韓国ミュージカル俳優のコ・ヨンビンが、11月3日、東京・内幸町ホールにて日本で自身初となる「トーク&ライブ」を開催した。
「光化門恋歌」「プリシラ」「風の国」「ラカジ」など、数々のミュージカルに出演し、韓国ミュージカルを牽引するトップ俳優のコ・ヨンビン。劇団四季の在籍経験をもち、韓国のみならず日本でも多くのファンから愛されている。繊細かつ人間味あふれた演技と、卓越したダンス、さらにその優しい歌声で観客の心をつかんで離さない。
そんな彼の来日を待ちわびたファンで埋め尽くされた会場に、日本でも大ヒットとなった『冬のソナタ』の「My Memory」を歌いながら登場。温かい拍手と歓声で迎えられるも、観客はすぐにその歌声を一心に聞き入っていた。まるでヨンビンの甘い声に包み込まれるかのように。
「みなさん、アニョハセヨ。コ・ヨンビンです。初のトーク＆ライブをご覧くださってありがとうございます。今日は頑張って日本語で話していこうと思っています」と、やや緊張した面持ちながらも、爽やかな笑顔で挨拶。
MCの立花裕人から、「ヨンビンさん、何年生まれでしたっけ？」と聞かれると、「1973年生まれの24歳です（笑）」と答え、会場の笑いを誘い和やかな雰囲気のまま彼の歴史をひも解くトークがスタートした。
幼少の頃は、母は仕事のため日本で生活し祖母と二人暮らし。テレビで歌手の歌を聞き、バスルームで一人歌って楽しんでいたというヨンビン。「バスルームで歌うと（エコーが効いて）上手に聞こえるでしょ？」と屈託ない笑顔をみせる。大学生になるまで、ミュージカルの存在さえ知らなかったヨンビン少年は、中・高校生までタレントになりたかったらしい。「ソバンチャ（消防車）というアイドルグループが好きでした。そして日本のWinkも！」と。
演技のレッスンを受けてテレビ出演もしたが、「主役じゃないから、やりたくなかった」と、本音をポロリ。大学は電気エンジニア科という演劇関係とは無縁の専攻に進むものの、演劇クラブで演技を始めると才能が開花。全国の大学生演技大会で学校が優勝した事をきっかけに大学を止めて演劇を目指すことに。
まずは、韓国の大学路でポスターを見てオーディションを受ける。「それがミュージカルのものとは知らず、K-POPの歌とダンスで受けてしまいましたが、なんとか合格しました(笑)。しかし、ミュージカルの基礎ができていないのでレッスンがとても辛かったです」と振り返った。その後、方向転換しアイドルグループでのデビューチャンスがあったが、直前で潰れるという悲運も。一度は大学に戻ったがやはり自分の道は“ミュージカル”だと意を決し、ソウル市ミュージカル団に所属することとなった。
さらにもっと自分の可能性を見出したいと日本へ渡り、劇団四季で活躍の場を移したヨンビン。2003年3月に劇団四季に直接出向いて申込み、オーディションに合格して2003年に11月に入団。「午前中はダンスレッスン、午後は日本語の勉強。宿題も多くて大変でしたが、それを3ヵ月続けました」と慣れない日本での苦労を明かし、「日本語も勉強できたし、いい先生から指導を受けることもできました。韓国では上演されない作品に出ることができ、本当に楽しかったです」と懐かしんだ。
そこで、劇団四季時代の同僚が会場に駆けつけているとサプライズで明かされ、感激の再開を果たす場面も。
その後、韓国にもどり『冬のソナタ』のチュンサン役を務め、次々と話題の作品に出演。実力派人気俳優として今に至っているのである。イベント後半では、自身の出演作の思い出を語った。一人で1時間30分も芝居をした『ジョージ・M・コーハン』や、『壁抜け男』『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』『風の国』など、それぞれのエピソードは尽きない。
日本で公演された『光化門恋歌』では、「日本は落ち着くんです。日本の方は礼儀もあって、日本の食事や街の雰囲気が自分と合っているんですね。韓国でその場が盛り上がっていくと、僕は引いてスーっと下がっちゃうんです(笑)」と、優しい笑顔を浮かべた。
本当に穏やかなヨンビンだが、舞台の上ではどんな人間にも変身する。『プリシラ』の難しい役も完ぺきにこなし、女性以上に女性らしいと絶賛されるほど。12月9日より上演される『ラ・カージュ・オ・フォール（ラカジ）』も大いに期待できそうだ。
ライブでは、この日のために来日した韓国を代表する音楽監督ビョン・ヒスク氏のピアノ演奏で、『壁抜け男』より「脱出したデュティユル」、『ジョージ・M・コーハン』より「Life’s a Funny Proposition After All」、『ストーリー オブ マイ ライフ』より「Butterfly」を披露し、ミュージカルの世界へいざなう。『ラ・カージュ・オ・フォール（ラカジ）』の「Song on the Sand」を歌い上げれば、『ジョージ・M・コーハン』の「Goodbye Broadway」では観客も手拍子をうって会場が一つに。
最後に「これからも韓国でミュージカルを続けていきたいし、機会があれば日本でも活動したいと思っています。これからも応援よろしくお願いします」と意気込みを語り、今後の活躍にも期待を持たせた。アンコールでは、『オズの魔法使い』から「Over the Rainbow」をしっとりと聞かせファンを魅了。いつまでも彼の歌に酔っていたい･･･そんな余韻を残したままイベントの幕は閉じた。
昼・夜2回の公演も大盛況に終り、公演の後は握手会を開催。来場者一人一人の目を見つめて感謝の気持ちを伝えていた。
ゼニスメディアコンテンツジャパン主催「ZENITH Live」情報
11月9日（日）：「ハン・チサン トーク＆ライブ in Tokyo」
11月16日（日）：「パク・ホサン トーク＆ライブ in Tokyo」
2015年1月18日（日）：「ユン・ヒョンリョル トーク＆ライブ in Tokyo」
詳細はこちら→ http://zenith-japan.com/product/
