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映画『少年班』「第28回東京国際映画祭World Focus部門作品」Q&A

今や中国を代表する名優 スン・ホンレイ(孫紅雷)が主演する『少年班』(中国公開2015年6月19日)が、「第28回東京国際映画祭World Focus部門作品」で上演され、10月27日にはシャオ・ヤン(肖洋)監督と共に音楽を担当した水谷広実が Q&Aに登場した。

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映画の時代は1988年。
周知庸(孫紅雷)が知能指数の高い15歳の少年少女を集めて「少年班」という実験的クラスを作る。個性あふれる15歳が、大学生となった顛末は・・・。

登場したシャオ監督は、自らが1994年に少年班に合格。その体験を基に作られたのが本作だ。

また音楽を担当した水谷は、完全版をこの日、初めて見た。
「これまで作ってきた僕の曲のサンプルなどを関係者の方が聞いて下さって、是非お願いしたいとオファーを頂きました」と本作との縁を説明すると、シャオ監督からは「実は僕は水谷さんについては知らなかったのですが、僕のスタッフに推薦されたのです。その水谷さんの曲の中で「SUMMER HOLIDAY」というような題名の曲を聴いて、軽やかで爽やかで、学校が終わっての同級生との帰り道という感じの、ちょっと憂いもあるけど生命力のあふれた雰囲気がまさに青春をイメージさせて、僕の思い描く映画とぴったりだと思ってお願いしました。水谷さんがお時間を作って参加してくれて、とても光栄です。完璧に素晴らしい曲を頂いて、とても感謝しています」と改めて水谷にペコリと頭を下げた。

映画本編については、シャオ監督に観客から活発な質問が寄せられた。
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―八掛や占いをしていた王大法にはモデルがいますか?
シャオ「王大法は僕の少年班時代の本当の同級生から作りあげた人物です。あだ名が王大法(ワンターファー)だったのです。退学するという結末も同じです。学校が薦めた専攻ではなく哲学をやりたいと学校をやめました。その後、農村に帰り羊を飼っていたと聞きましたが、以後の消息は分かりません。この映画が公開になったとき、彼の消息が分かるといいなと思っていましたが、現れませんでした。彼は学生時代には数学が特に良くできて、八掛や易経の本を読んでいました。コンピューターとの共通点を研究をしていたこともありました」

―現在、中国に少年班はありますか?
シャオ「少年班はまだあります。かつては20余りの大学にありましたが、現在では2つだけです。1つは私の母校、西安交通大学。もう1つは中国科技大学です」

―スン・ホンレイ演じる周知庸という名は、「凡庸であることを周囲が知っている」という名前かと思いますが、他の人物にもそんな遊びがありますか?
シャオ「はい。良く感じ取って下さいましたね。僕自身は呉未です。見た目は方厚政の方ですけど(笑)。周知庸は自分のレベルを知っていますが、それに納得していません。だから強い意志で少年班を作ろうとするわけです。呉未にも意味があります、同じ音で「無畏ー怖れるものなし」という意味もあります。最初は臆病ですが、最後には勇敢になります。王大法は本当のあだ名ですし、方厚政は親友の名前で、周蘭は僕が好きな人の名前です」

「少年班出身にはテレビなどマスコミで活躍する人が多い。自分は少年班では成績が悪かった」と話してくれたシャオ監督。当時を振り返って「良い同級生と、彼らと過ごした楽しい時間を思い出します。先生たちもとても良くしてくれました。でも少年班にいたということで奇異な目で見られたり、孤独を感じることももちろん、ありました」「少年班が良いか悪いかは、長い目で科学的な判断がされるべきだと思います。でも少年班にいた人間として言えるのは、少年班にいたことを後悔はしていません。他の人とは少し違った少年時代だったかもしれませんが、とても素敵な体験でした」と締めくくった。