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『ひらいて』首藤凜監督×北條誠人対談レポート 「複雑でもやもやした気持ちになる作品かもしれませんが観ていただきいろんな感情を持ってもらいたい。」

衝撃作!!『ひらいて』公開直前対談

首藤凜監督×北條誠人(ユーロスペース)対談
「複雑でもやもやした気持ちになる作品かもしれませんが
観ていただきいろんな感情を持ってもらいたい。」

★1015hiraite

ミニシアター、映画好きのためのオンライン・コミュニティ「ミニシアタークラブ」では毎回様々なゲストをお迎えして映画、映画館にまつわる様々なお話をしていただいている。
10月15日、10代の時に綿谷りさ原作の「ひらいて」を読んで8年後に商業長編デビュー作品として映画『ひらいて』の監督をされた首藤凛監督をゲストに迎えにお話を聞いた。

【トークレポート】
映画作りの原点
―映画作りに興味を持たれたきっかけはなんでしょう?

首藤「高校生の時に文化祭で友人と映画を1本撮ったんですが、すごく失敗したんです。その当時見ていた映画や演劇に影響されて作ってみよう!ということになって作ったんですができたものが内輪的でつまらないものになって、上映するしないの話になって結局上映するんですが、最後に観客に謝るという…映画を作るって怖いなとその時思いました。その後、大学に入っても何かを作りたいという気持ちがあったので早稲田大学映画研究会に入りました。

―その後、自主制作された『また一緒に寝ようね』がぴあフィルムフェスティバル2016で受賞されますが、大きなきっかけになりました?卒業したら映画監督になろうとか?

首藤「いえ、その時はまだ全然思ってませんでした。自主映画の監督ってやることが多くて大変なので、目の前のことだけで精一杯で。」

「ひらいて」との出会いと映画化に向けて
―ぴあフィルムフェスティバルで受賞すると「スカラシップ」という長編製作の援助システムに挑戦する資格を得ると聞いたんですが、この時、「ひらいて」の映画化に向けて出版社にコンタクトを取られたそうですね?

首藤「はい。先輩がたまたまその出版社にいたこともあって、お手紙を書きました。その時に口約束ですが、撮れるなら撮ってもいいよと。ただぴあのスカラシップはオリジナルが規定だったようなので実現はしなかったんですが。」

―綿矢りささん原作小説「ひらいて」に出会ったのは高校生の時で、その時からずっと映画化に向けてライフワークのように取り組んでこられたそうなのですが、そこまでこの原作にこだわった理由はなんでしょう?

首藤「一番最初に胸を打たれた小説で、生きていく糧になるような。。自分の人生で色々なことが起きる前に独特ないびつな関係性の中で人が人に受け入れられていく様が衝撃でした。これから自分にもいろんなことが起きてきそうな予感とあいまって。本当にこの原作に救われてきたので。その後就職をして仕事をしながらずっと脚本を書いてました。他に原作権を取られたらどうしようと正式に固まるまで不安でしたちょいちょい対抗馬がいる、といったことも耳にして気が気じゃありませんでした(笑)」

―初の商業長編映画ですがプレッシャーはありましたか?

首藤「スタッフの皆さんが本当に優しくてありがたかったです。ただ、当たり前なんですが監督としての判断をきちんとしていかなければいけないのでそのあたりは孤独だなと思いました。」

撮影現場において。俳優たちとの役作り
北條「俳優との役作りで苦労された点はありますか?」

首藤「特に主人公の愛についてですかね。山田杏奈さん演じる愛というキャラクターは私がずっと共鳴してきたキャラクターなんですが、演じる場合には愛自身も自分のことが良くわかってないので、演じる時に山田さんも悩まれたようなんですが、私は、その分からなさもそのまま演じて欲しいと思っていたので試行錯誤しました。私が言語化して伝えてその通りに演じてもらってもあまり面白くならないような気がしていて。山田さんも愛と同世代なのでその渦中の中にいる人の特有の分からなさがいいと思いました。役者さんとこんなにも対話することも初めてでした。作間さんは演技もほぼ初めての様子で背の高さ、スタイルの良さも含めて持て余している感じでした。撮影の自分の出番が終わっても気配を消して他のシーンの撮影を見ていたり、私がこのシーンは見られたくないな、と思ったときは何も言わなくても帰っていかれたり。芋生さんは人あたりも良くて優しい方なんですが演じること以外は全く興味のない感じだなあと思いました。」

北條「見ていて、初めは作間さん演じるたとえというキャラクターが勉強ができてかっこいいから愛がひかれていくのかなと思っていたら、実は家庭環境も酷くてそこから脱出するために勉強を一生懸命していて、中学の時から付き合っている秘密の彼女だけは連れ出そうとしているんだなと、その辺りのキャラクターが寡黙ゆえに面白かったですね。あとはバス停でのシーンや山田杏奈さん演じる愛と芋生悠さん演じる美雪がカラオケに行くシーンが印象的でした。」

首藤「カラオケのシーンは私も気にいってるので嬉しいです!」

北條「主人公の愛の体当たりの衝動的な行動を周囲がどう受け止め続けいつ切り返して来るか興味深く見ていました。あまりネタばれできないですが、冒頭のゴミ箱バーーン!!のシーンとかいいですよね(笑)」

公開に向けてのメッセージをお願いします
首藤「観るといろいろ言いたいことが出てきたり、もやもやと複雑な気持ちになったりするかもしれませんがぜひ、いろんな感情になってもらえたら一番嬉しいなと思います。」

★対談動画フル尺は、ミニシアタークラブに入会後、閲覧可能です。
https://basic.motion-gallery.net/community/minitheater/

★一部編集した対談動画
https://www.youtube.com/channel/UCzJ81IRuOUwkMVK1X3ewpcg/featured

◆ミニシアタークラブ
HP:https://basic.motion-gallery.net/community/minitheater/
Twitter:https://twitter.com/minitheaterclub

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映画『ひらいて』
【あらすじ】
高校3年生の愛(山田杏奈)は、成績優秀、明るくて校内では人気者。
そんな彼女は、同じクラスの“たとえ”にずっと片思いをしている。
彼はクラスでも目立たず、教室でもひっそりと過ごす地味なタイプの男子。だが寡黙さの中にある聡明さと、どことなく謎めいた影を持つたとえに、愛はずっと惹かれていた。
自分だけが彼の魅力を知っていると思っていた。
しかし、彼が学校で誰かからの手紙を大事そうに読んでいる姿を偶然見てしまった事で事態は一変する。
「たとえに、恋人がいるのではないかー」その疑惑がぬぐいきれず、愛はある夜、悪友たちと学校に忍び込み、その手紙を盗んでしまう。
手紙の差出人は、糖尿病の持病を抱える地味な少女・美雪。その時、愛は、初めてふたりが密かに付き合っていることを知るのだった。それが病気がちで目立たない美雪(芋生悠)だとわかった時、いいようのない悔しさと心が張り裂けそうな想いが彼女を動かしたー。「もう、爆発しそうー」
愛は美雪に近づいていく。誰も、想像しなかったカタチで・・・。

山田杏奈
作間龍斗(HiHi Jets/ジャニーズJr.) 芋生悠
山本浩司 河井青葉 木下あかり
板谷由夏 田中美佐子 萩原聖人

監督・脚本・編集:首藤凜
原作:綿矢りさ『ひらいて』(新潮文庫刊)
音楽:岩代太郎
主題歌:大森靖子「ひらいて」(avex trax)
制作プロダクション:テレビマンユニオン 製作:「ひらいて」製作委員会 配給:ショウゲート
©綿矢りさ・新潮社/「ひらいて」製作委員会 PG -12
公式サイト:http://hiraite-movie.com/
公式twitter:@hiraite_movie
公式Instagram:@hiraite_movie

2021年 10月22日(金) 全国ロードショー