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いのうえひでのりが新たな演出で挑む不朽の名作「近松心中物語」 堤真一、宮沢りえ

1月10日(水)から2月18日(日)まで新国立劇場 中劇場にて、秋元松代作・いのうえひでのり演出「近松心中物語」が上演される。
初日開幕に先駆けて行われた通し稽古の写真とコメントが到着した。 【撮影:宮川舞子】

【近松】舞台写真/堤真一_宮沢りえ_

<堤真一×宮沢りえ>

「近松心中物語」は、秋元松代が近松門左衛門による世話物の中から三篇を選び、構成し直し、秋元独自の物語性を盛り込んで執筆したもので、蜷川幸雄演出のもと、1979年の初演以来上演のたびに話題を呼んできた。
古典題材を扱いながらも、歌舞伎でも浄瑠璃でもなく、社会制度や葛藤なども描かれた現代劇でありながらも新劇とは全く異なり、蜷川自身も常に冒険的な創作に挑み続けてきた作品。
劇団☆新感線のいのうえひでのりはこの名作に、“心中”というシンプルなストーリの中で、当時の時代背景をいかに表現するかに重きを置いてつくりあげる。また、いのうえならではの笑いの部分も大切にしている。

【近松】舞台写真/堤真一_宮沢りえ

<堤真一×宮沢りえ>

【近松】舞台写真/池田成志_小池栄子_

<池田成志×小池栄子>

<堤真一×宮沢りえ><池田成志×小池栄子>による対照的な男女二組の究極の愛の形
出演は、男女のさまざまな愛の姿を演じ、共演の度に観客を魅了してきた堤真一と宮沢りえが、雷に打たれたように恋に落ちる二人<忠兵衛と梅川>を演じる。
そして、シス・カンパニー公演「死の舞踏」で滑稽さと狂気の境界線を見事に演じ切った池田成志、大胆な中に繊細な表現力が光る小池栄子が、可笑しみをまといながら、人間の等身大の悲しみや苦悩を背負った二人<与兵衛とお亀>を演じる。
忠兵衛と梅川のシリアスなラブストーリーとは対照的な、与兵衛のダメ男っぷりと、そんな旦那のことを愛してやまないお亀の、コミカルなシーンにもご注目したい。

あらすじ
時は元禄。大坂新町と言えば、一夜の悦楽を追い求める男たちが集まる廓郭。
そこに、小道具商傘屋の婿養子・与兵衛(池田成志)が、折り合いの悪い姑お今(銀粉蝶)に追い出され、ある廓に身を沈めていた。もともと気弱で、うだつのあがらない亭主だが、女房のお亀(小池栄子)にとっては、所帯をもってもなお、恋い焦がれる相手。行方知らずのダメ亭主を案じ悲しむ娘をみかねて、姑お今が自ら与兵衛を連れ戻しに新町にやってくる。
「二度とこの男を廓に近づけないでくれ」と周囲に念押ししながら、連れ戻される与兵衛。そんな与兵衛とは対照的に、廓に縁のなかった飛脚屋亀屋の養子忠兵衛(堤真一)は、店の丁稚が拾った封書に一分の金が入っていたため、親切心から、その差出人の槌屋平三郎(小野武彦)を訪ねて新町に足を踏み入れてしまう。そこで偶然出会った飛脚仲間の八右衛門(市川猿弥) の強い誘いも振り切り、店を立ち去ろうとする忠兵衛。だがその時、店には、出先から戻って来た遊女・梅川(宮沢りえ)が…!
何かに打たれたように、立ちすくみ無言で見つめ合う二人…。
その瞬間から、忠兵衛は憑りつかれたように梅川を追い求め、店の中へと消えて行く。
<忠兵衛・梅川><与兵衛・お亀>男女二組の運命は…?
あてのない逃避行へと向かう二組の男女の情念の行く末は…?

代表者コメント
<演出・いのうえひでのり>
「いのうえは、あの「近松」をどう見せてくれるのか・・・」という皆さんからの無言のプレッシャーをヒシヒシと感じながら、日々稽古に臨んできました。何と言っても、「近松心中物語」は、まさに「蜷川スペクタクル演出」の真骨頂であり、「蜷川歌舞伎」とも言える様式美がありました。そこはあえて抵抗せず、リスペクトしながら、僕なりの形で継承したいと考えています。物語の主軸は、二組のカップルが心中へと向かうまでのシンプルでストレートな話。
とてもスピーディな展開に笑いもあります。それを気心の知れた堤くんやりえちゃんたちと一緒に、僕たちのリズムとやり方で、新しい「近松心中物語」が作れたのではないか、と思っています。

<亀屋忠兵衛役・堤真一>
「愛を貫くために死を選ぶ」という決断が、現代のお客様に果たして納得していただけるのか、、、
それが稽古前に考えていた課題でした。物語自体もシンプルで、出会ってすぐに恋に落ちて、身請けのために公金に手を付けて、心中へと突き進むという三段跳び的な唐突感もある展開(笑)。もちろん、りえちゃんが美しいので、一目惚れの設定には一番説得力がありますが(笑)、忠兵衛の心情面では、僕自身の中でロジックをきちんともって、忠兵衛と梅川の心の動きに真実味をしっかりと見せられるよう心がけて稽古を積み重ねてきました。いよいよ開幕です。いのうえさんと信頼できるメンバーたちと創る現代演劇としての『近松心中物語』を皆さんにお見せしたいですね。

<遊女梅川役・宮沢りえ>
秋元松代さんの台詞はとても綺麗でストレート。いのうえさん演出の独特の゛魅せる“表現の仕方もあり、稽古に入る前までは、実は、少し気恥ずかしさも感じていたんです。これを自分のものにするには、相当のパワーが必要だと覚悟していました。でも、稽古を重ね、堤さんたちと台詞を重ねていくうちに、これは、梅川の人生の中で、心から血を流しながらも清らかな水のように出てくる言葉なのだと、自然に腑に落ちてきました。忠兵衛・梅川の純愛を、私たちの演技で感じてもらえるようにしたいですね。また、最初に創られた蜷川さんをリスペクトしながら、私たち全員が同じ熱量で
新しい物語を成立させれば、お客様の記憶に深く刻まれる作品にできる、と思っています。

シス・カンパニー公演「近松心中物語」
作 秋元松代
演出 いのうえひでのり
出演 堤真一 宮沢りえ 池田成志 小池栄子
市川猿弥 立石涼子 小野武彦 銀粉蝶 ほか

公演日程 2018年1月10日(水)~2月18日(日)
会場 新国立劇場 中劇場
チケット料金 SS席:¥10,500 S席:¥9,500 A席:¥7,000 B席:¥5,500
公式サイト www.chikamatsu-stage.com/
問い合わせ シス・カンパニー 03-5423-5906(平日11:00~19:00)