映画『片思い世界』の大ヒット御礼舞台が、4月30日、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われ、トリプル主演の広瀬すず、杉咲花、清原果耶が登壇した。
『花束みたいな恋をした』、『ファーストキス 1ST KISS』などを手掛けた、脚本家・坂元裕二が新たに書き下ろした『片思い世界』。『花束みたいな恋をした』以来、坂元と土井裕泰監督が再びタッグを組んだ本作は、12年間一つ屋根の下で暮らし、強い絆で結ばれている美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)の3人が、悩み迷いながら、それでも誰かを思い続けることを止めない、誰にも言えない究極の<片想い>を描く。主人公の広瀬すず、杉咲花、清原果耶のほか、3人と同じ記憶を胸に秘める青年・典真を横浜流星、小野花梨、伊島空、moonriders、田口トモロヲ、西田尚美ら豪華キャストが顔を揃えた。
会場にはリピーターが数多く来場しており、中には10回以上鑑賞したという熱心なファンの方も。そんな映画を鑑賞したばかりの観客の前に立った広瀬は「まわりで観てくださっている友だちも多くて、本当にたくさんのうれしい感想をいただいている日々を過ごしてきました。公開してから約一カ月、ずっと自分の中にあり続けている映画なのでうれしく思っています」とあいさつ。さらに杉咲が「公開後、本当にたくさんの方が感想をわざわざ送ってくださったりして。届いているんだなと実感しています」と続けると、清原も「公開日からこれだけ時間が開いて、こうして舞台あいさつをさせていただく、という経験があまりなかったので、お会いできて本当にうれしいなと思いますし、この作品が皆さまの心に届いていたらいいな、という気持ちでいっぱいです」と呼びかけた。
3人に降りかかった“秘密”が衝撃を与えた本作。その“秘密”を知った時にどう感じたのか、という質問にまずは広瀬が「普通に受け取るとすごく残酷な現実だなと思ったんですが、台本を読み進めていくと、3人がとても楽しそうに自分たちの暮らしをしていて。それが淡々と描かれていたので『これは一体どんな世界になるんだろう』と、いい意味で想像がつかなかった。でも実際に現場へ行くと、美術や衣装などから手作り感が伝わってきて、とても温度を感じる空間があって。ふたりがいたらどんどん形になっていくんだろうなというのが見えてきました」と返答。
続く杉咲も「わたしも脚本を受け取った時は、この3人に降りかかる悲劇を知って鈍器で殴られたような衝撃を受けました。観てくださった方の中には、すぐにはその要素を受け入れられない方もいたんじゃないかなと想像しました。でも人の死を扱うというとても難しいテーマだと思うからこそ、この物語における重要な要素が世に放たれたことで、心の準備をして映画を観てくださった方もいらっしゃったのかなと思い、少し安心しました」とコメント。さらに清原も「私が演じたさくらという役は、とにかく美咲と優花のことが大好き。それが人生のすべてだと言っても過言ではないくらい、そのパワーで生きている子でした。脚本を読んで、人を想い続けることの強さはもちろん、せつなさもはかなさも、さまざまな個性で描かれていて。とても楽しみでした」と振り返った。
そしてこの日はSNSで募集した質問を返答することに。まずは「100年後の、3人はどうなってると思いますか?」という質問から。「100年後も、ああ、200年たっちゃったねとか言いそう」と冗談めかした広瀬は、「でも3人変わらずに、おばあちゃんになってもひなたぼっこをして冗談を言いながら笑っていそう」と笑顔。清原も「みんなで縁側に座ってお茶を飲みたいです」と続けると、「反抗期が終わったらね」と笑った広瀬。その言葉に思わず苦笑いを浮かべた清原の姿に会場も大盛り上がりとなった。
そして3人のイチオシシーンについて、杉咲が「ムーンライダーズさんが登場するシーン」、広瀬が「3人が元の世界に戻れなかった朝のシーン」と挙げる中、清原が「優花のお母さんの、一連の車のシーンはすごく印象深かった。あのシーンでは感情を入れることはできるのに、実際には何もできないという事実と痛いほど対峙させられたので、現場に漂うせつなさや怒りなど、いろんな感情を思い出します」と返答すると、杉咲が「撮影の日が果耶ちゃんの誕生日だったね」と語ると、清原も「そうだった!」と記憶がパッと蘇った様子。現場でも誕生日を祝福されたといい、「このシーンの撮影の日ということで、ありがたい気持ちと、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいでした。ありがとうございました」と返した。
さらに「いなくなった存在が、実はそばにいてくれると思うことで世界の見え方を変えてくれるような映画でした。キャストの皆さんには、そばにいてほしい存在はありますか?」という質問も。それには「音楽」(清原)、「今、飼っている猫ちゃん」(広瀬)、「夕陽」(杉咲)とそれぞれ個性的な返答で会場を盛り上げた。
そんなイベントもいよいよ終盤。最後のコメントを求められた清原は「わたしにとってとても愛おしい映画になりました。この作品が皆さまの心や、頭の中など、どこかに残り続けて、勇気や希望になってくれたらうれしいなと。公開されて少したった今でもそう願っています。宝物のような映画になってくれたらうれしいです」とあいさつ。さらに杉咲が「かけがえのないふたりと、『片思い世界』チームの皆さんと撮影やプロモーションをやってきたんですが、この映画に映っているほんの小さな仕草とか、たったひとつのせりふや風景が、ちょっとでも観てくださる皆さんと接点を持てたらいいなと思っていました。ほんの一瞬の視線の交わりとか、吐息ひとつとかで誰かを苦しめてしまったり、苦しくなってしまうようなこともある日々の中で、自分のことや他者のことが怪物に見えてしまうような瞬間があると思いますが、本当は自分たちはたったひとりのちっぽけな人間で。そういう苦しみの根源にあるのは、他者と関わりあいたいとか、自分の暮らしをもっと豊かなものにしたいというような、ピュアな気持ちからくるものじゃないかなと思います。この映画の中で、そういう怒りとか悲しみの奥底にあるものを、ひとつの形として描けていたらうれしいです」とコメント。
最後に広瀬が「ふたりが言ってくれたことのように、ひとつひとつ、いろいろなことを感じながら、この『片思い世界』の中で生きて来て。自分でもいろんな気付きや、これから生きていく中で、とても大きな、いろんな感情に出会った作品だったなと思います。ふたりも本当にありがとうございました」と謝辞を述べると、「ふたりとご一緒できて良かったです。この年齢で、今まで近くにいたわけではなかったけど、切磋琢磨してきたふたりと、こんなすてきな作品で、3人で生きることができたということは役を通して実感していた日々だったので、貴重な、しあわせな経験となりました。皆さまに寄り添ってくれるような、そんな作品になったらうれしいなと思います。まだまだたくさんの方に映画を観ていただきたいので、ぜひこの映画を大きくしていただけたら嬉しいです」と会場に呼びかけた。
『片思い世界』
<STORY>
現代の東京の片隅。
古い一軒家で一緒に暮らす、美咲(広瀬すず)、優花(杉咲花)、さくら(清原果耶)。
仕事、学校、バイト、それぞれ毎日出かけて行って、帰ったら3人一緒に晩ごはん。
リビングでおしゃべりして、同じ寝室で寝て、朝になったら一緒に歯磨き。
お互いを思い合いながら穏やかに過ごす、楽しく気ままな3人だけの日々。
だけど美咲には、バスで見かけるだけの気になる人がいて、そのことに気がついた2人は…。
もう12年。家族でも同級生でもないけれど、ある理由によって強い絆で結ばれている3人。
それぞれが抱える、届きそうで届かない〈片思い〉とはーー。
出演:広瀬すず 杉咲花 清原果耶/横浜流星/小野花梨 伊島空 moonriders 田口トモロヲ 西田尚美
脚本:坂元裕二
監督:土井裕泰
配給:東京テアトル、リトルモア
(C)2025『片思い世界』製作委員会
上映時間:126分
公式サイト:https://kataomoisekai.jp/
公式X:@kataomoi_sekai
公式Instagram:@koe_wa_kaze
大ヒット上映中!