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第1回「木下グループ新人監督賞」グランプリに山田篤宏氏が受賞!

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第1回「木下グループ新人監督賞」の授賞式が、7月26日、東京・キノフィルムズ六本木試写室にて開催され、グランプリに山田篤宏監督の『AWAKE(仮題)』、準グランプリに荒木伸二監督の『人数に町』が輝いた。

この「新人監督賞」は、映画会社キノフィルムズを有する木下グループが、才能溢れる若いクリエイターにむけて明確な道しるべを提示するために企画、実施したもの。
受賞した作品には上限5000万円の製作費が提供され、キノフィルムズのプロデューサーの協力のもと劇場公開を目指していく。さらに、この日の受賞式では映画製作費とは別に、グランプリには 賞金50万円、準グランプリには 賞金25万円が授与された。

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キノフィルムズ社長の武部由実子氏は「私は海外の映画祭へ行くたびに、色々な国の新しい監督のオリジナル作品に刺激を受けています。しかし、日本国内に目を向けてみると、ベストセラーの原作もの以外、なかなか製作できないという現状。少しでもそれを打破したいという気持ちで今回のプロジェクトが発足しました」と企画発足理由とその思いを述べた。

長編映画の脚本を書くことを条件に、プロアマ、年齢、性別、国籍、関係なく募集をかけ、今回、応募総数241作品の中からグランプリと準グランプリが選ばれた。なお、審査員長はカンヌ国際映画祭など海外で高い評価を受ける河瀬直美監督が務めた。

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【グランプリ】
山田篤宏監督『AWAKE(仮題)』
2015年、AI VSプロ棋士の「将棋電王戦」で人間側がAIに勝利したという、将棋ファンの間では伝説の1局を元にしたオリジナルストーリー。天才棋士と謳われる青年とAI将棋で天才に挑む青年。この二人は実は子供時代、ともに将棋のプロを目指すライバルだった。将棋をあきらめた青年はどんな人生を歩んだのか。AI将棋の開発者として成長した青年と、常に天才棋士と言われてきた青年。選ばれたもの VS 選ばれなかったものの人間ドラマ。

<山田監督 コメント>
3年ぐらい前に携帯アプリの将棋ゲームにハマりだしまして、その後、電王戦のニュースを見て、興味深い内容だと思い脚本を書きました。まさか、今ここまで将棋が注目されるとは思っていませんでしたが、将棋を知らない人もエンターテイメントとして楽しんでいただき、将棋を知っている人にも恥じない作品になれば・・・と思います。

<河瀨直美監督 寸評>
棋士とAIの対決という実際の出来事をベースに、選ばれし者と選ばれなかった者の間に横たわる違いや葛藤を丁寧に掬い上げ、人間ドラマに昇華させた山田監督の手腕に期待。

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【準グランプリ】
荒木伸二監督『人数の町』
主人公は借金を踏み倒し、仕事もなく路頭に迷う青年。ツナギの作業服を着た男達に「居場所を用意しよう」と持ちかけられる。同じく誘いに乗った人たちとともに、知らない町に連れて行かれ、現金や携帯を没収させられ、番号を与えられた生活が始まる。オンラインゲームをしたり、決められたことをネットに書き込みまくったり、ひたすら署名をしたり。個人としてではなく人数をまっとうする生き方。そこは「人数の町」。主人公はある女性との出会いをきっかけに人数の町から逃亡を図る。過酷な労働もなく生活も保障されている。そんな人数の町の生活を捨ててまで、彼らは何を信じて逃亡をするのか…。果たしてその結末は。哲学的SFファンタジー。

<荒木監督 コメント>
私自身、以前から「人数」というものは怖いと思っていて、ゾワゾワするものがありました。安定した生活を保証された「人数の町」を捨てて、個人として存在する意味を書きたいと思いました。

<河瀨直美監督 寸評>
個人としてではなく人数の一部として人が存在するという独特の発想が面白い。
現実感のあるSF設定に、時折、哲学的な様相が見え、奥深さを感じた。

上記2作品については、早ければ来年度中に劇場公開を目指し開発をスタートする予定。
映画完成を楽しみに待ちたい。

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