Open Close

映画『ゆずりは』柾木玲弥インタビュー!「難しい役だけど、いつも以上に丁寧に演じました」

DSC_0428

モノマネタレントの重鎮、コロッケが、本名の滝川広志として初主演を果たしたことでも注目を集める、映画『ゆずりは』が6月16日(土)より公開した。新谷亜貴子の同名小説を原作とする本作は、実在の葬儀社を舞台に、“生と死”に真正面から向き合い、大切な人を見送る人々とその交流を描いたヒューマンストーリー。葬儀社に務めるベテラン社員・水島役を滝川、ある想いを胸に秘めた葬儀社の新入社員・高梨役を柾木玲弥が演じる。

妻を亡くしながらも悲しみを見せず仕事に邁進する水島の心を動かしていく、青年・高梨役を見事に演じきった柾木。これまでにない役がらに、「丁寧に向き合ったという」彼に、本作への思いや自身の近況を語ってもらった。

DSC_0418

― まず、脚本を読まれた時の率直な感想を教えてください。
凄く重い話なのかな、と思いながら読み始めたのですが、重いということではなく、それぞれの人の成長が描かれていました。僕の役は素直で純粋な人間なので演じるのが難しそうだなと思いましたが、脚本を読み終わると、ほっこりして温かい気持ちになりました。

― 高梨歩という役をどのように捉えましたか?
全ての行動や言動が素直で、裏表がない真っ直ぐな青年なので、素直過ぎて演じることが難しい。演じること自体が本当のことではないのに、それを素直に表現しないといけない・・・真の芝居だと感じました。

― 愛すべきキャラクターの高梨ですが、役作りのためにしたことは?
現場に入る前に何かを準備したということはありませんが、自分以外の人のセリフや行動を見て、気持ちを入れていきました。それによって素直な涙が出てきたり、素直に笑ったりできるんじゃないかなと考えて、いつも以上に丁寧に台本を読んだり、周りを見るように心がけました。

DSC_0438

― 泣くシーンが多いと思いますが、その時はかなり役に入りこんでいたのでしょうか?
すんなり役に入り込めた時もありますし、なかなか上手く演じることができないこともありました。そういう時は現場でとことん監督と話をし、突き詰めていって気持ちを作って演じました。

― 涙もろいキャラクターですが、柾木さんご自身もそんな一面があるんですか?
全くないですね(笑)。ほぼ泣かないと思います(笑)。

― 柾木さん演じる高梨は、自分の気持ちをストレートに表に出すタイプ。それに対して、滝川広志(コロッケ)さん演じる水島は、自分の気持ちを表に出さないという相対する二人ですが、滝川さんと共演されていかがでしたか? 滝川さんの印象も教えてください。
今回は本名の滝川広志さんとして演じていらっしゃったので、お芝居しているときは“コロッケ”さんを封印されていたように思います。お会いしたのは初めてだったんですが、とてもフレンドリーで、人見知りの僕にもよく話しかけてくださいました。誰にでも平等に接する優しい、明るい方なんです。色々なものに興味を持って話されたり、たまにモノマネしたり・・・。僕はモノマネしているコロッケさんしか知らなかったんですが、モノマネしていない滝川さんも素敵な方です。

でも、水島の役に入るとスイッチが入ったように変わるんです。監督ともよく話されていて、役に入り込んでいたという印象です。芸能界では大先輩なんですが、いち役者として臨んでいられて真面目な方なんだと思いました。

DSC_0440

― 高梨は人の懐に入っていくのが上手なタイプ。高梨と柾木さんご自身が共感する部分はありましたか?
高梨は自分とは正反対なタイプの人間。僕はすぐに他人と仲良く話すことができないし、人に好かれるようなことができるタイプでもないので、羨ましいなと思いました。

― 高梨は冒頭シーンから、中盤、終盤にかけて少しずつ表情も変わっていき、成長の変化が見てとれます。
成長していく時系列で撮影をしていたのではないので、やっぱり気持ちの持っていきかたなど難しさもありましたが、演じる時にその時の感情を1つ1つ確認しながら演じました。

― 劇中に出てくる高梨のオカメインコの話がとても印象的です。柾木さんご自身も幼いころの思い出は何かありますか?
小学6年生の時に拾った猫を飼ったんですが、すぐに死んじゃったんです。凄く悲しかった。なので、その部分はとても高梨に共感できました。

サブ (1)-1

― 本作では、それぞれの1つ1つのセリフがとても印象深いです。柾木さんが特に印象に残っているセリフやシーンは?
オカメインコのシーンで、「生きている間に言ってやればよかったな」というセリフがあるんですが、そのセリフを言っているときが一番自分自身、気持ちがグッと入ったセリフでした。悲しいんだけど、その言葉を言いながら優しい気持ちになれる印象的なセリフでした。

― 本作に出演する前と出演後で、意識が変わったことはありますか?
この作品で、泣いたり笑ったり、自分のセリフで女の子の気持ちを引き出したり、自分がキーとなる部分が多かったので、だからこそ丁寧に演じてきました。本作に出演し、これまで以上に、どんな小さな役でもしっかり丁寧にやっていこうと思いました。僕の役者人生において大きな影響を与えてくれた、難しい役でした。

― 作品を通して、“死”というものに対しての向き合い方や、考え方に変化はありましたか?
今まであまり考えることがなかったのですが、“死”は絶対にいつか来るものなんだと意識するようになりました。それをどう受け止めるのか、どのように繋げていくかということをこの作品で学ぶことができました。僕自身、まだ人生経験が多くはないので、(“死”というものが)重くのしかかるということはなかったですが、色々考えさせられました。

― 「ゆずりは」の老いた葉が若い葉を見届けてから散っていくという、作品名が映画を観るととても心に響きます。同じように年配の共演者から何か受け継いだと感じたことはありますか?
大先輩の方々なので、セリフ一言一言が心に響きました。でも、僕が今どう頑張ってもできるものではないので、自分がこれからも俳優を続けて歳を重ねていき、先輩方のようなセリフを言えるようになればいいなと思います。

DSC_0441

― 高梨が面接の時に「自分の長所と短所を言ってください」と言われます。ではここで、柾木さんご自身の長所と短所を言ってください。
え~と(しばし考えて)。短所は、1つに集中すると他のことがおろそかになる、ことです。でも、その分1つのことに凄く集中できることは長所でもあるんですが・・・。本当に物をよくなくしたり、忘れたりするんですよ。長所は、中途半端なことができない。自分のなかには0か100しかない。テンションがあがるとすぐ100になるし、下がると0になっちゃう。いい具合の中半端さを取れないのは短所でもあるかな?(笑)

― その短所を克服するために努力していることはありますか?
忘れ物を少なくしようと思ってはいます(笑)。

― 最近なにか忘れ物しました?
実は、財布を落としたんです。警察から「落ちてました」と連絡をもらって、さっき取りに行ってきました。現金はなくなっていましたが、免許証とか、保険証とか全部財布に入れていたので、出てきて良かったです。本当に気をつけます。

サブ2

― 葬儀会社の社員を演じて、葬儀会社の意外な発見などありましたか?
葬儀会社のことをあまり知らなかったんですが、皆さんが信念を持ってお見送りしていて、自分の仕事に誇りを持っていらっしゃるんだなと感じました。言葉使いや細かい所作も指導していただきましたので、実際の様子に忠実にやっています。

― まだずっと先の話ですが、もしご自分が最期を迎える時に周りの人に言っておきたいこととは?
僕が死んだときは「できるだけ早く僕のことは忘れていほしい」と言いたいです。それは、僕のことで悲しんでいるよりも、もっと前に進んでほしいという気持ちがあるからなんです。

DSC_0423

― 柾木さんがモットーにしている言葉は何ですか?
本当に作品とは関係ないんですが・・・、「男女の友情は片思いのすれ違い」という言葉を信じていて、絶対に男女の友情は成立しないと思っているんです。これは重い言葉ですね(笑)。

― 柾木さんが今ハマっているものは何ですか?
最近、スポーツ番組をよく観ます。卓球、野球、サッカーなど観ています。卓球は部活でやっていたんで。自分も卓球やりたいんですけど、相手がいないとできないですからね(笑)。

― 俳優以外にやりたいことは? 俳優の魅力な何でしょう?
今、俳優以外にやりたいことはないですね。俳優の魅力は、その場(現場)で)結果を残せるかどうかが勝負なところでしょうか。その役を演じるために、準備して気持ちを作って、いざ本番になって演じる。僕はまだ駆け出し中ですので1つ1つの作品で結果を出して次に繋げていきたいと常に考えています。毎回、物語も役も違うので楽しいです。

― 目標にしている俳優の方はいらっしゃいますか?
目標とは少し違いますが、阿部サダヲさんのようなお芝居ができるようになりたいなと思っています。主演の邪魔はしないけれど、自分も輝けるような俳優になりたいです。

― この作品をどのような方にご覧いただきたいですか?
若い方が観て感じるものと、人生をたくさん経験されている方が観て感じるものは違うと思いますので、ろうにゃくにゃんにょ・・・あれ、ちがう(笑)、老若男女、色々な方に観てほしいです。

― 最後にこれから本作をご覧になる皆さんにメッセージをお願いします。
この作品には亡くなった方をどう見送るのか、その気持ちをどう次に繋いでいくのかが、色々な人の思いと成長と共に詰まっています。お身内や親しい方を亡くされた経験のある方も、まだそいういう経験がない方も、ぜひ観ていただいて、誰にでもいつかはくる“死”というものの受け止めかたを色々感じていただけたら嬉しいです。

【柾木玲弥(まさきれいや)プロフィール】
1995年、3月24日生まれ。北海道出身。血液型はB型。
2009年、第22回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストで審査員特別賞受賞をきっかけに現在の事務所に所属。以降『みんな!エスパーだよ!』、『ライチ☆光クラブ』ほかテレビドラマ「学校のカイダン」(NTV)、「ラブホの上野さん」(CX)などにも出演し多岐にわたり活躍。7月にはテレビ東京「インベスターZ」、10月には日本テレビ「今日から俺は!!」にそれぞれレギュラー出演。

ポスタービジュアル-1

映画『ゆずりは』
<ストーリー>
「死」と向き合う現場で、命の尊さと大切な人への思いを描く
長年、葬儀の仕事に携わってきたことで、心を押し殺すことに慣れてしまった水島。遺族の前では決して涙を見せない彼が、一見、軽薄そうに見えて繊細な心を持つ若者、高梨と出会ったことで熱い感情を取り戻していく。永遠の別れと再生を描いたハートフルな人間ドラマ。
「ゆずりは」とは・・・春に枝先に若葉が出たあと、前年の葉がそれに譲るように落葉することから、その名で呼ばれる。

監督:加門幾夫
脚本:吉田順 久保田唱
出演:滝川広志 柾木玲弥 原田佳奈 高林由紀子 島かおり 勝部演之
原作:新谷亜貴子「ゆずりは」(銀の鈴社刊)
©「ゆずりは」製作委員会
公式サイト:http://eiga-yuzuriha.jp
配給:アジアピクチャーズエンタテインメントエレファントハウス

新宿K’s Cinema、 イオンシネマ板橋ほか全国順次公開中

柾木玲弥さん、直筆サイン付きチェキプレゼント
応募はこちらから

DSC_0444