アメリカの小説家ナサニエル・ホーソーンの短編「ラパチーニの娘」を原作とした、韓国発のミュージカル『ラパチーニの園』が、2月20日に新国立劇場 小劇場にて初日を迎えた。開幕に先立ちゲネプロが公開され、取材会が行われた。舞台写真と共に取材会の様子をお伝えする。

石井一彰 宮澤佐江 北川拓実 林翔太 珠城りょう 別所哲也
本作は、2021年に韓国・忠武アートセンター小劇場ブルーで初演され、今年、公式公演が韓国で上演された人気作品。今回の上演では、翻訳を吉田衣里、上演台本・訳詞・演出をタカハ劇団の高羽彩が、音楽監督を深澤恵梨香が担当する。主人公の青年ジョヴァンニ役を林翔太と北川拓実林がWキャストで務め、宮澤佐江、 珠城りょう、石井一彰、別所哲也が出演する。
【ゲネプロ】物語の舞台は18世紀のイタリア・パドゥア。

画家を志してパドゥアにやってきた青年ジョヴァンニ(ゲネプロでは林翔太)は、不思議な庭園にたたずむ娘を見かける。

娘はベアトリーチェ(宮澤佐江)。科学者の父ラパチーニ(別所哲也)が、愛する娘ベアトリーチェを外界の悪から守るため、庭園で孤独に育てているのだった。

2人は惹かれ合うのだが、ベアトリーチェには秘密があった…

乳母兼家政婦のリザベタ(珠城りょう)はラパチーニを支えていた

正義感の強い医師バリオーニ(石井一彰)はラパチーニの研究に疑念を抱いていた。
公演が始まりラパチーニの庭園に物語の舞台が移ると、一挙に劇場がミスティアスな空間に変貌。観客も『ラパチーニの園』の妖しくも美しい世界観に包まれる。
その遠いファンタージような世界に生きる人たちかと思えた登場人物たちは、意外にもリアルな生き様を見せる。一人ひとりの考えと思いが、豊かな音楽と共に丁寧に描かれ、時代を超えて迫ってくる。観客は物語から目が離せなくなる。

ベアトリーチェの秘密とは? そしてふたりの恋の行方は?

物語の進展を追うと同時に、いくつもの役を演じて登場してくる俳優たちにも注目してほしい。

【取材会】

石井:このカンパニーは(1公演に登場する俳優は)5人しかいないので、お互い支え合い、助け合い、一丸となって本番に挑みたいと思います。
珠城:お稽古期間は本当にキャストだけではなくて、スタッフさんも演出家の高羽さん含め一丸となってみんなで作ってきた感覚がすごく大きな作品だと思っています。お客様が実際に入られて、どんな雰囲気になるのかも楽しみなところではあるんですけれども、引き続き皆さんと心を1つにして頑張っていきたいと思います。私個人としてはミュージカルに出演するのが2024年ぶりなので、楽しみながら舞台に立てたらと思っております。
宮澤:今日の初日に向けて、カンパニー一同みんなで走り続けて走り抜いてきたなという実感がしております。私自身は「もう初日」というちょっとふわふわした気持ちではあるんですけれども、ほんとこの作品に必要な緊張感や緊迫感が、ちょっとふわふわっとした不安な自分の本当の気持ちとうまく感情が相まって、このステージ上にいつも立てていると実感しています。お芝居する中でも、セリフも一語一句がいつも自然体に聞こえていて、いい時間だなと、日々この練習を重ねて思っていましたので、今日の初日に向けて、完成されたこの『ラパチーニの園』を、千秋楽に向けてもっともっと完熟させていけたらいいなと思っております。

別所:初日迎えるのも、もう楽しみでしょうがないです。ワクワクしております。お客様がどんなふうに受け止めてくれるのかなと思って。小さな編成ですけど、この中で生まれるこの新しいミュージカルの物語を皆さんに楽しんでいただけるように今日から届けてまいりたいと思いますし、韓国にもこの評判が届くように、私たちも毎日毎日、公演を重ねていきたいなと。私1人毒々しく演じたいなと思っています。
北川:今日は(ゲネプロには)出てなかったんですけど、ちゃんとカメラに映しといてください。(笑)意気込みとしましては、稽古があっという間の感じで、すごい方たちの中でやるっていうのもそうだし、ダブルキャストが林翔太くんという大先輩で、僕の中ですごいプレッシャーで、立ち稽古始まって1ヶ月後の自分ってどうなっているのだろうと不安に思ったりもしたんですけど、今日ここまで来られて安心しているし、早く皆さんに届けたいという気持ちでいっぱいですね。
あと、僕個人としては、グループ活動を終了してから初めてのお客さんの前に立つステージということで、この作品は大きな挑戦にもなっているので、ジョヴァンニとして、この作品の中で生きて、届けられるように駆け抜けたいと思います。

林:僕は(遅れて稽古に参加して)稽古期間がだいぶ短かったので不安だったんですよ。稽古の動画を見て1人で頑張ったんですけど、最初に見た時からもう拓実は「明日初日でよくないか」ぐらいの完成度だったから焦っていたんです。(座組の)空気も出来上がってる中に入ったんですけど、皆があったかく迎え入れてくれたんで、僕も安心して皆さんの胸を借りながら稽古できて、ようやく今日初日を迎えて、皆さんにこの作品を届けられるっていうことで、ほっとすると同時に、ここから千秋楽まで走り抜けていかなきゃなというのがあります。すごい実力を持った共演者の方々と一緒にステージに立てるのが嬉しいので、この時間を噛み締めながら最後まで頑張りたいと思います。
稽古中のエピソードとして、珠城が別所について「ラパチーニ役以外を演じる際に特殊な役作りでセリフを言われる日があって。その日は全員の芝居が崩壊しました」と、思い出し笑いをしながら話すと、宮澤が「初めてか2回目に拓実くんにお会いした時に一緒に歌稽古をしたんですけど、終わって先に拓実くんが帰られたんですが、拓実くんのバックだけが稽古の現場においてあって」と明かした。北川は「たぶん緊張していたから。サブバックだけ持って、(貴重品とか全部入った)メインバックだけ置いて帰った(笑)」と告白。するとさらに宮澤が「カンパニーのみんなが集まった時にお話したら、石井さんが『バッグは持たない方がいいんだよ』と言って。一(かず)さんは楽譜も台本も全部、素手で持ってこの現場にも来ています」と、驚きの表情で伝え、笑いがあふれた。
Wキャストで主人公を演じる林と北川。
北川は「翔太くんが別の作品で稽古に合流するまでは僕がずっと稽古をしていて、翔太くんが立ち稽古に参加した初日かな、翔太くんのお芝居が素晴らしくて『もう僕じゃ無理だ』となるぐらい上手すぎて、こんな素晴らしい方々の中でやるというのもプレッシャーだったから、その日は泣きそうになっちゃって、稽古場の着替え室みたいなところで1人でわーとなっていたんです。そしたら、石井さんが来て察したのか、わからないですけど、(肩のあたりを)ポンと、黙って頷いて。すごく気遣ってくれて、そこで救われた。頑張ろうとなった」「今日の(林の)ゲネを見させてもらったんですけど、僕も早くジョヴァンニになりたいという気持ちでいっぱいで、この稽古期間の中ですごい成長できたなと思います」とこれまでの葛藤と、そこで得た自信を語った。
最後に林は「ダブルキャストで前(客席)から見る機会があるんですけど、すごくいい作品だと心から思うので、早く皆さんに届けたいですし、もっともっとたくさんの方にも見てもらいたいという気持ちがもうすでにあるので、まずは今回のこのチームのみんなで成功させて、またその先に進めるような、そんないい公演にできたらいいなと思います」と意気込みを語って会見を終えた。



ミュージカル『ラパチーニの園』
<東京公演>2026年2月20日(金)~3月1日(日)新国立劇場 小劇場
【原作】ナサニエル・ホーソーン作 小説「ラパチーニの娘」
【翻訳】吉田衣里
【上演台本・訳詞・演出】高羽 彩(タカハ劇団)
【音楽監督】深澤恵梨香
【配役・出演】ジョヴァンニ:林 翔太/北川拓実 (Wキャスト)
ベアトリーチェ:宮澤佐江
リザベタ:珠城りょう
バリオーニ:石井一彰
ラパチーニ:別所哲也
【公式HP】https://rappaccini.jp/
















