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第29回東京国際映画祭:中野量太監督『湯を沸かすほどの熱い愛』 への熱い思いを語る!「食卓は家族の象徴です」

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10月27日、第29回東京国際映画祭「Japan Now」部門にて『湯を沸かすほどの熱い愛』が、東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズで上映され、中野量太監督が登壇。作品への思いや制作秘話を語り、観客からの質問にも笑顔で答えた。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』は、“死にゆく母と、残される家族が紡ぎ出す愛”をテーマに、驚きと感動に溢れた物語。余命2ヶ月を宣告された母が、最後に「絶対にやっておくべきこと」を決めて行動することでぶつかり合いながらも家族の絆を深めていく様を描く。“お母ちゃん”こと双葉役を宮沢、双葉の娘・安澄役を杉咲、旅先で双葉と出会う青年・拓海役を松坂、双葉の夫・一浩役をオダギリジョーが演じる。

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本作で商業映画デビューを飾った中野量太監督。この作品には“こだわり”を持って臨んだそうだ。
まず、「ラストのシーンは、自分が映画学校の卒業制作作品と同じなんです」と明かし、「でも、もっと自分らしく説得力のある作品にしたかったんです。映画だからこそのラストの部分を成立させるために、ていねいにていねいに作り上げました」と語った。
“家族のかたち”もテーマの一つになっているが、「家族には色々なケースがあるので、それぞれの家族が、家族の定義だと思います。ただ、僕が考える家族の象徴は『食卓』じゃないかなと。なので、自分の(家族が存在する)作品には必ず食卓を囲む場面を入れています」と、こだわりをみせた。

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また、「脚本にもこだわりました」と話し、この脚本があってこそ、素晴らしいキャスティングが生まれたと、自信をのぞかせる。「宮沢りえさんは、脚本を読んで出演をOKしてくれました。でも、『紙の月』(第38回日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞受賞)の次がこの作品ですからね・・・(笑)。彼女の男気ならぬ女気?が凄いですよね」とコメント。難しい役どころを見事に演じた杉咲花については「彼女は芝居の感度が凄い。この世代ではなかなか(この役を)演れる人がいないんですが、花ちゃんは演じきってくれると信じていました」と、絶対の信頼を寄せていた様子。

観客から「本当は松坂桃李さんを目当てに観たんですが、あまりに作品が素晴らしすぎて、松阪さんを意識して見るのを忘れていました」と声がかかると、「松坂くん自身が、『僕は拓海という青年に似ているところがあるんです』と話していました。彼はそんなに役作りをしてないんじゃないかな?自分の持っているものを出していたかもしれませんね」と監督。続けて「実は、車の中のシーンはアフレコです。周りの音があまりにも大きかったので。でも本当に上手でした」と裏話も明かしてくれた。

「おかあちゃん」「おとうちゃん」のモデルはいますか?という問いには、監督は「自分のなかの嘘の感情は使いたくなかった」と、ここでも一つのこだわりを見せ、「自分の母親がモデルということではないが、自分のなかで『母親ってこんな感じかな』というイメージがあったかも」と吐露。「おとうちゃんに関しては、女性が強ければ男性が弱いですよね。イコール=お父ちゃんの人物像は僕です(笑)」と、あっけらかんと笑っていた。

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最後に、中野監督は「伏線を色々振っているので、ぜひ何回でも観てください。2回目に見ると泣けちゃうシーンもあります」とPRし、笑顔で会場をあとにした。

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』
<STORY>
私には、死ぬまでにするべきことがある。 銭湯「幸の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から、彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め実行していく。家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる、気が優しすぎる娘を独り立ちさせる、娘をある人に合わせる…母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うものだった。ぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく家族。そして母から受けた大きな愛で繋がった家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。

監督:中野量太
キャスト:宮沢りえ 杉咲花 篠原ゆき子 松坂桃李 駿河太郎 伊東蒼
オダギリジョー
配給:クロックワークス
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
公式サイト:http://atsui-ai.com/

10月29日より東京・新宿バルト9ほかにて全国ロードショー