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『2018 東京・中国映画週間』 日中合作映画『逢いたい(原題:在乎你)』 ケネス・ビー(畢国智)監督 主演女優のユー・フェイホン(俞飛鴻)木下彩音 舞台挨拶

2018年10月19日(金)から10月26日(金)まで開催された「2018東京・中国映画週間」。
その”オープニング作品”として公開上映され、注目を集めた日中合作映画『在乎你(邦題:逢いたい)』の10月24日の上映後に、ケネス・ビー(畢国智)監督と出演したユー・フェイホン(俞飛鴻)、木下彩音が舞台挨拶に登壇した。

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ユー・フェイホン  ケネス・ビー監督  木下彩音

ケネス・ビー監督は、シルビア・チャン(張艾嘉)が金馬奨主演女優賞を獲得した映画『海南雞飯(邦題:ライスラブソディー)』で日本でも名を知られる。
主人公の中国のトップデザイナー袁元(ユェンユェン)を演じるユー・フェイホンは、1987年16歳にして映画『凶手与懦夫』主演。以来、数多くの映画に出演。母校北京電影学院の教壇にも立ち、自ら監督・主演で映画制作に取り組んでいることでも知られる。近年の出演作ではジョン・ウー監督『THE CROSSING』や、『悟空伝』での悪役が印象深い。

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本作の物語は・・・
トップデザイナー袁元の新ブランドのオープニングパーティーにひとりの若い日本人女性・恵子(木村彩音)が現れた。恵子は、かつて日本に留学していた袁元が愛し結ばれた富哉との娘だった。
なぜ袁元は日本を去ったのか。その後の20年を彼らはどんな思いでどう過ごしてきたのか。

本作の舞台となるのは、中国の近代的な都市・華やかなファンション業界と、それとは対照的な美しい北海道の雪景色・伝統に支えられた日本の酒蔵という2つの場所。そして現在と20年前という2つの時代。

この2つの場所と2つの時代が、テレサ・テンの「時の流に身を任せ」の中国語バージョン「我只在乎你」の音楽を背景に交差。日本人男性と中国人女性の恋愛と結婚、そしてその家族の人生を描いていく。

国際結婚の行き違いは、20年前ならば「日中の文化の違い」で片づけられたのかもしれない。だがこの作品では今の中国の姿をはさむことで、問題は女性としての生き方であり幸せのあり方であり、それは国や文化の違いを超えて女性なら誰しもが通る道であることを示す。中国人の袁元の苦悩を、日本人の観客にもぐっと身近に感じさせてくれた。

そして心に残るのは、北海道の美しい映像だ。白く凍った景色の中をさまよう袁元の姿に決断の苦渋がにじむ。20年の年月にもほとんど変わらぬ北海道の風景には、大沢たかお演じる富哉が静かに愛し続けた20年を感じた。また今年5月に亡くなった星由里子演じた富哉の母親の、嫁に厳しく向き合う姿の中にあった姑の思いに、日本人としては涙を誘われたのだが、中国の観客はどう感じるのか、意見を聞いてみたくなった。

映画後半には多くの観客が涙をぬぐい、上映終了後には感動の拍手が沸き起こっていた。

【舞台挨拶】
畢国智監督:東京の観客と一緒にこの映画を初めて見ることができて光栄です。皆さんの反応がとても嬉しいです。
俞飛鴻:東京のみなさんとこの新しい映画を分かち合える機会を頂けて、とても光栄です。
木下彩音:今日皆さんに会える日を楽しみにしていました。

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=本作制作のきっかけは?
畢国智監督
プロデューサーから舞台が日中半々の映画脚本を持ち込まれて、物語がとても気に入りました。振り返ってみれば、私は香港で育ち、60~80年代の香港では日本の文化が好まれて、私も日本の映画を見て育ちました。しかし、この20年ほどは日本映画を忘れていました。そこで以前の日本文化への興味を思い出して、この作品に取り組みました。

=物語の舞台を北海道を選んだ理由は?
畢国智監督:私は中国人です…香港は中国の一部ですからね。現在の中国は止まることなく変化していて、とても“熱い”と言えます。一方、日本はたくさんの伝統的な物を残していて、“凍った”イメージのある場所と言えると思います。その日本の中で、雪など、“凍ったもの”を象徴するものがたくさんある北海道を選びました。もう一つの理由は、映画に登場した北海道の酒蔵です。今も、関係者の方が会場にいらして頂いています。

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=この役柄とご自身との共通点、相違点、この役を受けた理由を教えて下しさい?
俞飛鴻:この作品はひとりの女性の成長と葛藤、心の中を描いています。挑戦できる、とてもいいチャンスといえる役なので、女優であれば誰もがやりたい役だと思います。ただ彼女と私自身とはあまり共通点はありません。でも役と自分とが完全に一致することも、まったく一致しないこともありえません。彼女は仕事と愛との選択において葛藤があったわけですが、結婚だったり恋だったり、あるいは家庭であったり、誰にでも起こる問題だと思います。難しい問題を抱えた人物であるほど、演技としては挑戦できるので、今回はとても光栄に思って出演しました。

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=一番好きなシーンは?
木下彩音:お母さんと抱き合うシーンが印象深く、大好きな大切なシーンです。

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感動を呼んだ映画『逢いたい(原題:在乎你)は、「第3回ゴールドクレイン賞授賞式」にて 「日中映画交流貢献賞」を受賞。
中国劇場公開は2018年12月、 2019年日本公開の予定。

▼キャスト
俞飛鴻(ユー・フェイホン)大沢たかお
星由里子 鶴見辰吾 木下彩音
卢洋洋(リュー・ヤンヤン)前田公輝
周鉄(ツォー・ティエ)馬吟吟(マー・インイン) 他

▼スタッフ
エグゼクティブプロデューサー:浮乐莲(ローラ・フー)
監督: 畢國智(ケネス・ビー)
脚本: 畢國智(ケネス・ビー)
賈佳薇(ジャ・ジャウイ)、 張莉莉(チャン・リリ)
撮影: Roman Jakobi
美術: 張世宏(シルバー・チャン)
音楽: 杜笃之(ダン・チーツー)