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オールスターキャストの12名が揃った!ミュージカル『カム フロム アウェイ』製作発表記者会見

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』が、3月7日(木)より日生劇場を皮切りに全国6か所にて上演される。
1月30日にカナダ大使館にて、チケットを購入し、抽選で選ばれたゲスト30名が見つめる中、安蘭けい、石川 禅、浦井健治、加藤和樹、咲妃みゆ、シルビア・グラブ、田代万里生、橋本さとし、濱田めぐみ、森 公美子、柚希礼音、吉原光夫という豪華12名のキャストが勢揃いし、製作発表記者会見が行われた。

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9.11の裏でカナダのニューファンドランド島で起きた心温まる奇跡の実話を基に、12人の出演者のみで100人近くの役を次々に演じ、人と人との繋がり、人種、国、宗教など全てを越えて助け合う人間の素晴らしさを描き、トニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞など、数々の演劇賞を受賞した本作。
日生劇場60周年イヤーを締めくくる作品として、日本のミュージカル界が誇る豪華12名のキャストが出演してお届けする。

カナダ大使館の方から、本作の舞台となるNewfoundland島の、世界遺産グロス・モーン国立公園をはじめとする豊かな自然と、当地の人々の温かさが感じられるエピソードが紹介された後、キャスト陣が登壇した。

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安蘭けい:(観覧者へ)なかなか入ることができないカナダ大使館での製作発表ですが、リラックスして聞いていただきたいなと。それは私たちね。(笑)
『カムフロムアウェイ』はNYで観て、日本で上演する機会があったら、ぜひ出演させて頂きたいと思っていたので、出演できて本当に嬉しく思っております。

石川 禅:安蘭さんとのロマンス担当で島民のニックという役をやります。それ以外に島民のダグという役をやります。シルビアさんが演じる動物愛護に命を燃やしている動物愛護協会のボニーという女性の尻に敷かれている旦那の役もやります。
(メインの 本作との出会いで感じる今の思いをお願いします)なかなか楽しいメンバーで、とてつもない作品に出演させて頂けることを感謝しております。
この作品はとてもシンプルな舞台で、13脚の椅子と3卓のテーブルで、動かすのを全部役者がやります。椅子は一個一個まったく違うデザインで、「わぁ、重い!」と思うものや車輪が付いているものがあります。それは国籍の違う人が飛行機に乗り合わせたように、人種の違いを表しているようでもあり、ここにいる12名の個性豊かなキャストを表しているようでもあります。
まだ私たちは椅子を動かすのに四苦八苦、七転八倒している最中ですが、この個性あふれるメンバーがひとつになってひとつの旅客機を作り上げる瞬間が、無事3月7日にやってきて、無事テイクオフしていくことを祈っていてください。私たちは一生懸命がんばります。

浦井健治:各国で上演されてきたものを初めて日本でやるので、ステージングが出来上がっている。そこにレプリカ的に入っていく。我々の個性を尊重しながら入っていく。なんて豊かなんだろうと思っています。その過程、一個一個の積み重ねが豊かだと。こういう演劇は、その答えではなく、その時間が尊いと感じている12人、そして(スタンバイの)4人の16人。一緒にやれることが幸せだなと思っております。

加藤和樹:(稽古場での様子を尋ねられるも、1/28まで『西遊記』に出演していたため、稽古場には前日1/29のみの参加だった様子で)短時間でも感じるのは、二度とこのキャストでは再演できないだろうなという、第一線で活躍している方々ばかり。一人ひとりの力、エネルギーがひとつになったときには、どれくらいのエネルギーが出るんだろうかと感じています。一人が笑うと皆が笑う。その笑いのエネルギーもすごい。それがいい感じで伝播していくと、作品が元々持っている力と日本を代表する方々の力が相乗効果になって、とんでもない爆発力を生み出すのではないかと。稽古場のエピソードというより感想でした。

咲妃みゆ:(作品を通して伝えたい思いは?)私は2001年当時小学生でした。その時、あの事件をニュースで知って抱いたショックを今でも鮮明に覚えています。悲しみ一色だと思っていたこの出来事のそばで、こんなに温かみのあふれる物語が実際に起こっていたんだっていうことを知って、この作品に関わらせていただくことで、より一層感動が増している今なんです。
たくさんの方が傷つき、ショックを受け戸惑う中で、たくさんの人が寝る間を惜しんでその方たちのために手を差し伸べています。それは、実際に起こった出来事です。ご覧頂くのは、私たちキャストが助け合って作り上げていく姿だと思うので、遠い国での出来事ではなく、どの場所もどの国もニューファンドランド島になり得るんだと思って、この作品をご覧いただけたらと思っています。

シルビア・グラブ:私も瞳子(安蘭けい)さんと同じく、ブロードウェイで観ました。トニー賞をとった直前に見ていて、トニー賞まで行って観ています。ほんとに素晴らしかったです。NY行くときには話題になっている作品をバンバンバンと観るのですが、これは前知識無しで観に行きました。
この題材をこれだけ愛のある舞台にしていることに感動してしまって、もし日本で上映することがあったら、絶対私は参加したいと思っていたので、話が来たときには「やる!やる!やる!」と。どの役でもいいという意味です。客席から観ていた時に、椅子を動かしたり、セットを動かしたりして、それが飛行機に見えたり、バーに見えたりする姿もすごくかっこよく見えるんです。観ている側としては大変なのはわかるけれども簡単にやってるんですよ。だから簡単にできると思ってたら、今、四苦八苦しております。
でも、本番までにはみんなで力を合わせて、ニューファンドランドの人たちが力を合わせてカムフロムアウェイの人たちに手を差し伸べたように、私たちも舞台上でお互いに手を差し伸べて助け合って乗り切りたいと思います。これだけのメンバーがやれる作品もなかなかないし、観られることもなかなかないと思うので、確実に素晴らしいものになると思います。皆さん、ぜひ(公演の)100分を楽しんでください。

田代万里生:9.11は僕も学生の頃に経験していますが、お客様もはっきり覚えている方が多いのかなと思っています。演出補のダニエルさんが「この作品は、9.11の作品ではなくて、9.12の作品だ」とおっしゃっていました。いわゆる復興に繋がる作品だとは思うんですが、僕ら全員で全幕の本読みをした後に語りあったのが、みんながすぐ思い浮かんだのが、9.11もちろんですけれども、3.11の東北の地震であったり、つい先日の北陸地震やその後の飛行機の事故であったり、いろんなことを思い出して、そこからどうやって立ち上がる、どうやって支え合うかを、すごく、思い返すことができました。僕らもGanderの人のようになれる、いつでもなれるという気持ちになる作品になるかなと思っています。
「ケビンJ役をなぜ田代万里生に?」とプロデューサーに尋ねたときに、「ケビンJもやってもらいたいけれど、もう一つのイスラム教徒のアリという役を、ぜひ万里生さんに演じていただきたい」とおっしゃっていただいて「なるほど」と思いました。9.11では、イスラムの関係の方には偏見を受けたり辛い思いをされたりした方もいらっしゃると思います。僕もイスラム教の方とお付き合いがあって、日本の僕らとはまったく違う文化や感性を持っていらして、僕らには当たりまえのことがそうでなかったり、お話を聞く度に世界は広いんだと、理解し合うためには互いをよく知らないといけないと痛感しています。

橋本さとし:「これは大変なことになるぞ」という予感は稽古に入った瞬間に感じましたけど、めっちゃ大変です。
僕は町長役、この町のリーダーですけれども、僕自身はあまりリーダーシップを取れる人間ではないんで、ただひたすら「稽古を途中で止めてはいけない」との一心で、セリフが飛んでも、それに近いことを何か言っていたらいいだろうと、突拍子もないことを言っても、ほんとに知り合った中で僕のこともよくわかってくれて「さとしだね」と笑い飛ばしてくれる。ミスしまくって精度を上げていく。稽古場で恥をいっぱいかいて、本番のお客様の前では恥ずかしくないものをお見せしようと精進しながら精度を上げていってる最中です。

濱田めぐみ:(アメリカン航空初の女性機長を演じる上で大切にしていることは?)物語の役割としては、ところどころ緊張感を持って切り込んでいく役にもなります。飛行機のシーンでは、機長として乗客に情報を伝達、状況を説明するシーンがあります。
ひとつ、心に残るエピソードがあります。稽古場始まる前に演出家から「9.11は日本に住んでいる皆さんにどれくらいの出来事ですか?」と聞かれました。「正直に言います」とお答えしました。「我々は映像でしか見たことがなかったし、映画を見ているような感覚で、いろんな方がいますが、大方は9.11がダイレクトに心に響くというよりも、3.11の東北の地震や先日の北陸の地震とは起こった出来事は違うけれど、抱える辛さや苦しみは一緒なんだなと感じた」と。この作品の中でひとつ、ポイントになるのが、いろいろなところで悲しいことが起こっているけれども、咲妃みゆちゃんがおっしゃったような“人が人を癒していく”“人が起こしてしまったことを、人が愛を持って復興していく”ことが描かれます。だからこの作品は日本の方が観ても共感できる、受け取れるし持って帰れる作品だと思いました。我々はポンコツを乗り越え、演出を取り込みながら、良い初日を迎えたいと思います。

森公美子:演じるハンナの息子はマンハッタンの消防士で、結果はネガティブになるんですが(と涙ぐむ)「演じる時は息子はそんな現場には行くはずはない、元気にいるはずだから、早く息子のもとに帰らなきゃ」という思いで演じて欲しいと言われた、ちょっと重い役です。昨日は私がおにぎりを、その前の日には瞳子さんがハンバーガーを(差し入れに)。私は痩せるつもりできたのに、どんどん太っていくのが気になっている今日この頃です。

柚希礼音:本当に皆さんがいろんなこと助けてくれて「ちえ(柚希)ちゃんにはこういう面があるから大丈夫だよ」とかいろいろと教えてくれたりしながら1歩1歩やっています。
昨日もこのドキュメンタリーを見直したら、最後に町長さんが 「人の優しさはどんな悲劇をも乗り越える」とおっしゃっていました。全てを癒すことはできないんですけど、人のやさしさで癒されることはあると思うので、そこを大切に演じていきたいと思っております。

吉原光夫:公美さんがおっしゃっていた、「私は誰?」「今、どこにいるの?」は、稽古場で実際に今起きている、自分が誰を演じているのか分からなくなることで、笑い話になっていますが、この作品の意図でもあります。「私はここにいる」ということが、テロが起きたり、地震が起きたりすると一気に分からなくなってしまう。自分の居場所がなくなってしまう、自分の居場所に帰れなくなってしまう。そこが無くなったことで自分は誰なのか分からなくなる。誰かが亡くなって、なぜ自分が生きているのかが分からなくなってしまう。そんな時にGanderの人たちは軽い愛ではなく、人の思いを引き受けてくれる、寄り添ってくれることができたという実話です。そのドキュメンタリーがあるのですが、当たり前のように「座りな」「ご飯食べな」「何も考えずに寝な」というのが、すごく明るく人を受け入れる感じに僕は共感しました。
この話はテロが起きたときの話ですが、今はSNSで誰かが攻撃されたり、学校でいじめられたりと、日常で小さなテロが起きていて、自分たちの居場所や表現が失われている気がします。「あなたは手を差し伸べてそばにいることをチョイスするのか、攻撃するのか、どっちをチョイスしますか?」と問いかけ、でも「居場所は必ず愛のあるところにあるよ」と言っている気がします。ニュートラルに戻してくれる作品のような気がしています。まだ今は(我々も)テンパっていますが、初日には安定してフライトすると思います。

 

ブロードウェイミュージカル『カム フロム アウェイ』
<東京公演>2024年3月7日(木)~29日(金)日生劇場
<大阪公演>2024年4月4日(木)~14日(日)SkyシアターMBS
<愛知公演>2024年4月19日(金)~21日(日)愛知県芸術劇場 大ホール
<福岡公演>2024年4月26日(金)~28日(日)久留米シティプラザ ザ・グランドホール
<熊本公演>2024年5月3日(金祝)~4日(土)熊本城ホール メインホール
<群馬公演>2024年5月11日(土)~12日(日)高崎芸術劇場 大劇場
<キャスト>(五十音順)
安蘭けい
石川 禅
浦井健治
加藤和樹
咲妃みゆ
シルビア・グラブ
田代万里生
橋本さとし
濱田めぐみ
森 公美子
柚希礼音
吉原光夫

スタンバイ:
上條 駿
栗山絵美
湊 陽奈
安福 毅

<スタッフ>
脚本・音楽・歌詞:アイリーン・サンコフ/デイヴィッド・ヘイン
演出:クリストファー・アシュリー
ミュージカルステージング:ケリー・ディヴァイン
翻訳:常田景子
訳詞:高橋亜子
主催・企画制作:ホリプロ
後援:カナダ大使館
公式HP=https://horipro-stage.jp/stage/comefromaway2024/