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水田監督、阿部サダヲら3人のキャスティングの決め手は“声”!「三人の声は名器!」 映画『アイ・アム まきもと』完成報告会

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映画『アイ・アム まきもと』の完成報告会が、8月4日、東京国際フォーラムにて行われ、主演の阿部サダヲをはじめ、共演の宇崎竜童、松下洸平と、水田伸生監督が登壇した。

本作は、小さな市役所で働いている、ちょっと迷惑な男が“まき”起こす奇跡をユーモラスに描く迷惑系ヒューマンストーリー。市役所の“おみおくり係(=お一人で亡くなった方を埋葬する)”牧本壮役を阿部サダヲ、謎に包まれた人生を送り、まきもとの近所で身寄りなく亡くなってしまった男・蕪木孝一郎を宇崎竜童、ルールを守らないまきもとの自分勝手な迷惑に翻弄され、まきもとに毎度説教を浴びせる刑事・神代亨を松下洸平が演じ、『謝罪の王様』や『舞妓Haaaan!!!』で知られる水田伸生監督がメガホンを握った。

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出演オファーを受けて、阿部は「水田監督の映画は4本目ですが、今作でまたお声がけいただいて感謝の気持ちでいっぱいでした。このようなハートフルコメディはあまりやったことはなかったので嬉しかったです。監督の言うことは間違っていないと思っているので、今回も言う通りにやるだけでした」と言って会場の笑いを誘いつつ、監督への絶対的な信頼感を明かした。

宇崎は「自分の役について詳細は言えないのですが」と前置きしながらも、「このような出演の仕方もあるのかと光栄に思いました。内容も知らずに出演を決めたのですが、台本を読んでみると面白いお話だなと思いましたし、孤独死が世界中で問題になっているのでとてもタイムリーなテーマだなと思いました」とコメント。

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水田組初参加となった、松下は「監督と初めてお会いしたのは自分が出演していた舞台の楽屋でした。監督から声をかけていただいてお話したのをよく覚えています。何度か観に来ていただいて、いつか監督の作品に出演したい!と、思っていたところ、こうして声をかけていただいて凄く嬉しかったです。周りのスタッフさんにも(監督の作品に出演したいと)言っていたので、言っておくもんだな・・・と(笑)。願いが叶いました」と念願の出演に、喜びもひとしお。

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そんな三人のキャスティングについて監督は「お三方の共通点はなんだと思いますか?」と逆に問いかける。「宇崎さんはもちろんですが、阿部さんも洸平くんも歌を歌う、俳優であると同時にシンガーでもあります。演技というものは表情もそうですが、身体の動きであったり、身体から生み出すことで表現するもの。その音の部分である声において、このお三方は名器と言えるんです。僕はいつも声質のマッチングを意識しているんです。宇崎さんは子供の頃からのファンですし、阿部さんは何本もタッグするほど愛する俳優のトップ、そして楽屋で声をかけるくらい好きな洸平くん、俳優として尊敬するお三方ですが、そのなかには音の部分も(キャスティングする理由に)入っているんです。」とこだわりを吐露。

監督の言葉に「初めて聞きました」と驚きつつも納得顔の阿部。共演した宇崎について「僕が演じた牧本は宇崎さん演じる蕪木さんのことをすごく想って考えている役なのですが、今日初めてお会いして、不思議な気持ちです。生きていたんだ!と思いました。動いている宇崎さんを生で初めて見ました(笑)」と語り、会場を沸かす場面も。

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松下は今作で初共演となった阿部との共演に、「テレビも映画も舞台もずっと拝見していたので、本物だ!と思いました!」と興奮気味に話し、「ずっと画面越しや、客席で見ていた人がこの距離にいると、牧本さんなのですが、阿部さんなんです。僕が知っている阿部さんで、でも牧本なので…。僕は牧本さんに心を鬼にして怒鳴らせていただきました」と現場での葛藤を回顧。

阿部はそのエピソードに「素敵でした。叱ってくれる人はなかなかいなかったので…。」とまたまた冗談を交えて恐縮する。

そんな松下と阿部のテンポの良い掛け合いも見どころの本作。阿部は「松下さんは舞台のように動き回れていて、素敵でした。怒り方も軽やかでしたし」と松下を称える。監督は「お二人とも演劇というフィールドで修行を積んでこられた方なので、テイクを重ねることよりも、ひとつひとつの瞬間が、ものすごく変わっても良いくらいに新鮮にやってくださって、とても尊かったと思います」と二人の相性の良さにも満足気。

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個性的なキャラクターを演じるにあたり阿部は「牧本はなによりもまっすぐなキャラクターなので、ぶれないことを意識しました」ときっぱり。そんな牧本を松下は「ついつい手を差し伸べてしまう。自分にはない部分が魅力で、ちょっと憧れている自分もいたと思います」と分析する。

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一方の宇崎は「僕は、牧本のような人間が日本中にいたら、すごく平和でいい国になっているだろうなって思いましたね。でもこの映画を観て、“牧本、来て!”って」としみじみ。「昔は蕪木のような人ばっかりだった。いろんな意味で少し無骨で。だから蕪木を演じるにあたってそのキャラクターを否定することはなかったです」と演じた役に共感する部分も。監督は「蕪木はいうならば、恐ろしくモテる男性なんです。品行方正ではないのにモテる。なかなかお願いする方が頭に浮かばなかったのですが、宇崎さんが引き受けてくださって最高に幸せでした」と笑顔を見せた。

ここで、主人公牧本のキャラクターにちなみ、「迷惑かけているとわかりつつ、やめられないことは?」と問われると、松下は「クランクインの日に現場で、気づいたらスタンバイ場所がすごく静か。あれ?と思って移動の車の方にいくと車はなくて。僕だけが残ってしまって、初日から皆さんをお待たせしてしまうことがありました…。気配のなさを止められない・・・」と告白。

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宇崎は「妻が洗ってくれた洗濯物を畳んで僕の部屋においてくれているんですが、タンスに入れたことがないんです。毎日、洗濯物が溜まっていくという・・・。妻が”あなたは20年経っても30年経ってもそこに置いとくのね”とプンプン怒っていました」と微笑ましいエピソードも披露。

阿部は「地方のロケのとき、地元の方のことを好きになって、仲良くなってしまうのがやめられないんです。今回の撮影も料理長が高校の先輩だったので、べったりとくっついてしまって。皆さんの優しさに甘えちゃうというか…。やめられないですし、やめたくないです」とニッコリ。

また、本作のエンディングテーマである『Over The Rainbow』を宇崎が歌唱しているという新情報も明らかにされ、登壇者たちもその歌声を絶賛。宇崎は、英語の発音に悩んだこともあったそうだが、「レゲエのリズムを使うなど工夫したら、気を楽にしながら歌うことができました。」と宇崎竜童なりの歌に仕上げたことに自信をのぞかせていた。

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終盤には、ちょっと迷惑なまきもとにかけて、質問に答えて“まきもと度チェック”を実施。
“人の乱れた髪型が気になる?”には、宇崎、松下、監督が○。阿部は✕。“人の話を聞かない”とには、阿部、宇崎は○、松下、監督は✕。宇崎が「妻に”あなたは人の話を聞かないで自分の話ばかりしている”と言われるんです。何か話題を提供しないといけない気持ちもありながら、(妻の言葉を)心がけて会食に出かけるんですが、終わってみると結局自分が話していたんだなと思うんです」と肩を落として反省していると、阿部が「宇崎さんの話はみんな聞きたくなってしまうと思いますよ」とフォローしていた。

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最後に、監督は「SNSで『水田は今作は真面目にやっているようだ』と書かれていましたが、いつも真面目にやっているので今作もどうぞよろしくお願いいたします(笑)」と。松下は「この映画はたくさん笑っていただけるし、最後にはほろっと泣けるような作品。共感できる部分や自分の毎日に活力を見いだせると思いますのでぜひ劇場で御覧ください」とアピール。宇崎は「私も真面目にやったつもりです。歌も真面目に歌ったつもり。その真面目度をぜひ皆さんに観ていただきたい」と力を込め、阿部が「本当に素敵な映画。宇崎さんの歌声を聞くと良い気持ちになると思いますし、観る方にとって身近な問題と思えるメッセージも込められています。たくさんの方に観ていただきたいです」とメッセージを送り、会見を終了した。

『アイ・アム まきもと』本ビジュアル

<ストーリー>
ある見知らぬ男の人生を“まき”戻すことになった「おみおくり係」のまきもと。
彼がたどり着いた“奇跡のさいご”とは――

小さな市役所に勤める牧本の仕事は、人知れず亡くなった人を埋葬する「おみおくり係」。故人の思いを大事にするあまり、つい警察のルールより自身のルールを優先して刑事・神代に日々怒られている。ある日牧本は、身寄りなく亡くなった老人・蕪木の部屋を訪れ、彼の娘と思しき少女の写真を発見する。一方、県庁からきた新任局長・小野口が「おみおくり係」廃止を決定する。蕪木の一件が“最後の仕事”となった牧本は、写真の少女探しと、一人でも多くの参列者を葬儀に呼ぶため、わずかな手がかりを頼りに蕪木のかつての友人や知人を探し出し訪ねていく。工場で蕪木と同僚だった平光、漁港で居酒屋を営む元恋人・みはる、炭鉱で蕪木に命を救われたという槍田、一時期ともに生活したホームレス仲間、そして写真の少女で蕪木の娘・塔子。蕪木の人生を辿るうちに、牧本にも少しずつ変化が生じていく。そして、牧本の“最後のおみおくり”には、思いもしなかった奇跡が待っていた。

『アイ・アム まきもと』
阿部サダヲ
満島ひかり 宇崎竜童 松下洸平 でんでん 松尾スズキ 坪倉由幸(我が家)
宮沢りえ 國村隼
監督:水田伸生
脚本:倉持裕
原作:Uberto Pasolini “STILL LIFE”
製作総指揮:ウィリアム・アイアトン 中沢敏明
製作:映画『アイ・アム まきもと』製作委員会
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
制作:セディックインターナショナル ドラゴンフライ
©2022 映画『アイ・アム まきもと』製作委員会

◆公式HP:iammakimoto.jp
◆公式Twitter:@iammakimoto_JP

9月30日(金) 全国の映画館で公開!