-e1776386371105.jpg)
江戸時代のベストセラー『雨月物語』を鈴木アツトが現代劇として脚色し、生田みゆきが演出。岡本圭人 南沢奈央 薬丸翔 鈴木結里 上村聡 松岡依都美 相島一之 の出演で、8月にシアタートラムにて、舞台『月を抱く人魚』-雨月物語よりが上演される。
上田秋成の『雨月物語』は、江戸時代の日本文学における傑作。1776年に刊行された全9篇から成る短編集。幽霊や妖怪を扱った中国の怪異小説の最高峰とも言われる「聊斎志異」を元にしつつも、その美しい文体と深遠な心理描写、日本ならではの世界観は翻案を超えた独自の作品として傑作と評されている。
1953年に公開された溝口健二監督による映画『雨月物語』は、秋成の原作から「浅茅が宿」と「蛇性の婬」の二つを中心に再構築し、美しい映像と深い心理描写が国際的にも高い評価を得、ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞を受賞している。
この江戸時代のベストセラーが、あたらしい国際交流プログラムとして(※)若きクリエイターらの手によって現代劇として舞台上に甦える。
脚本は、2015年に文化庁新進芸術家海外研修制度の研修員として英国・ロンドンに10か月留学し、2019年にはポーランドのドルマーナ劇場から招聘され、『Ciuf Ciuf!(チュフ・チュフ)』を滞在創作の経験を持つ鈴木アツト。演出は、文学座附属演劇研究所をへて、2016年より座員となり、同年ドイツ文化センターの文化プログラムの語学奨学金(芸術分野対象)を得て、ドイツ滞在の経験を持つ生田みゆき。共に国内外での活躍を持つ二人が、日本の古典作品に新たな息吹を吹き込む。
【あらすじ】
日本画家宮木と、絵画モデル勝四郎。二人が宮木の部屋で一夜を共にしたことからこの物語は始まる。宮木はふざけて、勝四郎の背中に背ビレを描くが、翌朝、勝四郎が目覚めた時には既に彼女の姿は無かった。その後、宮木を忘れられない勝四郎は友人作治と夢子に助けを求め、宮木の部屋を再訪するが、部屋は荒れ果てており、水道や電気も通っていなかった。宮木の痕跡を探す中、見つかったのは一つの巻物。そこに描かれた絵をきっかけに、勝四郎は高名な画家「青頭金子」を訪ねることを決意する。かつて自分を捨てた父・大宅から車を借り、作治と夢子とともに琵琶湖へ向かう。
琵琶湖近くの山道を抜け、青頭金子と謎めいた使用人の男・丸谷が二人で住む屋敷に辿り着く。異様な雰囲気の中、青頭と丸谷は壮絶な過去を告白する…。
-e1776386357847.jpg)
絵画モデル勝四郎を演じるのは、トップアイドルとして活躍後、アメリカの名門演劇学校での武者修行を経て、2021年に初舞台を踏み、2024年の『Le Fils 息子』『La Mère 母』で第59回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した岡本圭人。
日本画家の宮木を演じるのは、近年、数多くの舞台で幅広い役柄を演じ、着実なキャリアを重ねている南沢奈央。
勝四郎の友人・作治には、2006年に映画出演をきっかけに俳優としての活動をスタートし、近年は舞台・映像と幅広く活躍する薬丸翔。作治の恋人・夢子に、文学座に所属し、劇団公演にとどまらず舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』など外部公演にも積極的に参加している鈴木結里。勝四郎の父・大宅には、「かみむら文庫」主宰で「一冊の本を”上演”する」というコンセプトで、戯曲ではなく小説の文章をそのまま活かした演劇作品を発表している上村聡。
高名な画家・青頭金子には、2020年に『きらめく星座』『五十四の瞳』で第55回紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞し、2024年にはNetflix配信ドラマ『地面師たち』で強烈な存在感を見せた松岡依都美、そして、青頭金子の執事・丸谷役に、25歳で三谷幸喜主催の劇団「サンシャインボーイズ」に参加し、舞台をはじめ映画・音楽・落語と多様な武器を持つ相島一之。
この公演は、世田谷パブリックシアター「あたらしい国際交流プログラム」(※)として上演される。
※「あたらしい国際交流プログラム」について
世田谷パブリックシアターでは、これまで国際共同制作や海外公演の招聘を積極的に行ってまいりました。その実績を踏まえ、2025年度より、国内の若手クリエイターの育成と国際的な発信を目的とした新たな事業「あたらしい国際交流プログラム」を立ち上げています。
本プログラムの第一弾として、昨年8月に演出家・生田みゆきによるリーディング公演『不可能の限りにおいて』また第二弾として韓国の注目作『紅い落葉』を芸術監督白井晃の演出により日本人キャストでリーディング上演しました。『月を抱く人魚』-雨月物語より-は、その第三弾として上演するものです。
あたらしい国際交流プログラム
『月を抱く人魚』-雨月物語より-
[原作] 上田秋成
[脚本] 鈴木アツト
[演出] 生田みゆき
[出演]
岡本圭人 南沢奈央 薬丸翔 鈴木結里 上村聡 松岡依都美 相島一之
2026年8月7日(金)~8月23日(日) シアタートラム
[企画制作] 世田谷パブリックシアター
公式サイト https://setagaya-pt.jp/stage/32245/
[脚本] 鈴木アツト Atsuto Suzuki コメント
『雨月物語』という原作の小説自体が、社会的な栄達や出世、成功ではなく、人間としての誠実さや、本当に大事なものは何かということを描いているので、原作のエッセンスをきちんと捉えて、現代もそれが変わらないということを観客に伝えられればと思っています。日本の古典が持つ価値観や哲学というものを改めて味わってもらえたらと思います。
生田みゆきさんの演出はいい意味でワイルドなところがあり、稽古で彼女の演出を見るだけでなく、話をしたり作品の方向性の打ち合わせをするということだけでも十分に刺激になっていますし、自分の作家性にもいい影響があるように思います。
岡本圭人さんが演じる勝四郎は、美しいけれど居場所がないともがき、より本質的な自分の居所を南沢奈央さん演じる宮木との関わりの中で見つけていきます。生田さんの演出のもと、出演者の皆さんがどのように表現されるのか、期待を持って稽古を待ちたいと思います。
[演出] 生田みゆき Miyuki Ikuta コメント
私は小学生のころから古典を読むのが好きでいろいろなものを読んできましたが、日本の古典を演劇化するのは今回が初めてになります。上田秋成の怪奇小説『雨月物語』は、人間の愛や哀しみ、執着などの感情を、幻想的に妖艶に描いていて、子供心にも強い衝撃を受けた作品です。この美しくも深淵な世界をどう立ち上げられるか・・・大きな挑戦になると思います。
特にこの作品は「あたらしい国際交流プログラム」の一環での上演です。世界に向けて日本から作品を発信するということを考えた時に、そもそも自分にどういう土壌があるのか、過去から自分に受け継がれてきているものにしっかり踏み込んで、探求してみたいと思っています。
鈴木アツトさんという作家と、私という演出家と、それから多彩な俳優・スタッフの皆様と共に日本の古典の名作に新しい光をあてるという作業は、過去を踏まえて今、いかに私たちらしい『雨月物語』を創り出すことができるかという冒険です。
8月の暑い時期ではありますが、暑さに負けない熱量の高い芝居を創りたいと思っていますので、ぜひ劇場に足をお運びいただければと思います。
岡本圭人 Keito Okamoto コメント
自分たち俳優ができることとして僕が一番重要視しているのは「物語を伝えること」なので、今回この『雨月物語』という古典を現代に置き換えてお客様に届けられることをとても光栄に思っています。
『雨月物語』の原作自体がとても面白いので、この作品が鈴木アツトさんによってどのように現代の『雨月物語』に生まれ変わるのか、時代を超えた物語をお届けできるのではないかととても期待しています。
演出の生田みゆきさんとは昨年『不可能の限りにおいて』という作品でご一緒しましたが、稽古はもちろん本番が始まってからも常に作品がどうしたら良くなるか、どうしたらお客様に届けられるかを考えてくださる、愛のある演出家さんです。
脚本家の鈴木アツトさんと演出の生田みゆきさんと素晴らしい共演者の方々と一緒に、現代の『雨月物語』を届けられるのがとても楽しみです。
個人的には自分がこの作品に出ていなかったら絶対に観に行きたい作品なので、ぜひ僕の代わりにこの作品を観に来ていただき、何かを感じ取っていただけたらいいなと思っています。
南沢奈央 Nao Minamisawa コメント
まだ準備稿の台本を読んだ段階ですが、全体的に幻想的な雰囲気が漂っていて、みんなで方向性を見極めて稽古を進めながら創っていかなければいけない繊細な作品だと感じています。
私の役は少し神秘的でつかみどころがない、どのようにも演じられるような幅のある役ですが、女性として印象に残らなければならないし、観客の皆さんの興味を惹くような役にならなければいけないと思うので、なにかちょっと一味違う魅力を持つ女性を創り上げられたらと思っています。
古典の『雨月物語』を下敷きにしているのですが、現代に置き換えることで昔も今も人間の根っこにある欲望や、美しい物を求める心とか、そういった変わらない部分がちりばめられていて共感できる部分もあると思いますし、古典を下敷きにしているからこその夢かうつつかのような不思議な空気を感じてもらえたら面白いのではないかと思います。
また、この人物は一体何者だろう?というような謎を解き明かす要素もあるように感じるので、登場人物の誰かに共感して感情移入して観てもらえると、より作品世界に没入していただけるのではないかと思います。





naka-50x50.jpg)




-730x365.jpg)
-50x50.jpg)

、右:綱啓永(御影玲王役)、左:樋口幸平(剣城斬鉄役)】-50x50.jpg)





