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「笑いに貪欲な座長に私もついていく」紅ゆずる インタビュー『Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』

三宅裕司を筆頭に、渡辺正行、ラサール石井、三宅の盟友・小倉久寛らが揃う東京喜劇「熱海五郎一座」が、ゲストに紅ゆずる、横山由依(AKB48)を迎えて、今年も新橋演舞場に帰ってくる。昨年、コロナウイルス感染症拡大防止のため叶わなかった公演『Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー 〜日米爆笑保障条約〜』(以下、『Jazzy~』)を、昨年予定していた同じキャストが揃って上演する。

今回Astageがお迎えするのは、宝塚歌劇団元星組トップスターの紅ゆずる。
2019年10月に宝塚歌劇団を退団し、『Jazzy~』が東京の地では初舞台となる。退団後の思いや、『Jazzy』への意気込みをうかがいました。

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―退団して1年あまり、様々なお仕事をされて新しい刺激もたくさん受けたのではないかと思います。タカラジェンヌは、ご自分でメイクすると聞いていますが、新しい環境で発見したご自分の魅力は?
これからは女優として「紅ゆずるって、こんな面もあったのね」というところも見せていきたいと思っているので、自分の見せ方(印象)をすこし変えていってもいいのかなと思っているところです。
メイクについては、宝塚歌劇団では全部、自分でお化粧をするので、タカラジェンヌは鏡と向き合っている時間がとても長いと思います。特に舞台化粧は絶対に全部自分でやりますし、衣装も衣装部さんがいらっしゃいますが、衣装合わせは必ず全部自分が納得する形にします。
舞台以外のお仕事でメイクさんが入ることがあっても、基本的にメイクも衣装も自分でプロデュースしてきたので、自分の見せ方はよくわかっていると思っています。欠点についても…。でも、それはやはり男役の時の見せ方ですね。
「宝塚の方はご自身で全部されてきているので緊張します」とおっしゃるメイクさんも少なくないしですし、「男役さんの前でスーツは着たくない」という男性もいらっしゃるので、「宝塚はやはり特殊な世界だな」と思いながら、でも「宝塚での経験は貴重だ」と思うので、そういう自分を楽しんでいますし、活かしていきたいと思っています。

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―『Jazzy~』は5月30日からの公演です。今のお気持ちは?
コメディについては、宝塚歌劇団の頃から、ずっと興味がありました。公演を見て頂いて「楽しかった」と言ってもらえることが本当に嬉しくて、お客様に笑ってもらうことがとても楽しくて、充実感に繋がっていました。
『熱海五郎一座』というのは、瞬発的な笑いではなく、練りに練ったアドリブ禁止の喜劇。芸術として一つの作品に仕上げて「どうだ!面白いだろ!」とお見せする舞台です。笑いの超プロフェッショナルの方々と一緒に舞台に立てるというのは、とても貴重な財産になると思うので、私も心してかかりたいと思っています。

―公演予定が一年間延期となっての上演ですが、この作品に改めて取り組むにあたっては?
ポスタービジュアルは、退団直後に撮影しているので、自分としては女性の役だと意識しているのですが、まだ全然女性らしくないですよね(笑)。

―例えば、どんなところが?
女優になってからは、こういうスタイル(男役らしいポーズ)は避けようと思っていましたが、「ラサールさんを踏んづける感じで」というリクエストをもらって、男役をやっていたからこそ、このポーズが出たと思います。
今、同じ撮影をしたら、また全然違うものに仕上がるだろうと思います…。
「女優をやるからには、男役をなんとか払拭しなければならない」という気持ちが、ずっとありました。「女優だからスカートをはいて…」などと考えていましたが、今は男役をやっていたことをプラスに考えて、「男役をやっていたからこその女優」というものを強みにしていかないと、今までがもったいないと思っています。
やはり「男役をやりきった」という思いがありますし、男役に対して、宝塚に対して、とてもリスペクトしているので、その経験を活かしていきたいと思います。ですから、『Jazzy~』でまた軍服を着られるというのは、とても嬉しいです。

―その軍服ですが、女性でありながら、海軍中佐役です。三宅さんから何かアドバイスなど、ありましたか?
なかなかお会いできる状況ではないので、三宅さんともまだ詳しいお話はできていないのですが、「この一年間をかけてまたギャグを入れた」「隙あればギャグを入れたので、稽古場ではそれをブラッシュアップしていく」とおっしゃっていたので、台本がどんどん生まれ変わっていると思います。
熱海五郎一座という東京喜劇の一員に入れて頂けたのは、すごく光栄なことだと思うので、どこまでも笑いに貪欲な座長に私もついていきたいと思っています。

―台本をご覧になって、面白かったですか?
ものすごく面白かったです!「台本を読んだだけでは面白さがわからなかったけれど、やってみたら面白かった、練っていったら面白くなった」というのはあります。でも台本だけでこんなに面白いと思えるのは、なかなか珍しいと思います。
ただ「めちゃくちゃ面白いけど、生かすも殺すも自分次第」なところもあると思います。面白くなかったら、また台本を変えていくと聞いているので、「笑いに貪欲だな」と思っています。

―役については、紅さんにあてがきされているとうかがっていますが、楽しみにしておられることは?
「紅ゆずるは退団して、どんな風に演じるのか?」と考えるのは、やはり紅ゆずるという俳優に詳しい宝塚ファンの方々の目線で、外から見ると、「宝塚歌劇団の元トップスター」「大きい羽を背負っていた人」という漠然としたイメージしかないだろうと思います。
この作品で初めて私の舞台を見てくださる方も大勢いらっしゃると思いますし、私が熱海五郎一座に加わるのも初めて、男性の方とお芝居するのもこの作品がまだ2作目ですね。
当て書きについては、私のことを詳しく知って書いてくださるというよりも、やはり「宝塚歌劇団のトップスターであった」「宝塚歌劇団の男役をやっていた」ことにフォーカスしての当て書きだと思います。
なので、稽古場でセッションを繰り返していく中で、自分の個性でお芝居していく中で色々と生まれてくるのではないかと思うので、そこを楽しみにしていただきたいと思います。

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―『Jazzy~』キャストの皆様とのリモート座談会で、「宝塚時代はお客様を笑わせることを四六時中考えていた」とおっしゃっていましたが、また今回も懸命に考えていかれますか?
もちろんです!! 自分のところだけ滑ってしまったら、申し訳なさ過ぎて、消えてなくなりたくなります(笑)。一つの演目として成立させるために、自分が足を引っ張るわけにいかないです。
これまでは、笑いに対して、それほどプレッシャーを感じたことがないんです。宝塚では美しく華やかな中に笑いの要素が入ることで、コメディ要素が際立って笑っていただけていた部分も大きかったと思います。そういう中で「(愛称の)さゆみさんだから、コメディ作品が来るんだよね」というような立ち位置で、自分でも「コメディ作品をすると、私は面白いけど、みんなは大丈夫かな・・・」というくらいの感じでした。(笑) でも、『Jazzy~』はそういうわけにいかない。
面白くて当然のプロフェッショナル集団の中にゲストとして出演するのですから、絶対に滑るわけにはいかない。お客様は「すごく面白いぞ」と思って観に来てくださるので、思っていた以上に面白くないと笑ってもらえない。映画でも「すごくよかったよ」と聞いて見に行ったら、とても良くないと納得できないものでしょう?だから、プレッシャーではあります。

―笑いだけでなく華やかさも求められるでしょうし、役割が多そうですね。
宝塚では立ち姿ひとつにしても、360度どこからみても美しいことを、常に気を付けていなければいけない。お客様に“見せる”という部分があります。これからは、そこで学んだものは基本として活かしつつ、さらに笑っていただかなきゃいけないですよね。

―では、最後に意気込みをお願いします。
熱海五郎一座のファンの方もたくさんいらっしゃると思います。この一座の作品に出演させて頂けることは、本当に光栄なことだと思っています。
この公演の後に「もう一回出演してほしい」と言って頂くことが、近い目標です。
三宅さんに「紅さん、面白い!」「変わっているね」と言われて「もう一度出てほしい」と言われる役者になることを目標に、熱海五郎一座の公演に挑もうと思っています。
そして、今はコロナの時代。エンターテインメントが当たり前じゃないんだということを誰もが身に染みてわかっている状態です。
そこで、この舞台を観に来る方も、笑いを求めて劇場に来てくださるわけですから「来てよかったわ」って言っていただける作品にしたい。自分自身にとっても、他の人にも「めちゃくちゃ面白かったでしょ!」と言える、お客様の人生を豊かにしてくれる爆笑コメディにしたいと思っています。

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熱海五郎一座・新橋演舞場シリーズ第7弾‼
東京喜劇
Jazzy(じゃじぃ)なさくらは裏切りのハーモニー
〜日米爆笑保障条約〜
【作】 吉高寿男
【出演・構成・演出】 三宅裕司
【出演】 渡辺正行 ラサール石井 小倉久寛 春風亭昇太
東貴博(交互出演) 深沢邦之(交互出演)
劇団スーパー・エキセントリック・シアター
【ゲスト】 紅ゆずる、横山由依(AKB48)
【会場】 新橋演舞場
【日程】 2021 年 5 月 30 日(日)〜6 月 27 日(日)全 37 公演
【チケット一般発売】 4月18日(日)10:00より電話予約・Web 販売開始
【チケット料金(税込)】 一等席: 11,500 円
二等席: 9,000 円
三階A席:6,000 円
三階B席:2,800 円
桟敷席: 12,500 円
【チケットに関するお問い合わせ】
チケットホン松竹 0570-000-489(10:00〜17:00)または、03-6745-0888

<取材協力>
◎紅ゆずる
ヘアメイク:hanjee(SINGO)
スタイリング:森本美砂子
衣装:ZADIG&VOLTAIRE

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