
山本咲希 冨川智加 塩田康平 原田優一 鈴木壮麻 駒田一 樋口麻美 田中尚輝 稲垣成弥 音くり寿 増田有華
4月24日(金)~5月24日(日)にシアター代官山にて、アラン・エイクボーン作の『Private Fears in Public Places』が日本初演される。
3月24日に翻訳・小田島創志、演出・元吉庸泰と、出演する駒田一、鈴木壮麻、樋口麻美、原田優一、塩田康平、増田有華、 音くり寿、稲垣成弥、田中尚輝、冨川智加、山本咲希が登壇。マスコミの他、一般オーディエンスも参加しての製作発表&朗読試演会が行われた。(彩輝なおは公演中のため欠席)
またアーサー役(声のみの出演)として 畠中洋、伊藤祥子ピアノの生演奏が全公演に入ることも発表された。
2004年にイギリスにて上演された『Private Fears in Public Places』は、“舞台上の映画”を意識して作られ、高速でクロスカットするシーン展開、登場人物の人間関係から見えてくる個々の孤独感が見所。2006年にはアラン・シネ監督に より映画化。その『Cœurs』(邦題:六つの心)は、ベネチア国際映画祭で最優秀監督賞シルバーライオン賞を受賞している。
ロンドンという都会で、人生が交差する6人の、それぞれの孤独…怖れ…が、ジワジワと浮かび上ってくる作品。
今回の日本初上演は、座席最大120席あまりの小劇場で、この豪華な出演者が1か月間上演する。

小田島創志 元吉庸泰
最初に製作発表には登場することが少ない翻訳家が登壇。小田島創志が「翻訳で小田島という名を見かけることが多いと思いますが、祖父・父と翻訳家で三代目の小田島創志です。三代目が家を滅ぼすと言われますが」と自己紹介。会場は笑いに包まれ、なごやかに製作発表が始まった。
小田島がエイクボーンについて、90作以上の戯曲を発表している劇作家で、彼の作品の多くが彼の地元のスカーバラの劇場(スティーヴン・ジョセフ・シアター)で最初に上演され、その後、ウエストサイドやオフ・ブロードウェイで上演されていること、本作は2004年に初演され、2005年にニューヨークで上演された大変面白い作品であると紹介。
元吉からは映画『Cœurs』は製作されたフランスに置き換えて描かれたが、この作品発表時の英国が、人口減やそれ以前の政治のツケを払わざる得ない状況にあったことなど、現在の日本にも似ている点があることなどから設定を原作のままで上演すること、当時との違いはSNSの有無だと考えていることが語られた。
本公演は、出演者は基本的に2チーム制(2公演のみ原田優一に代わり塩田康平が出演する◇)で上演されるため、朗読試演会では前半を鈴木壮麻、樋口麻美、塩田康平、音くり寿、田中尚輝、山本咲希の(★)チームが朗読。後半を駒田一、彩輝なお に代わり樋口麻美、原田優一、増田有華、稲垣成弥、冨川智加の(◆)チームが行った。
俳優陣は座席についたままだったが、登場人物の姿やロンドンの風景までも想像させてくれ、上演台本の約1/3ほどの朗読が終わった時には物語の先行きが大いに気になった。この豪華なキャストで小劇場という贅沢さは稀有。稽古に加えて1か月の公演で、どのように変化し磨かれる公演になるのかも注目ポイントだと感じた。


最後は質問コーナーが設けられ、俳優陣へには「演じる役柄の紹介、自分との共通点を教えてほしい」という質問が投げかけられた。
ダン:元軍人。エリート街道を歩む幹部将校であったものの、部下の不始末の責任を取って除隊となる。仕事探しがうまくいかず、新居探しもニコラに押し付け、昼間から酒に溺れている。
駒田一(◆):登場する6人のキャラクターは、特殊な人物ではありません。誰しもが表と裏の気持ちを持っていて一面性のキャラクターはいないと思うので、それが書かれていると思います。ダンは将校だったわけですから、ある程度のプライドはある。それがどうして軍をクビになり、今後ニコラとの関係がどうなるのか、どうしたいのかを皆様にお伝えできればいいのかなと。自分との共通点は、バーで飲んでいることかと思いますけども。(笑)
この作品の面白さは、ある程度「わかる、わかる!」と思えるキャラクターが揃って、その裏側が見えるシーンがどんどん出てくることかなと僕は思っています。
鈴木壮麻(★):エリート街道まっしぐらだった人が、「自分のせいじゃないよ」と思いながらも転落して大きな喪失感を抱えるところから、お客様に見ていただきます。彼女と釣り合う感じで付き合って、割といい関係だったのが、男子がアイデンティティを失っていくのに、彼女はまだキラキラしている。彼には彼女の存在自体がおそらくプレッシャーだろうと思ったりしています。何を表現するかよりも、彼女の存在に対して自分がどうリアクションしていくか、何を感じるのかを楽しみに稽古に参加している感じです。
ニコラ:アッパークラス出身。仕事を真剣に探そうとしない婚約者ダンにイライラしている。自分のフラットでダンと暮らしているが、ダンとの別れを決意して…
樋口麻美(★):二コラは幼少時代から寄宿学校で鍛えられて、精神的にタフな女性です。一言で言うと、最高級のシルクをまといながら泥だらけのブーツで笑っていられる女性という感じです。(当時の)そんなアッパークラスの女性としては、軍人はステータスがあって最高の恋人です。しかし婚約関係にある彼が除隊させられて、職探しもままならなくて、どんどん歯車が狂っていく。理想と失望の間で揺れ動く女性です。大人の女性ならご自身の経験が走馬灯のように巡ることがあるかもしれない、そんな役柄だと思います。これから稽古を重ねていく中で、彼女のパブリックな顔と絶望のプライベートとの対比をどんどん深めていけたらと思っております。
アンブローズ:中年のバーテンダー。自宅で父親のアーサーとともに暮らし、シャーロットに介護を依頼する。
原田優一(◆):キャラクター説明には「中年のバーテンダー」とありますけど、今日塩田くんを見た時に「イケメン枠じゃん!」と思いました。(笑)「戻ってまいりました。イケメン枠」ということで(笑)。
私もどっちかというと酔っぱらって迷惑かける方なので(笑)、(アンブローズと自分は)逆なんですよね。(駒田)一さんが(バーでのよっぱらった芝居を)やっていて、その状況はいつもと変わらないのですが、シラフな自分が一さんと対峙するのがすごく新鮮な気持ちです。普段は酔っ払っている自分を相手にしてもらうことばかりで、酔っ払いを相手にすることはなかなかないので、素面の人が酔っ払いの相手をするのは、こんなにめんどうくさいんだなと思っちゃったりしました。
何があったとて、お客様の前では私生活を隠してサービスをするのが、バーテンダー。これは役者も一緒だと思っています。バーテンダーとして仕事している面と、シャーロットと関わっている面と、いろいろな面ができるのは、アンブローズ役の面白さかな、と思ったりしています。隠し持っていることは人間誰しもあることですけども、秘めたものがある人間を演じるのが楽しみです。
塩田康平(★):イケメン枠のアンブローズ役です。(笑)物語の舞台がSNSがまだ発達していない世の中ということは、いろんなことを吐き出す場がない世の中で、バーという社交場でアンブローズは、たくさんの人の孤独や、酒を飲んだが故に見えてくる本性をたくさん知っている人だと思います。なので、僕は今回たくさん飲んで、皆さんの本性をいっぱい見させていただいて(笑)、バーテンダーという役を深めていきたいと思っています。(笑)
いろんなものを知っているアンブローズが家に帰ると、要介護のお父さんがいる。でも、お父さんをなぜ病院やホームに入れないのか、そこをたくさん掘っていければ面白いのではないかなと思っております。
シャーロット:スチュワートの同僚。スコットランド出身のキリスト教徒で、聖書を持ち歩いている。不動産屋で働いていないときは介護の仕事をしている。
増田有華(◆)「シャーロットは信仰深いキリスト教徒ですが、(彼女がスチュワートに貸した)ビデオテープに衝撃的なものが映っていたりする。意図的に入れているのか、偶然なのか、いろんな側面があると思いますが、私はシャーロットに共感できる部分はほぼありません。でも明るい人も家に帰ったらちょっと沈むことがあったり、誰しも他人に見せられない部分があると思います。私も起伏が激しいので、たまに家に帰ると落ち込んだりするので、シャーロットの中の起伏みたいなのものを出せたらと思っています。
音くり寿(★):私はシャーロットに共感できる部分はあるんです。でも誤解はしないでいただきたいのですが、それがどこなのかは、まだ自分でも言葉にできていないので、これから稽古を重ねる上で、何が共感できて、何が自分とは違うのかを掘り下げたいところです。第一印象ではシャーロットはミステリアスなキャラクターなので、どちらも取れるような感じを匂わせられたらいいなと思いつつ、でも初日は全然違うかもしれません」
スチュワート:不動産業者。妹と生活している。職場でシャーロットが録画した番組のビデオを借りるが、実はそのビデオには別の映像が録画されており…
稲垣成弥(◆):スチュワートはいろんな人とからみますが、一番普通の人間かなと思っています。それ以上はまだ僕が見つけられてないのか、それが正解なのか、わかりませんけれど…」
田中尚輝(★)「僕も成弥くんとだいたい一緒で、一番普通だし、お客様目線に立ちやすい役どころなのかなと。誰かを通して物語を見るとなった時にスチュワートが見やすいという第一印象があります。ただ、稽古していく中で、普通として生きることもできるし、普通じゃなくなっていくのか、それとも普通を研究していくのか、そういったところを楽しみにやっていきたいと思っています。
イモージェン:スチュワートの妹。兄と二人で暮らす内気な性格。「女友達と遊びに行っている」と兄には言っているものの、実はカフェで1人、決して現れない “ブラインド・デート”の相手を待ち続けている。
冨川智加(◆):イモージュンと同じ点は、私も内向的な性格なんです。似ている点もありつつ、違うところがたくさんあるので、そういう人を演じるのも楽しみにしています。
山本咲希(★):私には姉がいますが、イモージュンには家族でゲームしちゃうぐらいの仲良しなお兄ちゃんがいます。異性の家族と過ごしている感覚は、どういうものなんだろうか、そういう関係はどんなものかと、すごく考えています。そしてSNSが発展していない中で孤立を感じている時に、彼女がどういうふうに孤独を発散するのかが、この役の肝になってくると思っています。彼女がそもそも持っている恐れをどのように扱わなければいけないのか。彼女の心の成長に向き合っていきたいと、すごく思っています。

一般オーディエンスからは小田島に質問が。日本語訳について、小田島は「エイクボーン作品に限らず、実は英語はそんなに難しくない。難しいのは、セリフの字面だけだと登場人物の感情や本当に言いたいことが隠されていて見えてこないこと。本作では特に行間を読んでいくのが難しかった。ただ、自分でも<訳しすぎてはいけない>とよく言うんですけど、裏にこめられた意味や意図を表に出して翻訳しすぎると、お客様に考えてほしい部分や、それぞれにキャラクター像を作っていただきたい部分を押し付けてしまう。うまくキーワードを与えながら、お客さんにキャッチしていただけるような翻訳を心掛けました。このプロダクションと一緒に翻訳も成長していければ」と、熱意あふれる答えが返ってきた。
元吉は2チーム制での上演について、「演出家は、まずルールを決めるのが仕事。その決めたルールの中で俳優たちは最大限楽しむ、遊ぶ。それが僕と俳優との関係性だと思っています。今回のような2チームの場合、基本的なルールは一緒ですけれど、細かな遊び方に関してはチームごとに全く変えると思うので、全く違うチームになると思いますし、全く違う遊び方をしている演劇が2つ立ち上がると思います。ただ、もう1パターン、完全にキャストがシャッフルの場合は、最低限のルールの中で俳優の皆さんが遊んでくださいという、ラフな感じになると思います。朗読試演の前半と後半で全くカラーが違ったと思います。見ていても、個性全開で怖いですけれども、これからどう立ち上がってくるか、今から楽しみにしています」と期待を膨らませていた
『Private Fears in Public Places』
2026年4月24日(金)~5月24日(日)シアター代官山
【スタッフ】
作:アラン・エイクボーン
翻訳:小田島創志
演出:元吉庸泰
【出演】
◆:駒田一、彩輝なお、原田優一、増田有華、稲垣成弥、冨川智加
★:鈴木壮麻、樋口麻美、塩田康平、音くり寿、田中尚輝、山本咲希
◇:駒田一、彩輝なお、塩田康平、増田有華、稲垣成弥、冨川智加
※5月17日(日)、5月19日(火)公演のアンブローズ役は塩田康平となります。
※ATはアフタートーク開催回
アフタートーク登壇者
4/28(火)ソワレ公演後:元吉庸泰、小田島創志
5/1(金)ソワレ公演後:鈴木壮麻、樋口麻美、音くり寿、田中尚輝
5/8(金)ソワレ公演後:彩輝なお、増田有華。稲垣成弥
5/12(火)ソワレ公演後:原田優一、増田有華、稲垣成弥、冨川智加
5/14(木)ソワレ公演後:駒田一、原田優一
5/16(土)ソワレ公演後:塩田康平、音くり寿、田中尚輝、山本咲希
5/20(水)マチネ公演後:駒田一、彩輝なお、原田優一
5/20(水)ソワレ公演後:鈴木壮麻、樋口麻美、塩田康平
※アフタートーク登壇者は状況により変更となる場合がございます。ご了承ください。
共催:劇団ひまわり
企画・製作・主催:アーティストエージェントリンクス
公演公式 HP:https://private-fears-in-public-places.studio.site
主催公式 X:https://x.com/artistslinks




















