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舞台『プルートゥ PLUTO』欧州ツアー開幕

Bunkamuraが企画・制作した舞台『プルートゥ PLUTO』(原作『PLUTO』:浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修/手塚眞 協力/手塚プロダクション 小学館)の欧州ツアー初日公演が2月8日(木)、イギリス・ロンドンのバービカン・シアターにて開幕。
オフィシャルレポートが到着した。

演劇界を牽引する存在として、世界中の演劇ファンが注目するバービカン・シアターでの初日公演にあたり、ダンサーのアダム・クーパーやアクラム・カーン、Bunkamuraシアターコクーンが新たな視点で挑む演劇シリーズ「DISCOVER WORLD THEATREシリーズ」での演出も務めたフィリップ・ブリーン、リチャード・トワイマン、そしてナショナル・シアターのアソシエイト・ディレクター、サイモン・ゴドウィンも駆けつけた。
作者の浦沢直樹も来場し、演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイとともにカーテンコールに登場した。

【初日公演レポート】
2月8日夜、『プルートゥ PLUTO』欧州ツアー最初の公演地であるロンドンのバービカン・シアターで、初日の幕があいた。
世界的に活躍している演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ(ベルギー出身)は、
ダンサー・振付家としてロンドンでもよく知られた存在だが、バービカン・シアターには初めての登場。
そして『プルートゥ PLUTO』の原作であるまんがというカルチャーは、いまや世界中で認知され普及しているものの、イギリスにおいては、関心が低いという現状がある。
“演劇の国”を自負する地で、日本語上演・英語字幕によるまんがの舞台化は、どう受け止められるのか。
不安が期待を上回るなかで開演を迎えた。

1152席の客席は満員。年齢や男女の比率もバランスが取れている。
日本の上演では無かった英語字幕が、原作まんがの画像を多用した装置の中に、
舞台美術のデザインのように溶け込んで表示され、まさしく”まんが”になっているのが印象的だ。
観客は非常に集中度が高く、反応も明快で、ウラン(土屋太鳳)のお茶目で豊かな表情に笑い、
子ども型ロボットが「パパ、ママ」とあどけなく話すと、驚きと慈しみの混じった歓声が漏れ、
某国大統領のブレーンである、テディベア型の高性能ロボットのあっけない最期には、大爆笑が起きた。

日本とは異なるリアクションにシェルカウイは、
「いずれも僕がおもしろいと思っていた箇所が大受けして、うれしい限りです。
バービカン・シアターは海外の多様なカンパニーの作品を上演する劇場のせいか、観客がとてもオープンな姿勢ですね。
深く作品に共感してくれている様子が、手に取るように伝わってきました」
と確かな手応えを感じていた。刑事ゲジヒト役の大東駿介は、
「イギリスは世界でもっともまんがを読まない国と聞いていましたけど、
原作を知らなくても、十分わかってもらえましたね。
原作の浦沢直樹さんとも話したんですが、まんがにはなじみが無くても、
まんがを舞台化した演劇『プルートゥ PLUTO』から、
イギリスの人たちがまんがへの興味を持ってくれるようになったら、おもしろい展開になるぞと思いました」
好反応の初日を終えた直後で、興奮と安堵が漂うなか、アトム役の森山未來は、
「日本ではストーリーを知ってる人も多く、シリアスに観る傾向がありましたけど、
こちらの人たちは、フランクに観てくれている感じですね。
僕たちとしては、環境が変わって、キャスト・スタッフのクルー全体がいい緊張感をもってできたので、今日はよかったと思います。
ただ字幕とせりふの関係性について、もう少し考えていった方がいいと思うんですよね」
と、いたって冷静に、次の課題に意識が向かっている様子。

ロンドンで5公演を終えると、次はオランダ・レーワルデン、ベルギーのアントワープと欧州ツアーは続く。
3月の大阪公演までに、『プルートゥ PLUTO』はまた、目覚ましい進化を遂げそうだ。

文:伊達なつめ(演劇ジャーナリスト)

【初日公演観劇コメント】
アダム・クーパー(ダンサー)
心を揺さぶられる感覚でした。
これは単なる物語ではなく、私たちが住む現実世界にもリンクし、人類への強いメッセージ性を感じました。
映像や大道具の使い方も賢くて斬新。日本人の俳優、ダンサーたちの表現は素晴らしく美しかったです。
私たちに必要なのはバックグラウンドが違うお互いを受け入れること、そして「愛」。
それを世界に広げていかなければいけないでしょう。

イギリス人 男性60代
感動しました!漫画を読んでいましたが、舞台はまた違った素晴らしさがありとても上手く表現されていたと思います。
ストーリーと舞台美術と振り付けが完璧なバランスで融合されていました。
最後のメッセージを受け、人類はいつも「希望」を持ち、努力すべきだと思いました。

イギリス人 女子学生10代後半
本当に素晴らしかったです。オリジナルの本は読んだ事はありませんが、ストーリーに感動しました。
今の時代、ティーンエイジャーの生活はとてもタフで、人間関係が複雑になっていて、
この舞台はとても深く自分たちの人生が何なのかを再び考えさせられました。

◎バービカン・センター(Barbican Centre)とは
ロンドンのシティ中心に位置するヨーロッパ最大規模の複合文化施設。
センター内には、コンサートホールや劇場、映画館、アートギャラリー、図書館、温室などの文化施設やレストランやバー、カフェがある。
バービカン・シアター(大劇場)とピット(小劇場)では話題性の高い芝居やダンス、音楽などさまざまなプログラムが組まれ、
ロンドン・シンフォニー・オーケストラとBBC交響楽団の本拠地であるホールでは、上質なクラシックを楽しむことができる。
イギリス随一のエンターテインメントを発信する施設として世界的に有名。

 

プレスコールの後に行われた取材会の模様はこちらから

 

『プルートゥ PLUTO』公演概要
原作『PLUTO』:浦沢直樹×手塚治虫 長崎尚志プロデュース 監修/手塚眞 協力/手塚プロダクション 小学館
【演出・振付】 シディ・ラルビ・シェルカウイ
[出演] 森山未來、土屋太鳳、大東駿介、吉見一豊、吹越満、柄本明
上月一臣、大植真太郎、池島優、大宮大奨、渋谷亘宏、AYUMI、湯浅永麻、森井淳、笹本龍史

[欧州ツアー] 海外公演助成:平成29年度文化庁国際芸術交流支援事業
2018/2/8(木)~2/11(日) イギリス・ロンドン公演 @Barbican Theatre
2018/2/15(木)~2/17(土) オランダ・レーワルデン公演 @Stadsschouwburg De Harmonie(欧州文化首都レーワルデン2018 招聘作品)
2018/2/22(木)~2/24(土) ベルギー・アントワープ公演 @deSingel Red Hall

[大阪公演]
2018/3/9(金)~3/14(水) 森ノ宮ピロティホール 主催:サンライズプロモーション大阪

[企画] Bunkamura
[製作] Bunkamura/TBS

【『プルートゥ PLUTO』演出・振付のシディ・ラルビ・シェルカウイ 今後の出演作】
フラメンコ界の大スター マリア・パヘスと共演するダンス公演が、満を持して日本初上陸。
2009年の初演以来、世界各国で上演され、フラメンコビエンナーレでは最優秀公演としてヒラルディージョ賞を受賞した名作です。
シェルカウイにとっては、異なるジャンルの大スターとの初コラボ作であり、あらゆる異文化と積極的にかかわる彼のアーティストとしての姿勢に、大きな影響を与えた作品です。

≪公演概要≫
■公演名 マリア・パヘス&シディ・ラルビ・シェルカウイ『DUNAS-ドゥナス―』
■演出・振付 マリア・パヘス、シディ・ラルビ・シェルカウイ
■出演者 マリア・パヘス、シディ・ラルビ・シェルカウイ ミュージシャン7名
■日程 2018/3/29(木)19:00開演、30(金)14:00開演、31(土)14:00開演
■会場 Bunkamuraオーチャードホール(東京)
■料金 S席:12,500円、A席:10,000円、B席:7,000円(税込)
■主催 Bunkamura/TBS
■地方公演 2018/4/5(木) アートピアホール(愛知)
2018/4/6(金) 豊中市立文化芸術センター 大ホール(大阪)
チケットお問合せ Bunkamuraチケットセンター 03-3477-9999(10:00~17:30)
http://www.bunkamura.co.jp/orchard/lineup/18_dunas/