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【第43回日本アカデミー賞】 授賞式レポート! 初の無観客も温かい雰囲気で開催!松坂桃李、シム・ウンギョンら喜びの声!

「第43回 日本アカデミー賞 授賞式」

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「第43回 日本アカデミー賞 授賞式」が、2020年3月6日(金)、グランドプリンスホテル新高輪にて開催された。安藤サクラ(昨年「万引き家族」で最優秀主演女優賞受賞)と羽鳥慎一が司会を務め、各部門の最優秀受賞者および最優秀作品などが発表された。

◆授賞式の模様
本年の日本アカデミー賞は、新型コロナウィルス感染予防の観点から慎重に協議を重ねた結果、無観客とし規模を縮小しての開催となった。
規模を縮小しながらも、日本映画界一年間の総決算として1978年より続いて来た授賞式を継続し、前年度最優秀受賞者からのブロンズ像贈呈を継承する授賞式を迎えた。
各部門で優秀賞を受賞した皆様が晴れやかにレッドカーペットに登場し、43回目となる授賞式がスタート。観客はいないものの、女優の皆様の華やかなドレス姿や着物姿、にこやかに言葉を交わしながらの入場など、日本アカデミー賞ならではのあたたかな雰囲気は例年と変わらず、式典の幕開けを彩った。

受賞者らが円卓に着き、いよいよ各部門の最優秀賞の発表へ。今回から新たに授賞式の司会を務める羽鳥慎一は、オープニングで「今日は1年に1度の映画の祭典でございます。皆様と一緒にこの第43回授賞式を盛り上げて参りたいと思います」とコメントし、昨年「万引き家族」で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラさんとともに息の合ったやりとりで式典を進行していった。

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【助演男優賞】
受賞者の皆様は撮影時の思い出を披露。綾野剛は撮影で宿泊していたホテルで深夜に露天風呂に行った際、笑福亭鶴瓶と偶然居合わせて背中を流したエピソードを語り、鶴瓶さんも思い出し笑いをしながら応えた。
柄本佑は安藤サクラからのインタビューを受けることになり、夫婦でのアカデミー賞での共演は初の出来事となった。
最優秀男優賞は「キングダム」で二役を演じた吉沢亮が受賞。昨年、新人俳優賞を受賞したばかりということで「まさか最優秀をいただいてここでスピーチをすることになるとは思っていなかったので」と緊張しながら語るとともに、同作品で主演を演じた山崎賢人と「次は続編で二人で(日本アカデミー賞の会場に)来ようぜ」と熱く語り合ったことを明かし、「彼(山崎賢人)が主演でみんなを引っ張ってくれたおかげで、すごく素敵な作品になったと思うし、彼とお芝居をしたことによって、僕が(最優秀助演男優賞を)いただけることになったのかなと思っています」と感謝の気持ちを伝えた。

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【助演女優賞】
天海祐希は「最高の人生の見つけ方」での吉永小百合と再共演を振り返りながら瞳を潤ませる場面も、吉永からの「最高の相棒でした」との言葉にさらに瞳を潤ませていた。
最優秀助演女優賞は最優秀助演男優賞に続き「キングダム」から、長澤まさみが受賞。第28回「世界の中心で、愛を叫ぶ」以来、15年ぶり2回目となった。「自分にできることは何だろうということを考えながら日々仕事と向き合ってきました。まだまだこの先自分がどうなるかというのは自分も見えていないし、見えない自分というか、まだ会ったことのない自分を目指してこれからも励んでいきたいなと思います」と17歳で受賞してからこれまでを振り返り、また今後についても抱負を語った。

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【話題賞】
俳優部門を「引越し大名!」で受賞した星野源は、「一般投票で決まる賞ということで本当に嬉しいです」と喜びのコメント。作品部門を受賞した「決算!忠臣蔵」からは中村義洋監督と、同作品で優秀助演男優賞を受賞している岡村隆史が登壇。中村監督から「岡村さんに締めていただきます」と無茶振りをされた岡村は、自身がパーソナリティを務めるラジオ番組で投票を呼びかけ、作品賞し受賞できたものの俳優賞を逃したことを「リスナーに裏切られた気持ちであります」と冗談交じりにこぼすなど笑いを誘っていた。

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【会長功労賞】
永年にわたり多大なる貢献と顕著な実績をしるした映画人に対し与えられる「会長功労賞」は、高田宏治、宝田明、司葉子、中島貞夫、若尾文子に贈られた(若尾は欠席)。映画界をそれぞれの立場で牽引してきた先輩たちを前にして、プレゼンターを務める役所広司は「光栄ですけど大変緊張しています」と恐縮。
「映画とはいつまでたっても若さと活力がないとできないと感じました。まだまだ若い人には負けないぞと思ったのが今日の感想です」と力強く語った中島貞夫監督をはじめとする先輩方の言葉に、会場に集まった若い映画人たちは聞き入っていた。
会長功労受賞者の皆がステージを降りる際には、受賞者をはじめとする会場の誰からともなく立ち上がりスタンディングオベーションで偉大なる先輩映画人に深い敬意と感謝の意を伝え、映画界が世代を超えてあらためて一体となったことを感じさせる一幕となった。

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【新人俳優賞】
これまで受賞された方々はその後も「主演」「助演」で再び日本アカデミー賞を受賞されるなど、各方面で活躍を続けられていることもあり、これからの映画界を担うことが期待される「新人俳優賞」。本年は、岸井ゆきの、黒島結菜、吉岡里帆、鈴鹿央士、森崎ウィン、横浜流星の6名が受賞した。
プレゼンターは役所広司が務め、「勇気を持って失敗を恐れずに。いい作品と出会えることを祈っています」と激励。横浜流星が「正直まだこの賞は早いのではないかと思っていますが、いただけたからにはこの賞に恥じないように心に残るような素敵な作品を作っていけたらと思っていますし、またこの場に立てるよう日々精進したいと思います」と挨拶するなど、新人俳優賞受賞者の6名は今回の受賞を受けて俳優として身を引き締めているようだった。

尚、本年の「新人俳優賞」受賞者の皆様を撮り下ろしたビジュアルを掲出する特別企画「NEW CINEMA FACE 2020」が、3月13日(金)まで東京ミッドタウン日比谷にて実施されているhttps://ncf2020.andf.jp)。

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【主演女優賞】
優秀助演女優賞と合わせての受賞となった二階堂ふみ、昨年は優秀助演女優賞を受賞した松岡茉優、最優秀賞を獲得すれば吉永小百合と並び4回目となる宮沢りえたちが揃った主演女優賞。吉永は、今回で20回目(うち最優秀は4回受賞)の優秀主演女優賞受賞となった。
最優秀主演女優賞は、「新聞記者」のシム・ウンギョンが受賞。外国人としては初の最優秀主演女優賞となった。発表された瞬間は何が起こったか分からないといった表情で、スピーチの際にも言葉を発することがなかなかできない様子だったが、会場から湧き上がった拍手に促され、「これからも頑張って活動します。ありがとうございました」と涙とともに言葉数は少ないながらも日本語で感謝の気持ちを伝えた。

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【主演男優賞】
「記憶にございません!」での総理役で優秀主演俳優賞を受賞した中井貴一は、脚本の三谷幸喜を「同い年ですけど尊敬しています」と称賛したが、一方、三谷は「さっき僕にこそっと言ってくれたんですけど、最優秀を取ったら一曲歌ってみたいなとをポロっと(言っていた)」と無茶振りをし、会場を沸かせた。
今年の最優秀主演俳優賞を受賞したのは、昨年、最優秀助演男優賞を受賞した松坂桃李。「一緒にお芝居をすることができて最後まで駆け抜けることができました」と讃えたシム・ウンギョンとともに「新聞記者」で最優秀主演のダブル受賞に輝いた。「今日という日を糧に、また新たに作品の一部に自分がちゃんとなれるようにと思っております」と昨年に続き、受賞の喜びを今後につなげていくことを誓った。

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【監督賞】
日本アカデミー賞史上最多の13冠を獲得した「Swall we ダンス?」の周防正行監督をはじめとする日本が誇る名監督が揃った監督賞では、「翔んで埼玉」のメガホンを取った武内英樹監督が映えある最優秀賞に。武内監督は「取っちゃいけない作品が取っちゃった…」と自虐的に語りながらも、「埼玉の733万5千人の県民のみなさん、映画を応援してくれて温かく見守っていただいて、ありがとうございました!」と潔い短い挨拶で埼玉県民の皆様に向けて感謝のスピーチを送った。これには円卓で見守る主演のGACKTさんと二階堂ふみさんも笑顔で武内監督の受賞を祝福した。

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【作品賞】
いよいよ、授賞式もクライマックス。最後の発表となった「最優秀作品賞」には、「新聞記者」が輝き、俳優やスタッフの皆が喜びの表情で登壇。主演の松坂は「ここにいないスタッフの方々、関係者の皆様と今すぐにでも喜びを分かち合いたい気分です」とコメントし、藤井監督も「たくさんのスタッフと力をみんな合わせてこの映画を作ったので、早くみんなに報告したい。桃李くんと同じ思いです」と語り、チームワークのよさ伺わせた。
安藤サクラに「来年は司会です」と来年の授賞式を託されたシム・ウンギョンは戸惑いながらも「頑張ります」と意気込んだ。

縮小開催というこれまでにない特別なかたちでの授賞式となったが、映画人が集い、お互いの努力や功績を讃え、また喜びを分かち合う光景は例年と全く変わることはなかった。

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◆各部門最優秀賞 ☆この日の授賞式で最優秀賞が発表された部門
☆最優秀作品賞:「新聞記者」
☆最優秀主演男優賞:松坂桃李「新聞記者」
☆最優秀主演女優賞:シム・ウンギョン「新聞記者」
☆最優秀助演男優賞:吉沢亮「キングダム」
☆最優秀助演女優賞:長澤まさみ「キングダム」
☆最優秀監督賞:武内英樹「翔んで埼玉」

話題賞/俳優部門:星野源「引越し大名!」
話題賞/作品部門:「決算!忠臣蔵」

協会特別賞:金子鉄男、小田部羊一、丹羽邦夫、山田好男
会長功労賞:高田宏治、宝田明、司葉子、中島貞夫、若尾文子
会長特別賞:故・市原悦子、故・降旗康男、故・和田誠

新人俳優賞:
岸井ゆきの「愛がなんだ」
黒島結菜「カツベン!」
吉岡里帆「見えない目撃者」「パラレルワールド・ラブストーリー」
鈴鹿央士「蜜蜂と遠雷」
森崎ウィン「蜜蜂と遠雷」
横浜流星「愛唄-約束のナクヒト-」「いなくなれ、群青」「チア男子!!」

☆最優秀美術賞:斎藤岩男「キングダム」
☆最優秀撮影賞:河津太郎「キングダム」
☆最優秀照明賞:※「撮影賞」と対になる賞で「キングダム」が対象者なしの為、最優秀は該当なし。
☆最優秀録音賞:久連石由文「蜜蜂と遠雷」
☆最優秀編集賞:河村信二「翔んで埼玉」
☆最優秀外国作品賞:「ジョーカー」
☆最優秀音楽賞:RADWINPS「天気の子」
☆最優秀脚本賞:徳永友一「翔んで埼玉」
☆最優秀アニメーション作品賞:「天気の子」

©️日本アカデミー賞協会
公式サイト:https://www.japan-academy-prize.jp