映画『パラダイス・ネクスト』の公開記念舞台挨拶が、7月30日、東京・新宿武蔵野館にて行われ、ダブル主演の妻夫木聡と豊川悦司、監督の半野喜弘が登壇した。
本作は、ある女性の不審死事件をきっかけに、存在を隠して生きていたヤクザと、彼の前に突然現れた男が、南国・台湾を舞台に行き先不明の逃避行していく様を描くノワール・サスペンス。女性のボディガードをしていたヤクザ…島役を豊川、島の前に現れた事件の謎を握る・牧野役を妻夫木が演じる。
半野監督は、映画公開について「構想から10年、3人（妻夫木と豊川）でこの作品を作ろうと話して3～4年経ちます。完成を目標としていましたが、“もう無理だ”と何度も言っていた。こうやって皆さまに観ていただき幸せです」と感無量の様子。
妻夫木も「監督とお会いして、台本をいただいたから3年半くらい経ちます。何度も飲みながら話しましたかね？(笑)」と監督と顔を見合わせる。「何度（制作が）ダメになるかわからなかった。日本のスタッフ、台湾のスタッフの方々のお力で、公開できてよかったです」としみじみ。
豊川は「僕は絶対（完成は）無理だと思っていましたよ。誰が（この映画に）金を出すんだよってね」と完成までの苦労を滲ませ、「この経験は今後の自分のモチベーションになりました」と明かした。
クライマックスとなる妻夫木と豊川の車中のシーンでは、一発勝負での撮影になったという。実は半野監督と妻夫木が豊川にアドリブを仕掛ける形での撮影となった。妻夫木は「脚本に書かれているだけではない何かがあるはずと思って、半野監督に相談したところ、督からは『任せます』と言われました」と告白。実は半野監督と妻夫木が豊川には内緒でアドリブに挑んだそうだ。豊川は「撮影の前の晩にブッキーと半野監督が二人でコソコソしていて、何か企んでいるなぁと思ったら案の定(笑)。でも、テンション優先の撮影ができて凄く楽しかった」と充実感を滲ませた。
それでも、妻夫木は「むち打ちになりそうなくらい豊川さんから窓に打ちつけられて･･･」と、豊川の熱演にタジタジ。豊川は「俺に内緒でこの野郎！･･･、そんな感じですよね」と言って笑いを誘った。
豊川が豚をさばくシーンに話が及ぶと、豊川は「実際にやりましたよ。豚をさばくのは初めてです。渡された包丁が切りにくい刃で･･･。一生懸命に豚を切っていたのに、カメラはずっと妻夫木聡ばかりを撮っていてさ…」と、ぼやく場面も。豚とトラックに同乗した妻夫木は「豚の匂いには慣れたけど、手袋に蓄積された匂いがね」と匂いに苦戦したことを吐露。すると、豊川は「僕は豚と一緒にいるブッキーのことを“ブタブキ”と呼んでいましたよ。（シンルー/シャオエン役の）ニッキーも言ってたよ」とジョークを飛ばす。それには「そんな風に言ってないでしょ！(笑)。ニッキー日本語喋れないし！」と大爆笑。中国語に苦労した豊川に、中国映画にも出演経験がある妻夫木がフォローするなど、濃密な人間関係も築いていったようだ。
最後に豊川は「この作品は自分にとって大切な1本になりました。凄く楽しかったし、自分はわかりにくい映画が好きなんです(笑)。でも、映画だからこそ見られるものがあるんです」とコメント。妻夫木は「確かにわかりづらい映画かもしれないけれど、作品を観た人が頭で考えて自分の答えを導き出していくような振り幅がある作品が好き。本作で語られる楽園とは何か、観客のみなさんにとっての楽園とは何かを考えることのできる映画になっていると思います」とアピールし、舞台挨拶を締めくくった。
＜STORY＞
世間から身を隠すように台北で生きる男・島(シマ)（豊川悦司）の前に、突然お調子者で馴れ馴れしい男・牧野(マキノ)（妻夫木聡）が現れる。牧野は初めて会う島の名前を知っており、島が台湾にやって来るきっかけになった“ある事件”のことを知っていると言う。
その牧野が何者かに命を狙われていることを知った島は、追手から逃れるため牧野を連れて台北から花蓮へ向かう。花蓮に辿り着いた二人の前に、シャオエン（ニッキー・シエ）という女性が現れる。この運命の出会いによって、牧野と島の閉ざされた過去が明らかになり、二人の逃避行は楽園を探す旅に変わっていく…
出演：妻夫木聡、豊川悦司、ニッキー・シエ、カイザー・チュアン、マイケル・ホァン、大鷹明良
監督・脚本・音楽：半野喜弘
音楽：坂本龍一
文化庁文化芸術振興費補助金（国際共同製作映画）
2019年／日本・台湾／日本語・中国語／カラー／ビスタ／100分
原題：PARADISE NEXT
配給：ハーク
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公式サイト：http://hark3.com/paradisenext/
新宿武蔵野館ほか全国順次公開中！
