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松坂桃李は“ペラペラペラ男”!? 蒼井優も「この映画はクズ合戦!」 映画『彼女がその名を知らない鳥たち』ジャパンプレミア

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映画『彼女がその名を知らない鳥たち』のジャパンプレミアが、9月28日、東京・新宿バルト9にて行われ、W主演の蒼井優と阿部サダヲ、共演の松坂桃李、竹野内豊、監督の白石和彌が舞台挨拶に登壇した。

沼田まほかるの人気ミステリー小説「彼女がその名を知らない鳥たち」を『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』で知られる白石和彌の手で実写映画化した本作は、最低な女と男が辿る究極のラブストーリー。嫌悪感を抱きながらも男の稼ぎで怠惰な生活を送る自分勝手で嫌な女・十和子を蒼井、彼女に異様な執着を見せる不潔で下劣な15歳上の男・陣治を阿部、そして、妻子がありながら十和子と肉体関係を結ぶ下衆な男・水島を松坂、十和子が思い続ける昔の恋人で、自分の身を守るための道具として彼女を扱うクズな男・黒崎を竹野内が演じる。

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上映前の舞台挨拶ということで、「ワナワナしています」と観客を前に心境を明かした蒼井。「ここにいる全員の方に嫌われるだろうなと思いますが、本当にいい映画なので・・・」と挨拶。松坂も「僕のことも嫌いになると思います」と続け、松坂の名前入りのウチワを持った観客を見つけると「帰りにはゴミ箱に捨ててると思います」と言って会場の笑いを誘った。
竹野内も「クズしか出ていない映画を観に来てくださってありがとうございます」と言いつつ、「誰ひとりとして共感できる人はいないと思いますが、なぜか観終わったあとに心を揺さぶられるステキな映画になっています」とアピール。

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最低な女性を演じた蒼井は、「出演のお話をいただいたときは阿部さんと白石監督しか決まってなかったんですが、このお二人とお仕事できるんだと、喜んで引き受けました」としながら「(脚本を)読めば読むほど最低で演じれば演じるほど最低思ったとけど、松坂さんと竹野内さんが出演されて、私より最低の人が出てきて救われた。クズ合戦でした」と笑う。また、自身が演じる役について「共感できるところはないと言いたいんですが、女性が常識や人間関係などで排除している選択肢の全部を現しているので、分かると思う部分もあるかと」と分析し「どうかお手柔らかに観てください」と頭をさげた。

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全く清潔感のない不潔な男を演じた阿部は「現場に行ったらすぐに汚されるので、もうどうでもいいかな・・・と」と演じる上での苦労はないと話す。ただ、その汚れっぷりに関して監督のこだわりが強かったようで「観ている方にわからないかもしれないけど、足の指の間にもゴミが入っているんです。毎朝それをつけられて・・・(笑)。爪も波爪にするためにネイルアートまでしました」と阿部も驚くほどの徹底ぶりだったようだ。

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誠実そうなルックスとは裏腹に薄っぺらな男を演じた松坂は「 “下衆”の一言につきる、ペラペラで女性の敵だろうなと。本当に『ペラペラペラ男』です」と宣言。役がらに共感できる部分はあるか?と問われ、「共感できたら終わりだなと思います!」と言い切った。すかさず「でも何も説明しなくても出来てたよね」と監督。「なんでこの役を引き受けたの? 僕が松坂桃李だったら引き受ける理由が見つからないな」と笑うと、松坂は「ここまで薄っぺらな男もなかなか演じられない、面白そうだなと思って是非やらせてくださいと言いました」と答え、役者魂をのぞかせた。

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十和子と別れる時に彼女の心にも身体にも傷が残る手酷い仕打ちをした男を演じた竹野内は、撮影の苦労を聞かれ「素晴らしい作品、豪華なキャストが揃う中、僕でいいのかという不安もあったが、監督が的確なヒントを投げてくださった。楽しい現場で苦労というより幸せな時間でした」としみじみ。それを受けて監督は「僕はクズが出てくる映画をたくさん撮っていますが、その中でも歴代ナンバーワンのクズだったので、竹野内さんがやってくれてテンションあがりました」と語り、竹野内も苦笑い。

完成作品を観た阿部は、松坂と竹野内の役がらについて、「なんなんだ、コイツらはと・・・。ひどくて悔し泣きした。2人とも殺してやりたいですね(笑)。2人とも甲乙つけがたいほど最低です」と熱弁。「でも普段はお二人ともいい人ですよ」とフォローし、「竹野内さんと僕は同い年。こんな同い年ある?」とジョークを飛ばして、会場を沸かせていた。

今作で阿部、松坂、竹野内と初共演となった蒼井。それぞれの印象を「阿部さんは軽やかに芝居をされる方なので、一緒に飛べるようにしようと思いました」、「松阪さんはこんな薄いセリフをよく真顔で言えるなと(笑)。本当にペラペラペラ男の水島が目の前にいて感動しました」、「竹野内さんはいつも気を使ってくださいましたし、まさかオファーを受けてくれるとは思わなかった。映画の核になるところに興味を持って話すことができ、一緒に映画を作れる方なんだなと思いました」とコメント。そんな蒼井に対して竹野内は「いつかご一緒できたらいいなと思っていました。本物の女優さんだなと改めて感じることができた。飾り気のない普通の感覚を持った方で、その人間性が役を通して役が深くなっている。女優である前に蒼井さんがステキな女性」と絶賛。

一方、松坂は蒼井との印象に残っているシーンについて「いっぱいあるけれど・・・」と前置きし、「大阪城のシーン」をあげ、「こんなにキレイな夜景のなかで・・・。あれは凄かった」と伝えると、登壇者もみな同意。蒼井も「大阪の人に怒られるんじゃないかと思うくらい最低なシーン」と語った。

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誰が一番最低かと聞かれた竹野内は「役者が一生懸命演じているのに、一番喜んでいたのは監督。監督が一番最低かも(笑)」と述べると、監督は「突き詰めると、十和子が一番最低なのかも」。
松坂は「阿部さん以外はみんな最低かも。撮影で絡みがあまりなかったお二人(阿部と竹野内)ですが、5人こう揃ってみると最低同士の「仲間だ!」という連帯感がある」と満足げ。蒼井から観た一番最低な人は「松坂さん! あ、松坂さんじゃなくて水島。本当に最低でした。水島とのシーンは私に感情移入して観ていただきたい」と言い放った。

すると、監督が「ただ、色々上手いけどね・・・」とニヤリ。そんな意味深発言に、自身の際どいシーンを指摘されたと気づいた松坂は「もう、ちょっとダメだ。もうすぐ朝ドラが始まっちゃうから」と、慌てて10月にスタートするNHK朝の連続テレビ小説「わろてんか」を話題に出して制すも、蒼井も「出番減っちゃうかもね」と茶化し、会場を沸かせていた。

なお、イベントでは本作が第12回ローマ国際映画祭のオフィシャルセレクションへの出品が決定したことも発表され、監督は「クズとか最低だと言っていますが、僕としては美しく愛おしく映画になったと思っています」と胸を張り映画公開に期待を持たせた。

映画『かの鳥』_本ポスタービジュアル

映画『彼女がその名を知らない鳥たち』
<物語>
八年前に別れた男・黒崎を忘れられない十和子は、今は15歳上の 男・陣治と暮らしている。下品で、貧相で、地位もお金もない陣治を激しく嫌悪しながらも、彼の稼ぎで働きもせず日々を過ごしていた。ある日、十和子は黒崎の面影を思い起こさせる妻子ある男・水島と関係を持 ち、彼との情事に溺れていく。そんな時、家に訪ねてきた刑事から「黒崎が行方不明だ」と知らされる。どんなに足蹴にされても文句 を言わず、「十和子のためなら何でもできる」と言い続ける陣治が、執拗に自分をつけ回していることに気付いた十和子は、黒崎の失踪に陣治が関わっているのではないかと疑い、水島にも危険が及ぶのではないかと怯え始める――

蒼井優 阿部サダヲ
松坂桃李 / 村川絵梨 赤堀雅秋 赤澤ムック・中嶋しゅう / 竹野内豊
監督:白石和彌
原作:沼田まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち」(幻冬舎文 庫)
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
製作:映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
配給:クロックワークス
(C)2017映画「彼女がその名を知らない鳥たち」製作委員会
2017年/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/123 分 【R15】
公式サイト:http://kanotori.com
公式twitter:https://twitter.com/kanotori_movie
公式Facebook: https://www.facebook.com/kanotori.movie/

10月28日(土) 新宿バルト9他 全国ロードショー