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『ルキアの使い手』脚本・演出・主演の渡部樹也へ直撃インタビュー!

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2014年2月、舞台『リリイの語り部』で脚本・演出を手掛けた渡部樹也。初めてとは思えない才能溢れるその舞台に多くの人々が魅了され、公演は全て満席で大成功をおさめた。そんな彼が、6月25日より上演される新作『ルキアの使い手』の脚本・演出・主演を務めることになり大きな注目を集めている。
インタビュールームのドアを開くと、そこには長い手足を持て余しているようなスラッとした青年が爽やかな笑顔で出迎えてくれた。

―― 舞台の稽古は始まりましたか?

はい、始まったばかりです。今回はとても慎重にキャスティングをさせて頂いて、プライベートでも馬があい、演技の相性がいいと思える方たちだけを選出させていただいたので、(稽古も)とても楽しいです。
2013年~2014年頃に演出家の伊藤和重さんの舞台で演出助手を務めさせていただき、その時に知り合った仲間が軸になっています。かなり充実したキャスティングになっていると思います。

―― 順調に進んでいるようですね。

そうですね。本当に安心しました。スタートは大事ですから。

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―― 本作の脚本を手掛けるきっかけは何だったのでしょうか?

僕が舞台に携わるきっかけになったのは、先ほどお話しました伊藤和重さんの演出助手をさせていただいたことでした。その当時、僕は総合芸術大学への進学も考えていて、大学で何年間か学ぶという選択もあったのですが、早く(舞台の)経験や実績を積みたいと思う自分もいたのです。映画などとは違い、小規模であれば短期間で作ることができるということが舞台の利点でもあります。それで、昨年『リリイの語り部』を書き上げました。
今はスマートフォンやインターネットによって、無料で尚かつ、自宅で楽しむことができるサービスが多く普及されていますよね。DVDも100円でレンタルできるようなときに、舞台は安くても3,000円はしてしまう。舞台を観るためには、その場所に出かけて時間を拘束され、隣の人とおしゃべりもできないで静かに見なければいけないんです。いわゆる敷居の高い舞台を本当にお客様は楽しんでいるのだろうかという疑問にぶつかったんです。僕は以前から“舞台”は独特な空気感というか、観客と役者との距離間や閉鎖的な感じがしていて・・・。そこで、舞台の持つ厳かな雰囲気と、お客様が楽しめる演劇を突き詰めてみて、一つでもいいから、メタフィクション的というか、舞台へのカウンターカルチャーのような作品を書き上げたいと思ったんです。
自分の実績を積むことにおいても、カウンターカルチャーに挑戦することは自分のためになるんではないかと思ったし、なによりお客様を楽しませるという意味でも、それに挑戦したかったんです。それで今作を書いてみました。

―― 昨年の『リリイの語り部』とは違い、今回は脚本・演出に加え、主演も務めるということですが、大変な作業ですね。

そうなんですよ、大変なんです(笑)。でも、どうして僕が主演にまで、出しゃばってきたかという話ですが・・・。昨年の『リリイの語り部』では僕は裏方でしたが、その為の「説得力」を得る為にはどうしたらいいのかと考えたとき、脚本を書くだけではなく「役者の気持ちを知らなければいけない!」と感じたんです。そこで、LDH主催の舞台『カルセオレリア』に出演させていただき、演じる者の感覚を体感させて頂きました。
今回の作品は少人数で行うこともあって、主役はとてもセリフ量が多いんです。ある意味舞台のあり方を批判するようなカウンターカルチャーということもあり、なかなか主演を受けていただける人が見つからなくて困っていたら、「……あぁ。自分がやるしかない」と気がつかされて……
とかく父と母が芸能の仕事をしているから、息子も出たがりなのかな?と思われがちなんですけど、実は僕、人前で目立つことが全然ダメで。なにかとデリケートになっちゃうんですね。オカンが持ってきた仕事もキチンと理由を説明して何回も断っているし・・・。
でも、やっぱり作品の理想というものを一番体現しやすいのは、自分しかいないのかもしれません。

―― 脚本を書いた自分が一番わかっているわけだから?

そうなんです。しかも主演ですし。主役が一番、脚本家としての自分との距離が近いんです。(本当は表に出たくないので)しぶしぶ主演することを決めたところもありましたが、必然ではあったのかも。主役を演出するという手間を省けるという点もあるし、実際、稽古場に入ってて気楽ではあるんですよ。
あ、でも、次はもう出ませんよ(笑)。ホント、ダメなんです。恥ずかしいんです人前が・・・。

―― “小劇場”にこだわりがあるのですか?

ありますね。脚本を書くにあたって、まず舞台装置が少ないところと、暗転芝居が好きなんです。これは、小劇場でしか成し得ないことで、その閉鎖感がとてもいいんです。自分の書いているものとの相性もあると思いますが、舞台は小劇場しか考えられないと言ってもいいくらいです。

―― 特に、今回の作品演出は小劇場が合っている?

少し前に、志倉千代丸氏がプロデュースされた『シュタインズ・ゲート』という舞台があって、その作品はお客様の意見によって物語の筋が変わるというものでした。劇場の大小に限らず、お客様の投票によって距離を縮める舞台はできると、すでに証明されているわけですが、僕はあえて小さい劇場でしかできない可能性を見出したいんです。距離間を埋めるのは役者次第というところもありますけど……。

―― 観客のみなさんの意見によって物語が変わるというところが本作のキーポイントにもなっていますが、毎回、違う舞台を見ているように感じるかも。初日舞台と千秋楽では全く違うものになるかもしれませんね。

もちろん、本筋はこちらが押さえていますが、舞台にのめり込んでいただくために、それが予定調和ではなくリアルタイムで起きている事件であるかのように錯覚させるところに課題をおいているので、その可能性は十分にありますね。

以前、壌晴彦さんという舞台俳優の方が「舞台における予定調和というのは、本来そこに生じているリアルタイムの空気感を邪魔しているので、必要ない」というような事をTwitterで呟かれていたんでが、その通りだなと思ったんです。観客のみなさんが目の前にいて、その反応を得ることによって舞台というものは成立する。だから、役者が予定調和的にただ同じことを舞台で繰り返していても、その空気感を阻害してしまうんです。

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―― しっかりとした舞台へのこだわりをお持ちのようですが、他の舞台作品はよく観ますか?印象に残っている作品はありますか?

実のところ、あまり観ないんです。だってチケット代が高いもん(笑)。親父が出た舞台や、伊藤和重さんに連れられて舞台を観に行くことなどはありますが、自分から観たいと思って出かけることは少ないですね。
福田雄一さん演出の舞台『THE 39 STEPS』は面白かったですね。僕も少しだけ影響を受けているかもしれません。

―― それでは、他の舞台を見て影響を受けることはない?

僕ね、漫画が好きなんですよ。週間漫画雑誌を週6冊、月間を4冊読んでいて、それこそ大した数ではありませんが、16歳のころからずっと続けているんです。絵心がなかったので漫画家にはなりたいとは思いませんけど(笑)。“漫画的表現”、とでも言うのでしょうか? 連載漫画って、印象的なシーンの連続で構成されているんですよ。アプリゲームが流行っているのも、人間は周波的で、継続的な刺激を好む傾向があるからなんですね。舞台でそれを表現するのはとても難しいことなので、あえて舞台を観に行く必要がないのかなと思うんです。

―― では、映画は観ますか?

映画もアメコミ(アメリカン・コミック)ですね(笑)。とにかく漫画大好きなんです。

―― リアルに渡部さんの頭の中で構想が練られて舞台になるんですね。

前は小説家になりたいと思っていたんですが……小説は本となって買ってもらった時点で終結しますが、シナリオや脚本などのような配信する作品となると、突発的な出来事の連続を書いていかなければならない。そう考えると僕は脚本の方が向いているのかなと考えるようになりました。

―― 舞台や漫画以外に今、ハマっているものはありますか?

最近、シュミレーションゲームが楽しいですね。“恋愛シュミレーションゲーム”がいいな。
よくできている作品は本当に面白いですよ。本当にあれは凄いです。僕もいずれ書きますよ、“恋愛シュミレーションゲーム”……二年以内ですかね? 待っていてください!!

―― 自分の経験を生かして書くのですか?

経験はないですね、全然(即答!)。親父に、「お前さ、渡部玉砕(玉斎?)に名前を変えれば?」って言われているくらいですから。本当に恋愛に関してはボロボロなんです。だからこそ、自分の中に抱いている理想に執着心が強いのかもしれないです。

―― 漫画にしても、ゲームにしても生活すべてが演劇に繋がっているのですね?

演劇というより、創作に繋がっていると言ったほうがいいかもしれません。僕の中に掲げる理想があって、極端な言い方になるけど、青春という代償も払ってきた自負もあるんです。なので、どんな形でもいいから自分の理想を体現するため、これからも幅広く、マルチに活動していくつもりです。

―― 最後に、『ルキアの使い手』を観にきてくださるみなさんにメッセージをお願いします。

今回、舞台のカウンターカルチャーをテーマに、古典演劇と大衆演劇の融合への挑戦として、この脚本を書かせていただきました。観に来ていただければ絶対に楽しんでいただけるよう尽力しています。ぜひとも、よろしくお願いいたします!

~インタビュー後期~
弱冠20歳で脚本・演出、そして主演までこなしてしまう渡部樹也とはどんな青年だろう・・・と興味津々でインタビューさせていただいたが、話を聞けば聞くほど、彼への関心は大きくなるばかり。舞台への想いを熱く語ってくれた渡部樹也の才能は未知数だ。まずは、舞台『ルキアの使い手』で彼の考える理想を体現してみたい。

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渡部樹也
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応募方法:
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応募の際には、
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※インタビューおよび作品の感想もお待ちしております!

■応募締切
6月25日(日)まで
・当選者の発表は、発送(2015年7月初旬予定)をもって代えさせていただきます。
なお、当落に関するお問い合わせはお受けできません。
・当選者の方にはDM(ダイレクトメッセージ)にて当選のご連絡をさせていただきます。
※DM(ダイレクトメッセージ)は@astage_entをフォローいただいてませんと、お送りすることができません。

たくさんのご応募お待ちしております!

渡部樹也 (MIKIYA WATABE)
<プロフィール>
1994年11月25日生まれ、東京都出身。血液型はA型。身長185cm。
父は俳優の渡部篤郎、母はRIKACO。
2013年10月、IN EASY MOTIONの舞台に出演し、その後も伊藤和重の演出助手を務める。2014年2月には、自身が主宰する劇団HANDS UP(ハンズアップ)の第一回旗揚げ公演『リリィの語り部』で、脚本・演出を手掛け、その才能に多くの注目が集まった。
2014年4月、LDH主催・RIKACO主演の『カルセオラリア』鈴木役で舞台に立ち、俳優として演技の幅を広げる。
2015年6月25日~28日まで上演される、HANDS UP 第二回公演『ルキアの使い手』では脚本・演出・主演の3役をこなす。

『ルキアの使い手』
公演期間:2015年6月25日(木)~28日(日)
劇場:シアターグリーンBASE THEATER
脚本・演出・主演:渡部樹也
出演:渡部樹也、桜井シュン、前野恵、齋藤萌香、岡本高英、KENTO
チケット料金:前売3500円、当日4000円
<一般チケット>
こちらの予約フォームよりお申し込みください
https://ticket.corich.jp/apply/64520/901/
主催:アリー・エンターテイメント
【お問い合わせ】
サイト:http://alii-inc.co.jp/
Mail:ticket@alii-inc.co.jp
※公演情報詳細は公式サイトにてご確認ください