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悪魔と契約する男・フォーチュンを森田剛が演じるPARCO PRODUCE 2020『FORTUNE』製作発表

自らの欲望を叶えるために悪魔と契約する男・フォーチュンを森田剛が演じるPARCO PRODUCE 2020『FORTUNE』の製作発表が、11月28日(木)都内にて行われた。共演の吉岡里帆、田畑智子、根岸季衣、鶴見辰吾と、サイモン・スティーヴンス(作) 、ショーン・ホームズ(演出)、ポール・ウィルス(美術・衣裳)の英国スタッフと共に登壇。ワールドプレミアとなる本作への熱い思いが感じられる会見となった。

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ポール・ウィルス  サイモン・スティーヴンス  ショーン・ホームズ
鶴見辰吾 田畑智子 森田剛 吉岡里帆 根岸季衣

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最初は、ゲーテの「ファウスト」から『FORTUNE』を書き上げた劇作家のサイモン・スティーヴンスが「昨年初めて休暇で日本に来て、この美しい国に恋をしてしまった」と挨拶。そして「自国の事を考えると小さくなりつつあり、他の国に背を向ける状態になりつつあるということを考えると、こうした国際的なコラボレーションで作り上げる作品はとても大切なプロジェクトだと思っています」と挨拶。

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サイモンから「十数年に渡りコラボしている」と紹介された演出のショーン・ホームズは、これが日本での初めての演出作品。「今回に先駆けて2回来日して、俳優たちとワークショップと読み合わせを行い、日本の様子が分かり始めています」と、強い意欲を感じさせた。

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「サイモンとショーンとの仕事がデザイナーとして最もエキサイティングで多くのことを教わった」と語ったポール・ウィルスは、昨年の『民衆の敵』でも美術・衣装を担当している。

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若くして成功しながら、悪魔と契約して闇に落ちていく映画監督フォーチュン役を演じる森田剛は2014年にサイモン作の戯曲『真夜中に犬に起こった奇妙な事件』に主演している。そのことに触れて「その時、ものすごく苦労したんですね。なかなかそこに飛び込むのは勇気のいること。でも僕にとってもチャレンジだしすごく刺激的のある舞台なので、是非やりたいなと思いました。意気込みは・・・日本が一番良かったと思ってもらえるようにしっかりやりたいと思います」

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真っ直ぐな信念を持った若い映画プロデューサー・マギー役を演じるのは、吉岡里帆。
「10代の時にこの仕事をやりたいと明確に思ったのが、小劇場の学生演劇を見た時がきっかけです。その時から舞台の虜で、戯曲の虜で、ドラマだったり映画だったり台本を読む時、すごく幸せな気持ちになります。舞台は憧れの強いジャンルです。映像作品が続いていたので、事務所の方に舞台がやりたいですと何年も話してきて、やっと『FFORTUNE』という素晴らしい作品と出会えて、サイモンさんとショーンさんとポールさんと会って、まだ稽古を始めて2日目なんですが、ものを一つ一つ積み上げていく楽しさを噛みしめています。こんな日を望んでずっとがんばってきたなと感じる時間を過ごしています。皆さんとこの作品を一緒に作り上げていくことがとても嬉しいと心から思っています。
意気込みは、まず足を引っ張らないことが大切だと思っています。年齢的にも若いですが、プロデューサーとして成功しとても強い信念を持った知的な女性ですので、ぶれないように役にしっかり染まって、皆さんと一緒に戦って素晴らしい作品をとどけられるように、稽古期間、上演中心を真っ直ぐにしていけたらと思っております」としっかり語った。

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フォーチュンに契約を持ちかける悪魔・ルーシーを演じるのは田畑智子。「今までに演じたことがない役を頂いたなと思いました。正直、すごく不安で期待やワクワクもあるのですが、いろんな意味で挑戦だと思っています。今までとは違う面をお見せできたらいいなと思っています。この世界に上手くとけこめれば、良い意味で期待を裏切れたらといいなと思っています」

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フォーチュンの母親を演じる根岸季衣。「最初に台本を頂いた時には、こんな無茶苦茶な話をどうやってやるんだろうと想像がつかなったのですが、これまで英国の演出家とやったことがなかったので、そういう興味でお引き受けしました。その後にショーンが日本でワークショップをやるというので参加させてもらって、演劇の国の人だ!と、これはきっと楽しいものになると楽しみにしていました。フタを開けたら、英国人クリエーターはタフです。ドンドン可能性をひろげています。すごく面白いのですが、すでにヘトヘトです。筋肉痛を起こしている人もいますが、それぐらい楽しく精一杯みんなで作っています」

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鶴見辰吾はドラッグ中毒で死んだフォーチュンの父を演じる。
「ゲーテのファストを原作にした作品と聞いて、難しいだろうと覚悟して台本を読んだのですが、とても現代的で濃密で、読んでいくのが楽しい台本でした。すべての人物に共感でき、もしかしたら自分もこうなってしまうのでは…と思うキャラクターが描かれていました。ただ、私たち俳優は常にチャレンジし続けていく仕事で、一生挑戦しつづけて、新しいものを見つけて、どう表現していくかですが、それにふさわしい機会を与えてもらったと全員が思っていると思います。私たちが、日本ではどういう人間かと知られているかもしれませんが、英国スタッフは先ほどから社交辞令で『グレートアクター』と言ってくれていますが、どういう俳優か知らないと思います。彼らにとってもチャレンジだと思います。それに応えるべく、今の俳優としての自分に何ができるのかを試す機会でもあり、大変素晴らしい、有意義な仕事だと思っています。そして文化の違う英国と日本のクリエーターと日本の俳優がコラボして何が生まれるか、人類・世界の人たちが持つ共通の美意識や倫理観や、『人間はどう生きるべきか』ということが表現の中で生まれてくると思います。そして、これが世界に先駆けての上演で、スタンダードとなって世界をめぐっていく…と考えると、とても夢が持てる、役者冥利に尽きる仕事に携われていると思っています。ワールドプレミアの日本での公演を観劇頂く方は新しい何かが、西洋と日本の文化がまじりあって生まれる瞬間を一緒に体験する証人となるわけで、是非劇場で体験して頂きたいと思います」

なぜ、ゲーテの「ファウスト」を現代に置き換えたのかという問いに、サイモンは
「何か自分が理解できないもの、怖いと感じるようなもの、でも探求したいものを扱いたい、探っていきたいということがあったと思います。永久に続いていく業や地獄や煉獄の怖さ、非常に恐ろしいと思っています。その恐怖が、作家がものを書くところの良い出発点になると思っています。
文化として、世界として、人類として、経済的にも環境的にも政治的にも、今そういった何か裂け目に我々は落ちようとしているのではないかと思っています。この先で何が起こるか、我々には何も分かりません。人類が動物としてどうなるのか、何もわかりません。」「こんなにも環境問題が切迫し、危機に瀕している中で、僕自身は飛行機に乗って日本にやってきているわけですから、そこにもファウスト的なことがあります。我々全員がファウストのインパクトを常に出し続けている。今ほど新しいファウストの物語が重要になることはないと思います」と語った。

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森田が「びっくりしたのは、セリフの量。前回も凄かったんですけど、忘れちゃうんですよね、やっぱり。『あ、これだ…』『サイモン来た〜!』という感じで、拝見しました」と台本を見た感想を述べると、他のキャストも英国スタッフも大爆笑。
さらに森田は「その中には父親や母親や周りの人たちとの関わり合いが描かれていて、その人たちによって自分の心が動く。愛がすごく詰まった本だなと思ったし、これはチャレンジしたいなと思いました」と続けた。
セリフの覚え方について尋ねられると「みなさんどうしているのかわからないですけど、受験勉強みたいな感じですかね。机に向かってとにかく読むという作業だと思います」と答えると、また檀上から笑いが響いた。

根岸からは「すごく難しそうなお話のように思われるかもしれませんが、サイモンがハリウッドをどう思っているか…とか、スパイスとして織り込まれていて、お楽しみ頂けるところがいっぱいあると思います」と、鶴見からは「我々俳優が骨から皮から全部使われるくらいとことん心と身体を使って提供する芝居になると思います。と同時に、見終わった後にドーンとインパクトのある演劇になると思います。それを人生の中に一生お持ち帰り頂ければと思います」と期待の高さを語った。

ここで演出のショーンが「チャレンジングな話や人類のこと等、ダークな話が出て来ています、お伝えしておかねばならないのは、これはラブストーリーです。前半はパーティーがあって音楽があってハリウッドが出て来て、エキサイティングです。それがとても重要なことだと思っています。劇の前半は高揚感が急速に高まっていきます」と解説。「サイモンが歌を書き、かみむら周平さんが素晴らしい曲を書いていてくださっていて、歌や音楽を織り交ぜながら、非常に高揚感が高まってから落ちるということになっています」と、演劇らしい楽しみをふくらませる解説を入れた。

東京公演は東京芸術劇場 プレイハウスにて2020年1月13日にプレビュー公演、14日~2月2日まで上演。その後、まつもと市民芸術館 主ホールにて2月7日~9日、森ノ宮ピロティホールにて2月15日~23日、 北九州芸術劇場 大ホールにて2月27日~3月1日に上演される。

PARCO PRODUCE 2020
『FORTUNEフォーチュン』
作:サイモン・スティーヴンス
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:ポール・ウィルス
出演:森田剛、吉岡里帆、田畑智子、市川しんぺー、平田敦子、菅原永二、内田亜希子、皆本麻帆、前原滉、斉藤直樹、津村知与支/根岸季衣、鶴見辰吾
企画・製作:パルコ
制作協力:ゴーチ・ブラザーズ
公式サイト:https://stage.parco.jp/program/fortune

【東京公演】
公演日程:2020年1月13日(月・祝)~2020年2月2日(日) <プレビュー公演:1月13日(月・祝)>
会場:東京芸術劇場 プレイハウス
料金:10,500円、プレビュー公演(1月13日)=9,000円(全席指定・税込)

【松本公演】
公演日程:2020年2月7日(金)~2020年2月9日(日)
会場:まつもと市民芸術館 主ホール
料金:10,500円(全席指定・税込)

【大阪公演】
公演日程:2020年2月15日(土)~2020年2月23日(日・祝)
会場:森ノ宮ピロティホール
料金:10,500円(全席指定・税込)

【北九州公演】
公演日程:2020年2月27日(木)~2020年3月1日(日)
会場:北九州芸術劇場 大ホール
料金:S席=10,500円 A席=8,500円(全席指定・税込