2025年6月14日(土)に新宿・花園神社境内 特設紫テントにて、新宿梁山泊 第79回公演 唐十郎初期作品連続上演『愛の乞食』『アリババ』が開幕した。公演に先立ち取材会とゲネプロが行われた。本公演は7月6日(日)まで花園神社境内 特設紫テントにて上演。
本公演は、唐十郎主催の状況劇場における数々の名作の中でも、康十郎作品の原点ともいうべき初期作品の、1970年初演「愛の乞食」と1966年初演の「アリババ」を2作連続上演するもの。
2025年2月、第32回読売演劇大賞【最優秀作品賞】を受賞した新宿梁山泊が、主演に安田章大を迎え、アングラ演劇の更なる進化を目指し、総力を挙げて描く時代を超えた壮大な愛とロマンの物語。
2023年夏に唐十郎作、金守珍の演出、ミラノ座上演の『少女都市からの呼び声』に出演した安田章大。その際には「唐十郎さんの脳味噌の中を覗いてるわけですから。でも、それがすごく楽しい」と語っていた。
そして、それが本作へと繋がったのだろう。見事な活舌でのスピード感あふれるセリフ回しと、心技体が一体となった骨太の俳優としての姿を見せてくれた。
8月から10月に安田は、東京・福岡・大阪・愛知で、金の演出の下、出演者に壮一帆、伊東蒼、彦摩呂、福田転球、温水洋一、伊原剛志、風間杜夫を迎えて、この2作品を関西弁で上演する予定。
【取材会】
金は開口一番「安田章大のすごさをミラノ座の何十倍見せつけられて、楽しくてしょうがないですね。うちの劇団員と変わらないレベルです。降りてきてくれたのかわからないですけど、スペシャルメンバーではなく、ほんとにもうメンバー、仲間の一員として、この4日間ずっとこのテントの作業してるんですよ。朝から晩まで。昨日は(床の)色塗り、11時、最後色塗って帰るんですけど、はい、それまでやってきました。一番大変なときにやってくれたんで」とべた褒め。「この客席、僕とふたりでつくりました。もうテント役者として基礎から叩き込んでます」「大スターがこうやって劇団員に溶け込んで」と明かした。
金の言葉をうけて、安田は「役者というものは1つ1つ自分たちで作っていくんだということをしっかり学ばせていただいております。劇団の皆様がやっぱりすごい。全員で輪になって、本当に大きな渦を、金さんが大好きな言葉ですよね、渦という言葉が。そのみんなが作る大きな渦の中に入らせてもらえたというありがたい環境です」と真摯に。さらに「ドームとか、大きい会場となんら変わりはなくて。やっぱり一つひとつ何を届けたいのか。実質の距離じゃないと思うんです」と思いを語った。
さらに金は「安田くんはもうしょっぱなからもう一字一句間違いなく、研ぎ澄まされたように唐十郎のセリフを、詩的なセリフを。あと歌!唐十郎の歌を、これからも安田くんでどんどん聞いていきたい。リクエストしたいです」と絶賛。
金は演出の合間に劇団員全員のご飯を作り20合の米を炊くと明かすと、安田も同じ釜の飯を食べて「ごちそうさまでした」「幸せでした」と応じる。
さらに安田は、自身が出演しない回の若衆公演について「それを見させていただいたりすると、自分とは全然違うアプローチをしていたりとかして見応えがある。僕がやるものを見てもらいたいんですけど、劇団員の皆様が持ってるエネルギーを見てほしいな」「この演劇は観るのではなく、体験型」と自信たっぷりに勧めてくれた。
ゲネプロ『アリババ』
“黒い馬”を探す宿六を演じる安田
ゲネプロ『愛の乞食』
安田はこちらでは2役を演じる。生命保険会社に勤めるサラリーマン・田口(左)
一本足の憲兵(左)を演じる。
新宿梁山泊 第79回公演 唐十郎初期作品連続上演
『愛の乞食』『アリババ』
2025年6月14日(土)~7月6日(日)新宿 花園神社境内 特設紫テント
作:唐十郎
演出:金守珍
出演:
安田章大、金守珍、水嶋カンナ、藤田佳昭、二條正士、宮澤寿、柴野航輝、荒澤守、宮崎卓真、原佑宜、
寺田結美、若林美保、紅日毬子、染谷知里、諸治蘭、本間美彩、河西茉祐、芳田遥、町本絵里、森岡朋奈、
とくながのぶひこ
公式サイト:http://www.s-ryozanpaku.com