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1月7日(水)初日 蜷川幸雄 演出 市川猿之助、宮沢りえ 出演『元禄港歌―千年の恋の森―』 フォトコール

1月6日、シアターコクーン・オンレパートリー2016『元禄港歌―千年の恋の森―』のフォトコールが行われた。

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『元禄港歌―千年の恋の森―』は1980年に生まれ、上演を重ねてきた傑作舞台。
今回は芸術監督・蜷川幸雄の演出のもと、出演は市川猿之助、宮沢りえ、高橋一生、鈴木杏、市川猿弥、段田安則という豪華キャストで上演される。
音楽・猪俣公章、劇中歌・美空ひばり、衣装と人形製作・辻村寿三郎も大きな見どころとなっている。

【物語】
町から町へと流れ三味線弾きを生業とする瞽女たちが、廻船問屋の大店・筑前屋の座敷で「葛の葉子別れ」を三味線で弾き語る。
千年の昔から森の奥に棲む女が、白狐となって恋しい男に逢いにくる。だが生まれたばかりの子を残して森へ帰るしかない…悲しい物語を涙ながらに語る糸栄(市川猿之助)。

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越前屋 平兵衛(市川猿弥)と糸栄(市川猿之助)

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中央 放蕩息子の越前屋の次男 万次郎(高橋一生)

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自分の出生に疑問を抱いていた筑前屋の長男、信助(段田安則)は「もしや糸栄は子を産んだことがあるのではないか」と、糸栄の娘として育てられた初音(宮沢りえ)を問いただす。

【開幕前 コメント】

蜷川幸雄(演出)
もし、ぼくに演出というものがあるなら、祖母や母や妻たちへの痛恨をこめた鎮魂歌を、誠実につたえることだと思っている。父=男の目でしかとらえられてこなかった世界を、父+母、男+女としてとらえなおしていく、政党なる要求だ。
そこに、美空ひばりさんの歌声が必要だと思った。
市川猿之助さんが、ひばりさんの歌で『元禄港歌』をやりたいと言ってくれた。猿之助さんの糸栄なら見てみたい。久々にあらたな気持ちでこの作品をやってみたいと思った。宮沢りえさん、段田安則さんといった優れた俳優たちとの仕事も、ぼくにとって大きな喜びだ。きっと彼らならひばりさんの歌声に拮抗してくれるだろう。

市川猿之助(糸栄)
糸栄という役は、白い狐が化けたような、どこか非現実的な幻想的な存在です。だから女形なのだと、女形という特異性が役の特異性に呼応しているように感じています。
とても若々しい(笑)段田さんにも助けて頂いていますし、宮沢りえさんとは初共演と思えないくらい打ち解けて、とても良い座組になっています。
コクーンのお客様は初めてなので、反応がとっても楽しみですね。初春、お芝居を楽しんで頂ければ、と思います。

宮沢りえ(初音)
伝統を重んじて芝居をされてきた猿之助さんとの共演はたくさんの収穫がありました。いただいた種に水をまき、自分なりの花を咲かせていきたいと思います。
初音の、「罪深う生まれてきたとも知らいで、あなたと逢うてしもうた」という台詞がとても好きです。生まれながらの罪をしっかり受け止めて、それでも愛することを止まない女。自分の存在を蔑すみ、原罪を受け止め、でも溢れ出る想いに揺れる。その姿にものすごく色気を感じますね。今回は“惜しまない表現”を目指します!

高橋一生(万次郎)
猿之助さんを間近に見る機会に恵まれたことで、今回は身体(型)から役に入るという方法を改めて試すことが出来ました。役との距離感があるリアリティに結びつき、それで色々なものが発見できる…。とても新鮮な稽古でした。この作品はいつも以上に、観客の存在を感じる舞台、お客様と作っていくような舞台になるように感じています。初日以降も役作りを掘り下げていくことで最終的にどのような万次郎になっていくのか…。自分でも楽しみです。

鈴木 杏(歌春)
時代も設定も異なりますが、この役はどこかジュリエット(シェイクスピア「ロミオとジュリエット」)を想い出します。
幻想的でとても美しい舞台。なかなか上演されない作品だと思いますので、お客様に堪能していただけたら、、、その為にも、若々しく、愛らしくをキーワードに、初日以降も更に役を深めていきたいです。

段田安則(信助)
今回は実年齢より若い役です。(宮沢)りえさんの相手として、おじさんにみえてないかな?猿之助さんと、ちゃんと母子にみえるかな?と心配です。自分としては違和感なくやっているのですが(笑)。母娘の物語と男女の物語。二つの軸をもつ戯曲で、これが同時に進行し交錯していきます。演じる信助も、未だ見ぬ母を慕う息子の顔と、情熱的に恋をする男の顔、両面を持つ役。切り替えが難しく、また面白いところです。秋元松代さんの台詞は、どこかギリシャ悲劇のようにダイナミックな心の動きが描かれていると感じています。
猿之助さんを始め、歌舞伎の俳優さんたちと一緒にお芝居ができるのもとても楽しいです。こういう作品がよくかかっている劇場ではなく、コクーンのお客様にどのように受け入れられるのか、それも楽しみですね。

公演は
2016年1月7日(木)~1月31日(日)Bunkamuraシアターコクーン
2016年2月6日(土)~2月14日(日)シアターBRAVA! にて