。そんな始まりが、意図せずして良い方向にばかり繋がっていく…素敵だな、魅力的だなと思います。一緒にいることで和也は絵が描けるようになる、レイチェルは前の恋人のことを忘れるわけではないけれど、落ち着けるようになる。素直ですがすがしい。それがこの作品の魅力でしょうか。
―演じる和也役の魅力は?
和也はかわいいんです。恋に落ちている男子です。あまり英語もしゃべれないのに海外に行って、レイチェルに出会って「彼女は悲しいことを、なぜ楽しげに話しているんだろう?」と不思議に思いつつ「でもなぜか一緒にいると楽しいな」と感じて魅かれていく。そして、彼女と出会って描けなかった絵が描けるようになる。(描きたい気持ちが)どんどん湧き出てくる。「自分はこの子と一緒にいたいんだ」というピュアな気持ちが素敵だなと思います。
―和也をどう演じようと思っていますか?
純粋にレイチェルに転がされるのかな…(笑)。前半は特に和也はあまり話しをしないので、レイチェルの話しやしぐさに新鮮に反応しながら、レイチェルを好きになっていけたらいいかなと思っています。
―レイチェル役の青野さんの印象は?
まだお会いしたばかりなのですが、無邪気で直感で動く方だというのが感じられて、それがとてもレイチェルらしいな、とても似合っているなと思いました。話も合うし、やり易いと思いました。
―台本はあると思いますが、この2人だからこそ生まれる部分もあると思います。それについてどう考えておられますか?
アドリブを入れることになっている部分もかなりあるんです。その時に「何を言ってくるのかな?」「どうリアクションをしようかな」という楽しみがあります。
―稽古が始まっての手ごたえは?
初めての二人芝居のミュージカルに挑戦しているので、一つは、そのリアリティを表現すること難しさを感じています。ストレートプレイを小劇場でやるのであれば、そのままを見ていただければいいのですが、今回はミュージカルなので、歌っている時にあえて見せようとしてしまうと、ちょっと世界観が変わったり、日常感がなくなってしまったりするので、そこがむずかしいです。
もう一つは、今回の(客席が舞台を両側から挟む形で配置されている)対面客席での動き方が今までとは違う頭を使うので、研究中です。
―自分が演じることで、この作品のどんな魅力を見せられるとおもいますか? あるいは、自分のこんなところを引き出したいと思いところはありますか?
う~ん、歌でしょうか。歌の力はとても大きいと思いますし、歌が好きなので、そこで和也の魅力を引き出していけたらと思っています。
でも、この作品はこれまでに触れたことがないメロディや歌詞だったので難しいです。歌稽古の期間が短かったので、自分で楽譜を読み解いていく作業が長くかかり、歌詞を覚えるのも苦労しました。でもその機会をいただけたので、より勉強できたと思います。
―歌といえば、東さんがこの作品の楽曲をレコーディングする映像がHPにアップされていますね。
あれは、その場で歌ってディレクション頂いて、すぐにレコーディングしました。(周りから驚きの声が上がった)楽曲の力は大きくて、自分だったらどう心が動くかと考えて、衝動的に歌っていました。
―とても表現豊かで、美しい高音が印象的です。ご自分の声についてどう感じてしますか?
僕は、元々歌うのが嫌いだったんです。カラオケも中学3年で初めて行ったのですが、恥ずかしくて他人が歌うのを聞いている方でした。それがこの仕事を始めてみんなで作り上げていく楽しさを知って「もっと自分が歌いたい」と思えて、それからボイストレーニングを始めました。なので、自分の声を「いい声だ」と思ったことは一回もないです。褒めて頂けると、不思議な感覚です。「ありがとうございます」としか言えないです。
―歌っている時に心掛けていることは?
2つあって、言葉と感情を大切にしています。日本語の歌は1音に対して入る言葉の数が限られています。何を言っているのか伝わらないとストレスになるので、言葉を意識します。日本語は50音が同じでもイントネーションによって違う意味に聞こえる言葉も多いので、アクセントで正しく伝えられるようにしたり、気をつけています。
舞台では少し音符を揺らしても、言葉と感情を伝えるようにしています。
―この作品は「出会いの奇跡がテーマのひとつ」とのことですが、東さんにとっての出会いの奇跡は?
事務所の先輩の柳下大さんと去年の春に『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』で初めて共演しました。とても親身になって話を聞いてくれて、自分がこれまでやってきたことを惜しみなく教えてくれて、その姿がとても素敵で、今でも週に一度は必ず会うくらいの仲です。ホントに出会いの奇跡だと思っています。
―では、ミュージカル公演をみたことがあまりない方に、公演を楽しみにしている方にメッセージをお願いします。
小さな劇場での公演で、今回は対面客席なのも面白いと思います。楽曲がとても良くて、シンプルな物語も魅力的なので、ライブを聞きにいくような感覚でふらっと劇場にきて楽しんでもらえると思います。
5月に上演ですが、5月病のようにやる気が起きないようなときに、この作品をみてもらったら、「明日、あの人とちゃんと話してみようかな」とか、新しい環境でも「もっと人を知ってみようかな」と前向きに考えられるような「誰かに会いたくなる、触れ合いたくような」作品だと思います。
5月1日から27日まで長くDDD青山クロスシアターで上演しています。是非、劇場においで下さい。お待ちしています。
東 啓介(ひがし・けいすけ)
1995年7月14日生まれ、東京都出身。
舞台『刀剣乱舞』シリーズや、『スカーレット・ピンパーネル』『マタ・ハリ』『5DAYS 辺境のロミオとジュリエット』など、舞台を中心に幅広く活躍。7月には『中村雅俊45thアニバーサリー公演』、11月にはミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』で念願の帝国劇場に出演する。
New Musical『Color of Life』
脚本・作詞・演出 石丸さち子
作曲・編曲 伊藤靖浩
キャスト 東啓介 青野紗穂
【プレビュー公演】2019年4月26日(金)
相模女子大学グリーンホール 多目的ホール
【東京公演】2019年5月1日(水・祝)~5月27日(月)
DDD青山クロスシアター
https://coloroflife.westage.jp/
【アフタートーク開催決定!】
・5月3日(金・祝)17:00公演【ゲスト:相葉裕樹】
・5月4日(土・祝)17:00公演【ゲスト:納谷健】
・5月9日(木)19:00公演【ゲスト:上口耕平】
・5月10日(金)19:00公演【ゲスト:渡辺大輔】※司会進行:青野紗穂
・5月15日(水)19:00公演【ゲスト:松岡充】
・5月16日(木)19:00公演【ゲスト:前島亜美】※司会進行:青野紗穂
・5月17日(金)19:00公演【ゲスト:三津谷亮】
・5月22日(水)19:00公演【ゲスト:三浦涼介】
・5月23日(木)14:00公演【ゲスト:前山剛久】
※司会進行は東啓介・青野紗穂が担当致します。