東京芸術劇場シアターウエストにて、アンドリュー・ボヴェルの傑作戯曲『これだけはわかっている～Things I know to be true～』が、本日6月30日（金）に初日を迎え、ゲネプロが公開され取材会が行われた。
演出は荒井遼。南果歩 栗原英雄 山下リオ 市川知宏 入江甚儀 山口まゆが家族を演じ、一家の一年の物語を描く。
舞台となるのはオーストラリア・アデレードだが、誰にでも起こりえるエピソードとリアルな人物造型が一家を身近に引き寄せ、観劇後も深く心に残る物語となった。 公演は7月9日（日）まで。
夫婦と4人の子供のプライス一家。
左より）次男ベン（入江甚儀）母フラン（南果歩）長男マーク（市川知宏） 末娘ローシー（山口まゆ）長女ピップ（山下リオ）父ボブ（栗原英雄）
ヨーロッパに一人旅に出かけていたロージーが帰ってきた。喜ぶ家族たち。
とはいえ、一家で揃って食事をしようにも、なかなか全員が揃わない。
母は看護師として働き、ピップの子供たちの面倒も見て、常に忙しい。父は16歳から働いていた自動車工場を56歳でリストラされ、今は庭のバラの手入れに精を出す。ピップはバリバリのキャリアウーマンとして忙しく、マークはITエンジニアで、ベンは羽振りのいい会計士。
忙しくとも互いに助け合い、思いやる家族・・・のはずだった。やがて、一人ひとりの胸に閉じ込めてきた悩みが露わになっていく。
南果歩：（脚本を）一読した時も素晴らしい戯曲だというのは重々感じて、すぐにやりたいという気持ちになったのですけども、やればやるほど、発見がたくさんあって、稽古はいくらやっても足りない。でも、どこかで初日は来て、でも初日はもう第1ゴールでね、最終的なゴールは千秋楽だと思ってるので、あの舞台に立ちながら、日々、変わっていくんだろうなと思ってます。
栗原英雄：（稽古場では）早いうちから家族になっていくっていう感じですよね。最初のシーンは、みんなが協力し合わないと成立しないシーンなので、そういう意味でもコミュニケーションをとってやってる感じですね。
山下リオ：家族がテーマですけど、皆さん、子供であり親であるということで、どこか共通していると感じられるテーマです。私もこの戯曲を読んで、すごく心が揺さぶられるものがありました。せっかくこの家族の一員になれたので、家族の絆を持って話し、自分が思ったもの、心の動きをお届けできるように頑張りたいと思います。
市川知宏：僕が演じるマークが劇中で親を超えなきゃいけない、超える瞬間があるので、 ここは中でもぜひ、1歩踏み出したいけど踏み出せないとか、親を振り払ってでも自分の道進みたいとか、そういう悩んでる方とか、1歩踏み出したい方にも是非来ていただきたいです。
入江甚儀：今回は配信もありませんし、多分DVDになることもないと思うんですよ。全11公演しかないです。絶対見に来た方がいい舞台だと心から思ってます。 これを観た後の人生が華やかになると思うんですよ。これだけはわかってる。（と決めて、全員が笑顔になり“うまい！”褒めた）
山口まゆ：初めての舞台なので、 そして重要な役なので、プレッシャーと緊張といろんな感情がありますが、初めての舞台がこの脚本とスタッフ、キャストの皆様ということがすごく嬉しくて、 この作品を一刻も早くお客さんにお届けできたらなと思っておりますが、私は自分のことで精一杯なので、自分の役を全うできたらいいなと思います。
この日、渡辺謙の結婚が明らかになったことについて、南は「びっくりしました。でも私にとっては、もう過ぎ去った季節のことなので、 まずはおめでとうございますということと、あとは、今回の作品と共通するんですけれども、誰もが幸せになるために生まれてきたので、いろんな季節を経て、いろんな時間を誰かと過ごして、実りある人生を築いていく。私はもう同じ時間を過ごす人間ではないんですけれども、結婚したからには幸せになっていただきたいという気持ちです」と爽やかに語った。
本公演は一幕75分、休憩15分、二幕50分の2時間20分。
tsp NextStage
「これだけはわかってる」〜Things I know to be true～
作 アンドリュー・ボヴェル
翻訳 広田敦郎
演出 荒井遼
美術 牧野紗也子
衣裳 ゴウダアツコ
照明 榊美香 ※サカキは木ヘンに神
音響 森谷公一
ステージング 王下貴司
舞台監督 深瀬元基
出 演 南果歩 栗原英雄 山下リオ 市川知宏 入江甚儀 山口まゆ
【東京公演】2023年６月30日(金)～7月9日(日)東京芸術劇場シアターウエスト
公式サイト https://tspnet.co.jp/koredake/
