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「これほど面白い映画はない!」【第30回東京国際映画祭】台湾電影ルネッサンス2017部門『怪怪怪怪物!』Q&A ギデンズ・コー(九把刀)監督&ユージェニー・リウ(劉奕兒)

ホラー10月26日ワールド・フォーカス 台湾電影ルネッサンス2017部門『怪怪怪怪物!』のQ&Aに、監督のギデンズ・コー(九把刀)と大きな怪物役を演じたユージェニー・リウ(劉奕兒)が登壇した。ひっさげてきた作品は、台湾映画の熱を伝える面白過ぎる怪作。劇中の怪物を演じたのリウの女優魂にも感動させられる作品で、大いに盛り上がったQ&Aとなった。

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本作は原題を『報告老師!怪怪怪怪物!』(老師は先生のこと)という学園モノホラー。
監督のギデンズ・コー(九把刀)はベストセラー小説家として知られ、映画にも進出。映画プロデューサーや監督としても活躍。大ヒットし、日本でのリメイクが決まっている映画『あの頃、君を追いかけた』(原題:那些年,我們一起追的女孩)の監督として日本でも知られている。
ユージェニー・リウ(劉奕兒)は、デビュー間もなく出演したドラマ『美好年代』で女性主人公を演じブレイクした台湾の新世代女優。本作が映画初出演。
その美しい素顔・抜群のスタイルから本作での怪物役は想像もつかないだろう。本作でアクション指導をつとめたジミー・ハン(洪天祥、サモハンキンポーの息子)との交際ぶりが連日報道されるトップ人気女優だ。

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この映画は今年夏休みに台湾でロードショーされ、実はコー監督作品としては珍しく「あまりヒットしなかった」と言われた作品。
だが「これほど面白い映画はない!」
ホラー映画として怖さだけを求めるならば物足りないかもしれないが、問題提議もたっぷり含んでおり、見た後には語らずにはいられなくなる作品。東京国際映画祭での上映後の劇場では、観客の興奮が渦巻き、脈打つのが感じられた。

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そんな中、登場した2人。コー監督は「僕は香港映画と日本の漫画で育った台湾の子供です。僕の映画の中にもそんな表現があふれています。この映画の主人公の机の上にあったのは日本の漫画家伊藤潤二の漫画です。僕も彼の漫画を見て小説を書き始めました。彼は僕の精神的な先生のひとりであり、この作品にとっても」と自己紹介。
本作にはクー・チェンドン(柯震東)、ヴィヴィアン・ソン(宋芸樺)などスターがカメオ出演しているのだが、「台湾ではこんなジャンルの映画はとても少ないので、喜んで参加して変な役をやってくれました。この場面のためにクー・チェンドンは映画の最後に自腹で特殊効果の準備していて驚かそうとしていました。でもホントにあほらしいアイデアだったので、ホントにウザかった。なので、皆を集めてバスの場面で皆殺しにしていまいまいました。バスでの惨殺場面を撮影した夜は、この映画で一番楽しい一日でした」と会心の笑顔をみせた。
また「僕の好きなホラー映画は『リング』と『仄暗い水の底から』です。好きなホラー映画の特色は、最後の5分にその化け物のすべてが見えるものです。途中では、その姿はぼんやりとしかわからない。でも本作では最初から怪物のすべてを見せているので、ホラーではないと思っています」と自論を展開。
「この映画には2つの善良な役がいます。そのうちのひとりは大勢殺します。一番怖いのは先生です。もう一人、善良な役を演じた彼女が、ここにいます」と紹介されて、客席から立ち上がったのが彼女。映画『私の少女時代』でヴィヴィアン・ソンが来日した時には通訳をつとめるなど、日本語が堪能な高百合。

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一方リウは「ジョーク好きなコー監督が、真面目に話をしているのが不思議です」と目を見開いた。また本作への出演オファーされたときのエピソードとして「はっきりものを言うコー監督が、『やってもらいたい役がある。君にあて書きで脚本を書いた』と言いながら、何か言いたいのに言えないような感じがしました。コー監督は延々と作品について語ってくれたのですが、私の役名についてはずっと言葉をにごして30分も語った最後になってやっと『怪物役だけど』と言われました。その後数秒間は、2人とも無言でポカンとしていたと思います。監督は私が怒って帰るじゃないかと思っていたようですが、私は嬉しくて叫んでいました」と意外なエピソードを教えてくれた。

日本でも台湾映画の評価は高く、いろんな場で公開されているが、本作が上映される機会があれば、是非ともご覧頂きたい。
新鮮な感動に襲われ、映画の面白さを改めて感じることだろう。