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開幕迫る!ウォーリー木下が実体験をもとに描く舞台『1995117546』取材会 須賀健太、中川大輔、小林唯

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ウォーリー木下 須賀健太 中川大輔 小林唯

ウォーリー木下が企画・作・演出を担い、阪神・淡路大震災の経験をもとに描く舞台『1995117546』が、12月13日(土)~14日(日)に兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて、12月18日(木)~27日(土)に東京芸術劇場 シアターウエストにて上演される。
大学時代に1995年1月17日に起きた「阪神・淡路大震災」に被災したウォーリーが、九死に一生を得た自らの体験をもとにフィクションを混ぜつつ描く物語。

出演する須賀健太 中川大輔 斎藤瑠希 前田隆成 田中尚輝 小林唯から、須賀健太と中川大輔と小林唯、そしてウォーリー木下が取材会に登場。

取材時は「稽古が始まって1週間あまり」とのことだったが、物語の舞台が関西とあって、関西出身の小林はもちろん、関西出身ではない須賀や中川も、ぽろっと出る合いの手がすっかり関西弁。しかも、そのイントネーションが正確!! キャスト陣の本作への熱い思いを感じた。

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―ウォーリーさんは、企画から参加されているとのこと。その思いを教えていただけますか。
ウォーリー:30年前にまだ大学生だった時に神戸に住んでいて、地震に遭い、実際に6時間、生き埋めになった体験を、30年経って最初で最後だと思うのですが、本にしてみようかなと思ってトライしました。
昔は書いても上手くいくというイメージがなかったのですが、いろいろな方の後押しもあり「今なら、もしかしたら上手くいくのではないか」と思い、やることになりました。

―「自伝的ものがたりを虚構と事実を織り交ぜながら演劇化」という点について教えてください。
ウォーリー:フィクションを混ぜると言いつつ、赤裸々に書いた、かなり本当の話ばかりなので、気合いを入れないと恥ずかしくなってくるので、恥ずかしさを忘れるために、毎日、気合いを入れて稽古場に来ています。
須賀:そうだったんだ。知らんかったなぁ。

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―そんな脚本の印象は?
須賀:お話いただいた時に、ウォーリーさんの実体験を基にしていると聞いていました。震災はセンシティブなテーマだと思うので、それをどれぐらい重くするのかが気になっていたのですが、脚本を読んだ時に、体験談という感じはそれほど強くなく、読み物としての面白さや、物語の不思議さに目がいったので、面白くなりそうだと思いましたね。

中川:以前、舞台でご一緒した時に震災体験は聞いていたので、脚本をもらった時に「あのお話を舞台でやるんだ」とすごく驚きました。台本を読んでみると、本当に被災した方でないと書けないようなリアリティがあって深い部分まで書かれていて、読み物としても、何度読んでもいろんな見方ができる台本だと思いました。

小林:ウォーリーさんとは今回が初めましてですが、最初に台本を読んだときは「これがウォーリーワールドか!」「ウォーリーさんの脳内は、一体どうなっているんだ!」と思いました。震災とは関係ないように見える登場人物も出てくるのですが、それが重なり合って1本通るような不思議な印象でした。震災というテーマですけれど、脚本を読んだ時は、それほどシリアスには感じなかったのです。ものすごく大きなストーリーラインの起伏があるというよりは、その時に生きていた人たちを切り抜いたような、いろんな人生がオムニバス形式で流れて重なっているような印象でした。でも、随所にウォーリーさんが体験したからこそ書ける言葉もあって。
今はまだ稽古中なので、最終的にどういう風な形に仕上がるのかは、まだ我々も分かってない状態なのですごく楽しみですね。

―作品の題名は震災の起こった日時ですが、ファンタジックな要素も入っている作品とのこと。どのように1つの作品にされていったのでしょうか?
ウォーリー:僕が思う演劇の特色の1つとして、生身の人間が今、目の前でやっていることの良い意味での嘘っぽさがあります。例えば落語を想像してもらうとわかりやすいと思います。落語は落語家自身が話の中で消えたり現れたりするでしょう。やっぱり演劇も、どれだけ作り込んだ作品になったとしても、役者さんは役者自身がどこか消えきらないまま舞台上にいて、その消え切らなさの中でお客さんと一緒に同じ夢を見るところがある。僕の中では、演劇は小説や映画や音楽よりも、広い嘘がつきやすい。舞台上で「ここは海だ」と言えば海になるように。それをどうやって信じ込ませるかが演劇の醍醐味でもあるので、地震の話だけど、地震に興味がない人にも、いろんな物語を混ぜ込みながらやることで、どこかで引っかかることがあるといいなと思いながら創っています。

―演じる役柄について、教えてください。
須賀:僕は稽古すればするほど、1役しか演じない方向になってきています。本を読ませてもらった段階で、複数の役を演じる面白さと、メリット・デメリットを考えた時に、僕は複数の役はやらない方がいいのかなと思っていたのですけど、そうなりつつあります。まさに専業・ウォーリー木下、車椅子の男の役です。
最初は「ウォーリーさんと二人三脚で根掘り葉掘り聞いて作るのかな」と思っていたのですが、モデルはウォーリーさんですけれど、ウォーリーさんのモノマネをしてやるわけではないので、“車椅子の男”としていられるように役作りをしています。

中川:僕は神戸大学(通称:神大 しんだい)に通う大学生・りきゅう役で、震災を経て人間が変わるような人物です。現実とファンタジーの世界を行き来する物語の中で、最も現実寄りのキャラクターかなと思うので、1995年のリアリティのある神大生を演じられるようにと思っています。ただ震災当日についてのシーンは暗い空気感になってしまうのですが、被災された方のお話を聞いたりすると、実際には何が起こっているのか訳が分からない、現実としてとらえられていない状態で、でも突然泣き出してしまったりする、そういうギリギリ感みたいなリアリティを大切にしたいです。震災後のシーンでは大変なことがあったからこそ「今からは元気に明るくやっていくぞ」というところを大事に演じていきたいです。関西弁も頑張っています!

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小林:カニさんというのが、僕のメインの役で。
須賀中川:違う、違う!!(笑)メインの役がカニさんなわけないでしょ!
須賀:一番いろいろな役をやるんじゃない?
小林:矢崎という役がメインの役になりますが、フランス語を話すシフレと…
中川:おじさんですよね。こんな役は初めてだと言っていましたよね。
小林:今回はおじさんばっかりで。カニさんと関西弁と話すおじさんと…
須賀:クセの強い役が多いですね。
小林:いろいろな役を行ったり来たりするので、役をやる前に、それぞれチューニングしないといけない。いままで、クセのある役はやったことがないんです。正統派でやってきたので。(笑)
中川:クセのある役が楽しそうですよね。
小林:すっごく楽しいです。でも普段は「変わってるね」と、よく言われるので(笑)、そういうところを活かしてみたいですね。矢崎は架空の人物ですけれど、実際に起きたことをベースにしているので、もしかしたら実在したかもしれない人だと思って演じています。そして、テーマが重いので重く演じそうになりますが、あえてその逆をいかないといけないと思っています。当事者の方々は、人にもよると思いますが、意外と当時のことを淡々と話されるイメージもあるので、リアリティを追求しつつポジティブなイメージも残していきたいと思います。

―稽古をしてみて、楽しいところは?
須賀:稽古最初の1週間全部でワークショップをやったんですよ。もちろん本読みはしましたが、1か月ほどしかない稽古期間で1週間ワークショップをするって、さすがウォーリーさんだなと思いました。
小林:ウォーリーさんが主軸になって、みんなからのアイデアもどんどん合わせていくという感じので、そういう現場が初めてなので、とっても刺激的です。「作品って、こうして創り上げられていくんだ!」と実感しています。
中川:みんなで演出を考えるのが、めっちゃ楽しい!例えば「自分が演出家だとしたら、この3ページをどう演出するか?」を考えて、みんなの前で発表するんですよ。そんな頭の使い方をしたことなかったので、すごく疲れちゃって。
小林:脳を使うから、夜はめっちゃ寝られましたね。(笑)
中川:寝られましたね。高校の演劇部にいるような、お芝居の最初の楽しい瞬間といった感じでした。(小林に)演劇部ですよね?
小林:演劇学科です。僕も(当時を)思い出しました。
須賀:みんなで作っている感じで、おかげで何でも話せるようになって、とても良い1週間でした。僕と(田中)尚樹は『ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」』でウォーリーさんのやり方に慣れているのですが、唯さんは初めてだったから、途中から「すごいなぁ。二人は天才やな…」しか言わなくなって。
小林:ついていけん…って。(笑)
須賀中川:演劇学科!(笑)
須賀:でも2日目からは、すっかりフィットして。
小林:すぐ仲良くなった。
須賀:作品についても、ウォーリーさんとも、役者同士としても、すごくいい時間が過ごせたと思います。

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―ウォーリーさんからごらんになっていかがでしたか?
ウォーリー:3日目ぐらいから個性炸裂になって、唯さんは“キャッツ先生”と呼ばれてました。身体能力がすごいんですよ。ストレートプレーですが、パフォーマンスで表現する不思議なシーンもたくさんあるので、そういう時には、唯さんの身体能力がいかんなく発揮されています。動きがとてもきれいで、指先までコントロールできるのがすばらしいです。
中川:ホントにきれいです。
小林:ホントですか?!ありがとうございます!
ウォーリー:Dは
中川:僕のことです。
ウォーリー:基本的に破天荒なんですよ。「演劇はこうあるべきだ」を知らなくてここまで来ている人なので(笑)、なんでもやれちゃうすごさがあって「あそこでこんなコミュニケーションの取り方するんだ、舞台上で」みたいなことをする。それが裏目に出る時もあるけれど、はまった時には、全員が尊敬してしまうことも多いのです。今トライしてもらっている関西弁も味わい深くて、すごく好きです。
健太は、長い間いろいろなことを一緒にやってきていますが、僕が知っている俳優の中でもダントツに体が利く人なので、毎回動かしたくなっちゃうんですけど、今回はずっと車椅子に乗せています。動くシーンもあるのですけれど、健太は演劇の場合のセリフの書き方みたいなこととかを、僕より研究しているのを知っているので、逆に動かないことでより細かく作っていけるのが面白くて、それも醍醐味です。

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―稽古場で互いに発見がありましたか?
須賀:(小林を見て)変な人ですよ~!むちゃくちゃ面白い人です!(中川は爆笑)
小林:変?そんなふうに思ってないよ。
須賀:変な人は、自分のことは変だと思ってないのよ。
小林:そうね、思ってない。一生懸命生きているからね。(笑)

―具体的にお願いします。
小林:具体的には、言えない感じだよね。
中川:ものすごくおしゃべりですよね。僕は最初、クールな人かなと思っていましたけど。
小林:それ、すごくよく言われます。「最初はクールだと思ってた」と。

―思っています!
小林:そうですよね~。(皆、爆笑)Dは、人見知りですよね。
中川:はい。
小林:でも味わい深いんですよ。さっきウォーリーさんも「Dの芝居が味わい深い」とおっしゃっていましたけれど、プライベートも味わい深いんです。にじみ出てくるチャーミングさがあって。
ウォーリー:昨日の休憩時間の話は?(笑)
小林:稽古の合間の20分休憩で、外に出て牛丼屋で食べて来たよね。
中川:昼ごはんを食べてなくて、行けるかなと思って。カレー牛です。(笑)
須賀:休憩になった瞬間に「行けるかなぁ」と言うから「行ってみたら」と言ったら(爆笑)
ウォーリー:チャレンジャーだなぁ。
中川:大丈夫、皆、10分で食べてこられますよ。(笑)
須賀:Dだけ!(爆笑)
小林:健太はすごく気さくで、そして、最初に僕が変だと気づいて。初日ぐらいで気付いていましたよね。
須賀:変な人が好きなので、初日に気付きました。
小林:健太は芸歴20数年でしょ。それは感じます。学ぶところがたくさんあります。ホントに尊敬しています!
須賀:言わされているような言い方!(爆笑)
小林:ホントに尊敬してます!

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―最後にお客様にメッセージをお願いします。
小林:少人数でいろいろな役をやって、1つのものを作り上げているんで、6人で出す作品のパワーを感じてもらえたらと思います。僕個人としては、これまで見たことない僕の姿が見られると思うので、それを楽しみにしてもらえたらと思います。

中川:被災されたウォーリーさんだから書けるリアリティと深みのある話ですが、決してじめっとしてない、希望のある話になっていくので、観に来ていただきたいです。僕は映像作品が多いのですが、ここに集まった俳優の方々の出身が違うので、お芝居のテイストもちょっとずつ違って、いろんな世界観が登場するというところも、この作品にも合っていて、いろんな楽しみ方ができる作品になっていると思います。僕たちも演出を考えたとお話ししましたが、その演出もちょっと使っていただけているので、ぜひ観てほしいです。

須賀:震災を題材にしていることで、観るのをやめようかなと思われる方もいらっしゃると思いますが、パワーのあるテーマがあり、それが分かった上で、それだけではない作品にしたいと思って毎日稽古しています。しっかりした物語として、演劇作品として良いものをお届けできると思いますので、少しでもいいなと思っていただけたら劇場に来ていただきたいと思います。

ウォーリー:今みんなが言ってくれたように、演劇としてやるなら1歩でも前に行きたいと思っているので、観た方が「わっ!」と驚けるようなものになっていると思います。エンターテインメントの喜びを欲しい人はぜひ観に来てください。お待ちしております。

1995117546 新ビジュアル(8月12日正午解禁)s78

舞台『1995117546』
兵庫公演 2025年12月13日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
東京公演 2025年12月18日(木)~27日(土) 東京芸術劇場 シアターウエスト
【企画・作・演出】ウォーリー木下
【音楽】三國茉莉
【出演】須賀健太 中川大輔 斎藤瑠希 前田隆成 田中尚輝 小林唯
【企画・製作】シーエイティプロデュース
【公式HP】https://stagegate.jp/