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ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』インタビュー 柿澤勇人×ウエンツ瑛士 柿澤勇人「難しいし、勇気が要る役を作っていく」 ウエンツ瑛士「生で観るという魅力をたっぷり伝えられる作品に」

1983年にロンドン・ウエストエンドで初演され、ローレンス・オリヴィエ賞作品賞を受賞。甘美で躍動的な音楽が描くスリリングな作品で、日本でも1991年以来、繰り返し上演されてきた名作ミュージカル「ブラッド・ブラザーズ」が、3月21日(月祝)から東京国際フォーラムCにて開幕する。(東京公演は4月3日(日)まで。その後、愛知・久留米・大阪にて上演)

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主人公となるのは、二卵性双生児として生まれた二人の男の子。
一人は裕福な家庭に引き取られ、もう一人は実の母親と貧しさの中で暮らしていた。
正反対の環境で育った二人はお互いが双子であることを知らないまま出会い、友情を育んでゆく。そして、数奇な運命に翻弄されていく。

今回は、貧しく育つミッキー役を演じる柿澤勇人と、裕福な家庭に育つエドワードを演じるウエンツ瑛士がインタビューに登場。
本作の魅力と、ミッキーとエドワードの見どころポイントを教えて頂きました。

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―おふたりは親しいのですか?
柿澤:僕はそのつもりです!(二人で顔を見合わせてニッコリ)

―双子を演じることについては、いかがですか?

柿澤:僕はすごく嬉しかったです。お互いに俳優として頑張っている同志なので。ウエンツくんが僕の出演する『海辺のカフカ』をパリまで観に来てくれたこともありました。今回は二卵性の双子役ですが、それよりも大切なのは絆という部分。一緒にやれることに幸せを感じています。

―絆が大切とのことですが、演技には舞台の外での関係も役には影響してくるのでしょうか?

柿澤:関係してくると思います。舞台は稽古や公演で3か月位は一緒に、苦労も楽しさも共に過ごすので。

ウエンツ:このコロナ禍の中で、舞台の外で関係性を気づくのはなかなか大変です。稽古終わりにご飯に行こうとか前は普通にしていたことが今は難しいので。
でも、舞台の外で関係性が濃くできない分、舞台の上での関係が濃くできるかもしれない。今だと、稽古場でもずっとマスクをして、稽古の合間もあまり話できない。言葉をたくさん交わした方が良いのだけれど、本番のステージでやっとマスクを取れるという状況で、それができない分、感じ取ることが重要になって、より集中力が必要とされる。そしてそれが今回だけでなく、後々にもつながって花開くことになるといいなと思っています。

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―ウエンツさんは双子を演じることについては、どう考えていらっしゃいますか?

ウエンツ:面白いなぁと思います。双子を演じることはなかなか無いことですし、同じお腹から生まれたからといって、他の人の気持ちは、そんな簡単にわかることではないと思うので、まずは稽古場で演出の吉田鋼太郎さんから柿澤くんが何かを言われたら、自分も同じことを言われたと思って聞いてみようと思っています。自分の片割れがそこに居るのを見る時間がすごく大切になるのかな。そして、それは今までのお芝居にはなかったことだと思っています。

―柿澤さんは初めてこの作品を観たときに、チケットを6回も買い足したほどはまったそうですね。その魅力を教えてください。

柿澤:運命に揺さぶられる二人のお話ですが、一幕は笑いもあるんです。最初に7~8歳の子供が出てきますが、子役ではなく大人の俳優が子供役を演じて、ケガをするんじゃないかと思うくらい激しく動きまわります。その姿も美しくて、かわいくて面白くて。引き付けられました。

―では、今回は柿澤さんも子供役も演じるのですか? 他では見られない姿ですね?

柿澤:そうですね、大人が子供を演じるのは、なかなか無いことで、僕も初めてのことです。難しいし勇気の要ることで、不安はあるのですが、みなさんと稽古場で作って行くことになります。
二幕は一転して、切ないドラマが描かれます。最初から最後まで辛いという作品ではなく、明るさもあるミュージカルです。

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―楽しいところあり、ぐっとくるところもあり…なんですね?ウエンツさんは子供を演じることについては、どうとらえておられますか?

ウエンツ:どうやっても7歳には見えないと思うんですよ。(笑) 目指すゴールが本当の7歳なのか、演劇としての7歳なのか?吉田鋼太郎さんや僕らの中で、どこがゴールになっていくのか? そして、それができるのか?そこが僕も楽しみですし、観に来てくださる方にも楽しみにして頂きたいです。
でも、“7歳ぽい”というのは、やめようかなぁ…。「子供ってこういうんだよね」というのは目指さないようにと思っています。
う~ん、今回はやりながら自分がどう見えるのかを確認しながらやるかもしれませんね。今まで、そういうことはしたことがなかったんですけど。

―えっ?お稽古では、その様子を動画で撮影して、後からチェックするものかと思っていました…。ウエンツさんはされないのですか?

ウエンツ:見たことないですね。
柿澤:踊りがあるときは見るかもね。
ウエンツ:どういう時に見るの?心が元気なとき?体が元気?
柿澤:どっちも元気な時なら見られる。夜なら台本を見る。
ウエンツ:見ちゃったら、元気が無くなる可能性もあるよね。
柿澤:そうそう。余白も必要だからね。
ウエンツ:じゃぁ、見ないね!
柿澤:そう、あんまり見ないね。(笑) でも踊りがあって、演劇的にも姿勢とかをチェックする必要がある時は見ますね。

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―柿澤さんは以前からミッキー役をやりたいと思われていたそうですが、エドワードではなく?

柿澤:単純に、エドワードのような裕福な家に憧れもなかったし、僕はミッキーのお母さん、ミセス・ジョンストンがつくるような家が好きなのと、やはり見ていると、ミッキーは可哀そうで、キャラクターとして愛してしまったのかな…。それで「いつか、やりたい役だな」と思っていました。非日常的な役だから、舞台の上でならできるということもあります。

―では、キャスティングが決まって「やった!」という感じですか?

柿澤:そうです。でも、間近になってからは「なぜやりたいって言っちゃったんだろう」と不安にもなります。「やりたい、やりたい!」と言っていても、いざ目の前にすると怖いですね。

―柿澤さんのように実力もキャリアもある方も「怖い」という気持ちを持ちながら挑まれるんですね。

柿澤:みんな、そうだと思いますよ。

―ウエンツさんも?

ウエンツ:話を聞いてるだけで怖いよ!ミッキーをやらなくてよかったなって。あらすじから想像できるわかりやすいミッキーという役を演じてしまう怖さもあるし。
で、エドワード役はどうなのかというと、センセーショナルな言葉で表されるものがない役だから、そのキャラクターをどう表現するのか?
役として考えると、ミッキーを引き立たせるためのエドワードの演じ方もきっとあると思うし、作品として考えた時には、どう演じるのが良いのか?
演じる役にわかりやすい難しさがなければ大丈夫なのかといえば、そうでない怖さはいくらでもあるし、埋もれてしまう怖さもある。全体としては、この役は埋もれた方がいいという瞬間もあると思うけれど、作品としてお届けすることを考えた時に、エドワードについては、血がつながっていない親に育てられたという部分が、きっとあると思うんです。それは観ている方が誰も気付かなくても、エドワード自身も気付いていなくても、何かしらきっとあって…。
まだよくわかっていないこの“何かしら”を探す旅に、僕は出なきゃいけないんだなと思います。
柿澤くんが「怖い」というのを聞いて、僕も「余裕だよ」とは行きたくない。僕も「怖い」と感じる旅に出ようと思います。

―お客様もそんな深さを感じようとご覧になるでしょうね。

ウエンツ:そうなると一番嬉しいです、

ーおふたりが演技で注目してほしいポイントは?

柿澤:僕は7~8歳の役を全力でやります。やんちゃで元気いっぱいで興味があることに向かっていく7~8歳児なので、「今のこの世の中で自分が抱えるフラストレーションを、全部そこに集約させるぞ!」ぐらいの気持ちで、でもケガをしない程度に暴れまわりたいと思っています。その姿を見てくだされば嬉しいです。

ウエンツ:エドワードは、心の中ではいろいろ揺れ動いている瞬間があるキャラクターなので、そこをしっかりお客様にわかっていただきたいと思っています。演劇だと、心の中が動いているだけではすまされない。どんな感情でも、それを外に出していくことが必要になると思います。
ミッキーには感情の動きがわかりやすいところがあるけれど、エドワードはわかりやすい動きや台詞がない…。ないけれど、最前列だけでなく、最後列まで感情の流れやエネルギーを届けられるか…。そこが自分のポイントであり、課題だと思います。舞台上で成立しているだけじゃなく、しっかりと届けられるものを出すこと。そこが見どころになるように頑張ります。

―最後に、まだ観劇を迷っている方に、メッセージをお願いします。
柿澤:僕もそうですが、最近はいろいろ思うところあると思います。この作品は日常を忘れさせることができるし、忘れていたことを思い出してもらえる時間になると思います。劇場でお待ちしています。

ウエンツ:劇場に入った瞬間から、演劇が始まっている。そんな非日常の空間をしっかり作っていきます。そこに入り込むだけで、すべての日常を忘れられる、そんなお芝居にしたいと思っています。生で観るという魅力をたっぷり伝えられる作品にします。劇場に足を運んで頂けたら嬉しいです。

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ミュージカル『ブラッド・ブラザーズ』
<キャスト>
ミッキー:柿澤勇人
エドワード:ウエンツ瑛士
リンダ:木南晴夏
ミスター・ライオンズ:鈴木壮麻
サミー:内田朝陽
ナレーター:伊礼彼方
ミセス・ライオンズ:一路真輝
ミセス・ジョンストン:堀内敬子

家塚敦子、 岡田 誠、 河合篤子、 俵 和也、 安福 毅

<スタッフ>
脚本・作詞・作曲:ウィリー・ラッセル
演出:吉田鋼太郎
翻訳・訳詞:伊藤美代子
音楽監督:前嶋康明
美術:中越 司
照明:原田 保
音響:角張正雄、 高橋秀雄
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:宮内宏明
振付:木下菜津子
歌唱指導:長谷川 開
演出助手:井上尊晶、 本藤起久子
舞台監督:北條 孝、 本田和男

<東京公演>
期間:2022年3月21日(月祝)~4月3日(日)
会場:東京国際フォーラム ホールC

<愛知公演>
期間:2022年4月9日(土)・10日(日)
会場:刈谷市総合文化センター アイリス大ホール

<久留米公演>
期間:2022年4月15日(金)~17日(日)
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール

<大阪公演>
期間:2022年4月21日(木)~24日(日)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

公式HP= https://horipro-stage.jp/stage/bb2022/
公式Twitter= https://twitter.com/bloodbrothersjp  #ミュージカルBB

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