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こまつ座&世田谷パブリックシアター 『藪原検校』(やぶはらけんぎょう)2月23日(月)開幕 ! !

左から:野村萬斎  中越典子 撮影:谷古宇 正彦

左から:野村萬斎 中越典子
撮影:谷古宇 正彦

井上ひさしの生み出した稀代の悪党が28年の人生を駆け抜ける『藪原検校』。栗山民也演出×野村萬斎ほかの出演での待望の再演の幕が開いた。

奥 左から: 辻萬長 野村萬斎 山西惇 酒向芳 酒向芳 手前 左から: 大鷹明良 撮影:谷古宇 正彦

奥 左から: 辻萬長 野村萬斎 山西惇 酒向芳 酒向芳 手前 左から: 大鷹明良
撮影:谷古宇 正彦

初日コメント
◆栗山 民也(演出)
井上さんの芝居に関わると、改めて井上さんの戯曲はなんと豊かで密度が濃いのだろうと実感します。無数の問いかけがこの戯曲に込められていることを感じ、それを受けることを快感に思いました。俳優や観客にとっても、これほどまでにエネルギーを使うことは滅多にないのではないでしょうか。『藪原検校』は我々に考えるヒントを与えてくれるような、今の時代に響く作品です。
◆野村 萬斎(杉の市、のちの二代目藪原検校)
栗山さんと、栗山さんの演出に馴染みの深いキャストのチームワークにより、作品のひとつひとつの構造が浮かび上がる、より進化した『藪原検校』になりました。初日とは思えない出来栄えになったのではと思いますし、私自身初演を上回る充実感を得ることができました。ぜひ多くのお客様にご覧いただきたいと思います。
◆中越 典子(お市)
井上さん作、栗山さん演出の作品への出演を熱望していましたので、それが叶った今日はとても緊張しましたが、お客様の笑い声や反応に励まされました。同時に、この戯曲の素晴らしさと難しさを改めて感じました。大きな山のようで、これから乗り越えないといけない、乗り越えないで終わったらもったいないと思っています。
◆山西 惇(語り部役の盲太夫)
ようやくこの日を迎えることができました。稽古から数えますと本日がひとつのゴールだと思うのですが、お客様の前で演じることで改めて気付くことが沢山あり、ここからがスタートなのだと、今日新たに思い直したところです。明日から更に頑張りたいと思います。
◆辻 萬長(検校・塙保己市)
初日とは綱渡りのようなもので、どの作品でも初日を迎えるのは緊張します。今回、私は再演からの参加になりますので更にプレッシャーを感じていましたが、栗山さんの手腕に導かれて、良い初日を迎えることができました。無事、綱を渡り切れたことにホッとしています。

左から: 辻萬長 明星真由美  撮影:谷古宇 正彦

左から: 辻萬長 明星真由美
撮影:谷古宇 正彦

《 みどころ 》
東北生まれの盲目の少年・杉の市が、悪事の限りを尽くして盲人社会の最高位、検校になるまでを描いた悪漢物語(ピカレスク)の決定版、『藪原検校』。井上ひさし江戸三部作のひとつとして書かれ、井上作品の中でも異色作にして最高傑作との呼び声が高い作品。
自らが東北の血脈を持つ井上ひさし。その井上ひさしが若き日に聞いた東北独自の民話や奥浄瑠璃を思わせる土着の伝説をベースにしたこの作品を、鋭い目線で追求し演出するのは、井上作品の魅力や奥深さを知り尽くした演出家・栗山民也。栗山は「70年代に書かれた『藪原検校』が、今のこの時代を鏡のように映し出すのは、井上さんが歴史と現在を照応しながら、その核心にあるものを確実に捉え、克明に描写しているからに他ならない。だから井上さんの戯曲には、こちらが意図する以上に時代のほうが寄り添ってくる」と語る。
また盲に生まれた不遇や障害をはねのけて、己の身と金の力を頼りに、成り上がり生き抜こうとする杉の市、のちの二代目藪原検校を、前回(2012年)に引き続き世田谷パブリックシアター芸術監督・野村萬斎がつとめる。狂言師としての身体性や技、またシェイクスピアやギリシャ悲劇など様々な作品に携わり培った経験を結集させ、杉の市の28年の生涯、その途方もない生のエネルギーを舞台上で爆発させる。
杉の市の人生を狂わせる運命の女・お市を可憐に、また情念たっぷりに演じるのは、近年舞台女優としての活躍目覚ましい中越典子。物語の語り部である盲太夫には栗山民也の信頼も厚い山西惇、杉の市と正反対の人生を歩みながらも心を通わせる検校・塙保己市にはこまつ座の顔である辻萬長を迎えた。
演劇界の最高峰のスタッフ・キャストによる、こまつ座&世田谷パブリックシアター『藪原検校』。
公演は3月20日(金)まで。

左端 :辻萬長  撮影:谷古宇 正彦

左端 :辻萬長
撮影:谷古宇 正彦

《 ストーリー 》
盲目で生まれた杉の市は、盗みや脅しは当たり前、ついには人を殺めてしまう。
殺し殺してまた殺し、その手を血に塗れさせ、悪の限りを尽くしながら、己の身と金の力を頼りに、盲人社会の最高位である検校にまで登りつめる。
東北の地から江戸へと流れてきた少年は、運命の大きな流れに流される――。二代目藪原検校の、その悪行三昧、闇の世界の一代記。

《 公演概要 》こまつ座&世田谷パブリックシアター『藪原検校』(やぶはらけんぎょう)
2015年2月23日(月)~3月20日(金) 世田谷パブリックシアター
【作】 井上ひさし  【演出】 栗山民也
【出演】 野村萬斎/中越典子/山西惇/大鷹明良/酒向芳/春海四方/
明星真由美/家塚敦子/山﨑薫/辻萬長/千葉伸彦(ギター奏者)

【チケット料金】(全席指定・税込)
一般 S席8,800円(1階席・2階席)/A席6,500円(3階席) ほか  *当日券発売あり

【お問合せ】 こまつ座 03-3862-5941
世田谷パブリックシアターチケットセンター 03-5432-1515