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夏帆、「ずっと悩んで演じていた」 瑛太には「圧倒されっぱなしだった」 映画『友罪』公開記念ティーチイン

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映画『友罪』の公開記念ティーチインが、6月7日、東京・TOHOシネマズ 新宿にて行われ、キャストの夏帆と、瀬々敬久監督が登壇。観客から熱心な質問が飛び交うイベントが繰り広げられた。

5月25日より公開され、“衝撃の問題作”と賛否を呼びながらヒットスタートをきった映画『友罪』。本作は、隣にいる友人が、かつて世間を震撼させた事件の元少年Aだったら・・・?」という、難解なテーマに、元ジャーナリスト・益田と、元少年A・鈴木、そして彼らを取り巻く人々が抱える罪や後悔と向き合う姿を描く。益田役を生田斗真、鈴木役を瑛太が演じ、鈴木に惹かれていく藤沢美代子役を夏帆が扮する。

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上映後、大きな拍手で迎えられ登場した、夏帆と瀬々監督。出演前から瀬々組の参加を楽しみにしていたという夏帆は、瀬々監督について「誰よりも映画を作ることに真っ直ぐで、その熱量が凄いんです」と語り、「組全体が瀬々さんのために映画作りに力を注いでいた」と伝える。

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それでも、壮絶な過去に人生を振り回される美代子という難しい役どころ。「この映画を観ても正解はわからない」と話しつつ、「演じていて、頭で分かっていても生理的に理解できず、ずっと悩んでいました」と振り返る。さらに、「美代子は、私の日常の延長線上で演じられる役がらではない。もし自分が惹かれている相手が、過去に大きな罪を犯していることを知ったら私自身はどういう選択をするのだろうと、ずっと考えていました。答えはまだ出ていません。何も掴めないまま撮影が終わった気がします。監督からは『限界を超えてくれ!』と何度も言われました。本当にしんどかった・・・。でも、完成作品を観ると、それはそれで良かったのかもしれないと思いました」と続け、真摯に役に向き合った苦労を明かした。

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瀬々監督は、そんな夏帆を見て「美代子役は、ハマり役」と断言。観客から「次に夏帆さんを主役にするとしたらどんな作品で、どんな役にしますか?」と問われると、監督は「『ミスター・グッドバーを探して』(78)ような作品で、“昼は女教師、夜は娼婦”みたいな役とかいいかな」と答え、思わぬ役どころに夏帆も苦笑い。すかさず「あ、セクハラっていわれちゃうかも(笑)」と慌て、会場の笑いを誘う場面も。

また、「瑛太さん演じる鈴木のリアリティがとにかくすごかったです」と感想を述べた観客からは、「瑛太さんをキャスティングした理由は?」との質問が。「映画『64-ロクヨン-』に出演したときの瑛太さんの印象が良かった。彼はテスト(撮影)のたびに違う動きをするんです。自由な発想を持っていてミュージシャン、パフォーマーのよう。『お客様に理解されないところがあってもいいと思って演る』という言葉が印象的だったので、自由にやってもらったんです」と吐露。

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元少年A役を演じた瑛太。その異様な狂気を秘めた演技に夏帆は「ずっと圧倒されていました。一緒にお芝居をしていて怖かったですね」と本音をこぼす。「その演技を受け止めきれるのか、その空気感を自分も持っていくことができるかなと思いました。いまでも鈴木の表情が忘れられないです。本当に凄い役者さんだと思います」と、瑛太の存在感を絶賛。

瀬々監督も「夏帆さんと瑛太さんがいて、いい化学反応になり、あの独特な空気感が出たのだと思います」と満足そうに語っていた。

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最後に夏帆は「この映画は正解のない作品だと思います。賛否もあると思いますが、何か心に引っかかるものがあれば、皆さんでお話してもらいたい」とコメント。瀬々監督は「答えを探しながら作っていった映画です。(生田演じる)益田くんが『公園で飲もうか』と鈴木を誘うシーンで、鈴木が嬉しそうな顔をして『コンビニでつまみでも買って』と言うところがあります。それは加害者が何気ない、かけがえのない時間を感じる、僕が好きなシーンです。ああいう宝物のような時間を、犯罪者だった人の何かを解き放ったり、逆にかけがえのない時間奪ってしまったことに気づく。そういう瞬間を与えてあげることができるのは友達だったり家族だったりするのかなと、自分自身が映画を観て思いました。千差万別でいいので、この映画を観て何かを感じ取っていただければ」とメッセージを伝え、イベントを締めくくった。

映画『友罪』
【ストーリー】
ある町工場で働き始めた、元週刊誌ジャーナリストの益田(生田斗真)と、他人との交流を頑なに避ける鈴木(瑛太)。共通点は何も無かった二人だが、同じ寮で暮らすうちに少しずつ友情を育ててゆく。そんな折、彼らが住む町の近くで児童殺人事件が起こり、世間では17年前に日本中を震撼させた凶悪事件との類似性が指摘される。当時14歳だった犯人の少年Aはすでに出所しており、その後の行方を知る者は少ない。果たして今回の事件も彼の犯行なのか…。驚きと疑問に突き動かされ、ネットに拡散していた少年Aの写真を見た益田は愕然とする。そこにはまだ幼さの残る鈴木が写っていた―。

監督・脚本:瀬々敬久 (『64-ロクヨンー前編/後編』)
原作:「友罪」薬丸岳(集英社文庫刊)
出演:生田斗真 瑛 太 夏 帆 山本美月 富田靖子 佐藤浩市
配給・宣伝:ギャガ
(c)薬丸 岳/集英社 (c)2018映画「友罪」製作委員会
公式サイト:http://gaga.ne.jp/yuzai/

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