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「木村越えを狙いたい⁈」加藤シゲアキ主演の『モダンボーイズ』開幕!取材会&ゲネプロ

加藤シゲアキ主演の『モダンボーイズ』が、4月3日(土)に初日を迎えた。開幕前に行われた取材会とゲネプロの模様をお伝えする。(公演は4月16日(金)まで東京・新国立劇場 中劇場にて。その後、4月28日(水)~30日(金)まで大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演)

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本作は1994年に木村拓哉主演で、都政施行50周年記念公演として上演された、幻の名作ともいわれる青春群像劇。
日中戦争直前、浅草のレビュー小屋を舞台に、ひょんなことから浅草エフリィという芸名でレビューの人気者となったプロレタリア革命を志す学生・矢萩奏が、小屋の座付き作家であった菊谷栄と出会って、生きる居場所を見つけ、自分にしかできない革命を見出していく物語。

かつて木村拓哉が演じた役を、今回は加藤シゲアが演じる。さらに、山崎樹範 武田玲奈 坂口涼太郎 溝口琢矢 松田賢二という個性派俳優陣が集まった。

【取材会】
登壇したのは、作者の横内謙介と、演出を担当する一色隆司。出演する加藤シゲアキ、山崎樹範、武田玲奈。

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一色隆司  武田玲奈 加藤シゲアキ 山崎樹範 横内謙介

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脚本の横内謙介パルコ劇場さんから、古い良いものをやりたいと、この作品を選んでいただいて、とても光栄です。27年前に書いた台本ですが、良いブラッシュアップの機会をもらえて、今回、ぐっと大人のドラマに大改訂しました。途中、加藤さんが出演されると情報を得て、脚本家の菊谷栄の方が加藤さんには良いのではないかと忖度もして、矢萩奏とどちらでもいけるようにプランを立てていたのですが、加藤さんが「木村拓哉先輩がやったことを継承したい。あわよくば木村越えを狙いたい」とメッセージを頂き、スペシャルな1本を作りたいと思いました。キャストの皆さんも、一字一句にこだわってくださり、作者冥利に尽きる舞台に仕上がったと思います」

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演出の一色隆司は「加藤さんは歌手・作家・小説家・今回は役者もなさっていますが、率直なところ、時間さえあれば、一日28時間あれば、あと2つか3つはできそうなくらいエネルギーとバイタリティーをもっている人です。そのエネルギーすべてを矢萩奏という役に注力してくれた時に、舞台上でマジカルなことが起こると確信しております。武田さん山崎さん、キャストの皆が骨太の台本をきちんと読み解き、のたうち回りながら取り組んできました。熱いものをお届けできると確信しております」と、加藤、キャスト陣への全面的な信頼を語った。

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主演を務める加藤シゲアキは「昭和初期の演劇をやるのもままならない時代を描いた作品は、今の時代とシンクロするところがあるのではないかと思います。試行錯誤しながら、どうやって上演するかは、演劇界だけでなくエンターテイメント界が乗り越えねばならないところだと思い、この舞台を通して学ぶことがあるのではないかと、出演することを決めました。幕が開くことにほっとしていますし、このまま完走できたらと思います。身体に気を付けて頑張っていきたいと思います」と挨拶。新国立劇場に立つ気持ちを「これまで観客として来ていた劇場。夢の舞台です」と表した。

かつて木村拓哉が演じた同じ役を演じることについては「ずっとあこがれていた先輩で、最初にお話を頂いたときに恐れ多いと思ったが、 同じ役ができることは、この先もないだろうと思い、他の誰かがやるときには、きっと嫉妬するのではないかと思った」と出演決定の理由でもあったこと、「作家の菊谷栄役ではなく、一役者としてチャレンジさせて頂きたいと(矢萩奏役に)お願いをさせて頂きました」と詳しい経緯も明かした。

本作への出演を木村に伝えに行った時には、「すごく緊張して映画のリハーサルの現場を訪ね、簡潔にお伝えして帰ろうと思ったのに、顔見た瞬間に『やるんでしょ、モダンボーイズ』と言われた。その瞬間に僕の段取りは総崩れしまして『あ、はい!』とアワアワしました。どうやら菊谷栄役をやられていた平田満さんから聞いていたようで。でもすごく温かく応援してくださり、最後には『頑張って』『体には気を付けて』とお言葉を頂きました」と嬉しそうに。

横内から「木村拓哉越えを狙いたい」との言葉が出たときには「言ってない!」と否定していた点については「木村さんの当時の映像を観ましたが、木村さんは 21才で演じられて、素晴らしくて、映像資料を先に見ていたらオファーを断っていたかもしれないくらい完成されていた。正直言って、 越えるのは不可能だと思いました。別の新しい人物を演じるつもりで演じなければ、成功しないと思い、自分なりに取り組ませてもらいました」と、木村へのリスペクトと共に葛藤もにじませた。

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挨拶の冒頭で、「吉川英治文学賞受賞、ありがとうございます」とボケた山崎樹範。加藤からは「稽古場でもふざけているだけで」とつっこまれ、取材の場が笑いで満ちた。「初日を迎えることができて感謝しています。幕を開ける限りは、観て頂く方に、エンターテイメントやライブは必要だと思って頂けるように全力で向かいたいと思います」と意気込みもしっかり語ってくれた。

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新人女優の夢子役を演じる武田玲奈は「私が今、ここに立っていられるのは、横内さん一色さんはじめ、スタッフキャストのみなさんがアドバイスをたくさんくださって、お稽古をしてくれて、助けてくれたおかげだと思っています。今は自信をもって幕が上がるのを待っているだけです」と充実感みなぎる表情を見せた。

 

【ゲネプロ】

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時は日中戦争直前。座付き作家の菊谷栄(山崎樹範・中央)のもと、エゾケン(坂口涼太郎・左)デッパ(きづき・右)たちが働く浅草のレビュー小屋が舞台。

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新人女優の若月夢子(武田玲奈・左)は、女優としての夢を描いて、先輩女優たちのいじめにも耐える日々。

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楽士の和田純(神保悟志)、小屋の実務を引き受ける兵吉(溝口琢矢)もそれぞれの苦労を抱えつつレビューを上演する日々MB_022

そこにプロレタリア革命を志す学生・矢萩奏(加藤シゲアキ)が、憲兵に追われて傷だらけで逃げ込んでくる。小屋の皆により匿われた矢萩は、ひょんなことから浅草エフリィという芸名で舞台に立ち、封じ込めていた音楽の才能を開花させ人気者となる。

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レビューの楽しさと自分の居場所を見つけた矢萩
夢への階段を上り始めた夢子だったが…

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暗く過酷な戦争が、迫ってきていた。

ストレートプレイではあるが、レビュー小屋が舞台とあって、ミュージカルやコメディを見るような楽しさと、加藤の見せ場が満載。武田は夢子として女性像を作りあげ、ダンスも披露。放送中のNHK連続テレビ小説「おちょやん」に出演中の坂口涼太郎が、舞台育ちの実力を見せて楽しませてくれる場面も多い。
山崎をはじめとする実力派俳優陣が、複雑な時代背景を身近に感じさせ、娯楽エンターテイメントだけに終わらない深みある面白さを与えてくれた。

本公演は、4月16日(金)まで、新国立劇場 中劇場。4月28日(水)~30日(金) 大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールにて上演。

『モダンボーイズ』
【作】横内謙介 【演出】一色隆司
【出演】加藤シゲアキ / 山崎樹範 武田玲奈 坂口涼太郎 溝口琢矢 松田賢二 きづき
伴美奈子 羽子田洋子 清瀬ひかり 紺崎真紀 橋本菜摘 大川亜耶 須田拓未 /
加藤虎ノ介 神保悟志 大鷹明良

【東京公演】2021年4月3日(土)~16日(金) 新国立劇場 中劇場
【大阪公演】2021年4月28日(水)~30日(金) COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

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