映画『春に散る』の完成披露試写会が、7月１９日、東京・イイノホールにて行われ、W主演の佐藤浩市と横浜流星をはじめ、共演の橋本環奈、山口智子と、瀬々敬久監督が登壇した。
沢木耕太郎の最高傑作「春に散る」を、人間ドラマの名手、瀬々敬久監督（『ラーゲリより愛を込めて』）がメガホンをとり映画化。本作は、不公平な判定で負けアメリカへ渡り40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一（佐藤浩市）と、同じく不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾（横浜流星）が、世界チャンピオンを共に目指し、“命を懸けた”戦いの舞台へと挑んでいく様を描く。翔吾を導くことで人生に尊厳を取り戻そうとする仁一、仁一と出会い諦めかけていた夢に再度挑戦する翔吾。ほかにも山口智子、橋本環奈、哀川翔、片岡鶴太郎、坂東龍汰、窪田正孝ら豪華キャストが集結し脇を固めている。
イベント冒頭では、横浜が先日ボクシングプロテストに見事合格したことにも触れ、お祝いムードいっぱいに。佐藤は「実は撮影のときにも（プロテストを受けてみないかといおう）話が出ていたんです。『やってみない？』『やってみたら？』って。本当に受験するとは思わなかった。びっくりしたけど“よしッ！”という感じでしたね」と本人ともども喜んでいた。
そして、この日は映画の場面写真を見ながらトークを展開。仁一と翔吾の関係値をうかがえるミット打ちのシーンに、佐藤は「流星くんも随分前からトレーニングしていまして。このミット打ちですが、皆さんが思われるよりキツイです。ミットって聞くと柔らかい感じがすると思うけど、実は凄く硬くて。なおかつ、（受けるほうが）引いたらダメでこっちも一緒に当てにいくんです」と説明し、「それでまた、この男のパンチが重くてね(笑)」と横浜のパンチの威力を明かす。それでも、「それを重ねるうちに、アイコンタクトでなんとなくお互いができるようになってくるのが楽しかった」と満足気。
その言葉に、横浜は「本当にそう。痛いことを知っているので、最初は躊躇もしましたが、リハーサルの時から浩市さんから『本気で来い！』と力強い言葉をいただけたので、逆に手を抜くと失礼だなと。浩市さんの胸を借りて本気でいかせてもらいました。やっぱり信頼関係がないと本当に難しいので、何度も合わせて言葉を交わさずとも仁一と翔吾の関係を作っていけた気がします」と、本気でぶつかり合いながら役としての関係値も築いていった様子。
佐藤も「流星自身がそこに飛び込んでいきますっていう顔をしているし、こっちも『来いや』と返し、お互いに色んな垣根を越えていこういうことだと思いますね」と続けた。
横浜は「翔吾にとって仁さんというのは、心の救いでもあるんですが、僕も浩市さんには同じ気持ちを持っていて、何があっても味方でいてくれるし、ちょっとした変化にも気づいてくれて救われました。本当にこの作品で浩市さんと出会えて良かったなと思っています」と敬意を払うと、佐藤は「好感度を上げてくれてありがとう」と大照れだった。
そんな佐藤の印象を、橋本は「もっと怖い方かと思っていたけど、印象は180度変わりましたね。佐藤さんのおかげで和やかな雰囲気になっていました」と笑顔を見せると、山口が「一見怖いもんね。イチャモンつけてきそうだよね」と笑う。佐藤は「だから、現場では冗談ばっかり言ってるんです。あまり喋りすぎて、最近若手に嫌われてるんです(笑)」と自虐し、会場の笑いを誘う場面も。
横浜は「僕は全然怖くなかったですね。こういう関係性ですし、もうぶつかっていこうと思っていました。それを受け止めてくれるかどうかの怖さはありましたけど。受け止めてくれたので、もう大好きになりました」と満面の笑みを浮かべていた。
横浜と初共演となる橋本は「凄く熱さを感じました。男気を体現されている姿がとても新鮮で、今までにない雰囲気でした」と、横浜の姿勢に感心しきり。
また、27年ぶりの映画出演となった山口だが、「映画に出ようと思ったきっかけは？」と聞かれ、「それは、浩市さんラブですよ！」と即答「俳優さんとして大好きなんです」と言って佐藤を照れさせる。「この作品はフィクションでありながら、ドキュメンタリー映画を観ているかのような、本気を見せていただいた。本物の輝きを近くで見させていただいて、役得でした」と、作品に魅了されていた。
さらに、本作の大きな見どころと言っても過言ではない、（窪田正孝演じる）中西と翔吾の試合のシーンは圧巻の一言。年末の12月30日まで撮影が続いていたそうだが、横浜は「集中力を切らせないようにするのが大変でした」としながらも「エキストラの観客の皆さんの応援が力になりました」と感謝。佐藤は「横浜くんと窪田くんが、役としても役者としてもお互いが負けたくないんです。だから気持ちが前のめりに出てるんです」と絶賛。山口も「輝きが本物だもん！」と力を籠める。あまりの真剣な二人に監督もカットの声をかけられなかったそうで、思わずボクシング監修の松浦さんが「カット！カット！」「続けたら死んじゃう」と声をかけたというエピソードも明かされ、その本気度が伝わってきた。
最後に監督は「“今しかない”という言葉が出てきます。とても大切な映画です。人生に完成なんてないと思います」と述べ、横浜は「みんなが熱をもって作った作品です。それがスクリーンに映っていると思いうので、心で受け取ってもらえたら嬉しいです」と。佐藤は「これはエンターテイメントです。だけど、この映画が終わって場内が明るくなって席を立つときにたぶん皆様は今思うより大きなお土産を抱えて帰ることができる映画になったと思います」と自信いっぱいにメッセージを送り、舞台挨拶を締めくくった。
『春に散る』
佐藤浩市 横浜流星
橋本環奈 ／ 坂東龍汰 松浦慎一郎 尚玄 奥野瑛太 坂井真紀 小澤征悦 ／ 片岡鶴太郎 哀川翔
窪田正孝 山口智子
監督：瀬々敬久
原作：沢木耕太郎『春に散る』（朝日文庫／朝日新聞出版刊）
製作：映画『春に散る』製作委員会
コピーライト：©2023映画『春に散る』製作委員会
配給：ギャガ
主題歌：AI「Life Goes On」(ユニバーサルミュージック)
©2023映画『春に散る』製作委員会
公式HP: https://gaga.ne.jp/harunichiru/
公式Twitter：＠haruchiru_movie
公式Instagram：＠haruchiru_movie
8月25日（金） 全国公開
