後)中村まこと 相葉裕樹 松田るか 永田崇人 彩吹真央
前)平間壮一 井上瑞稀 成河 ウォーリー木下
原作「W3(ワンダースリー)」は、1965年~1966年まで「週刊少年サンデー」に連載されたSF漫画で、テレビアニメ版は全52回を放送し、当時の子どもたちが夢中になった人気作。この日本が世界に誇るマンガの神様・手塚治虫の名作を、福田響志の脚本、ウォーリー木下の演出、和田俊輔の音楽で舞台化。人形劇団ひとみ座による人形操演や、プロジェクションマッピングなどを駆使して、SF活劇を描き出す。
取材会冒頭でウォーリー木下が「舞台稽古は順調に進んでおります。稽古場の何もない中で作ったものが、いろんなスタッフの作品と役者の演技がくっついて、どんどん見たこともない世界が出来上がりつつあります。「W3」とは7年前に関わり始めて、夢のあるモチーフ、大好きないろんなモチーフが入っていて、それを演劇で作ることの難しさも感じながら、高い山だから頑張って登りたいという気持ちを持って今回も挑んでます。なんとか頂上が見えそうな気がしてますので、ぜひ楽しみにしていてください」と意気込みを述べた。
井上瑞稀は演じる星真一について「なかなか自分の気持ちや、夢みたいなものを発信するのが得意じゃなかったりします。ただ、いろんな人との出会いや繋がりを通して、新一がどう成長していくのかを皆さんに楽しんでいただけたらと思います」と紹介。
平間壮一は真一の兄・星光一役。「日本の諜報機関のリーダーをやっています。意気込みはウォーリーさんが『子供から大人まで楽しめる作品になればいいな』と言っていて、僕も同じことを思っています」
ワンダースリー・プッコ役の永田崇人。「宇宙から地球に派遣されて、この地球という星を救うべきか滅ぼすべきか、と調査に入るわけですけれど、最初はすごく地球人や地球があまり好きじゃない。でもいろいろなことに魅了されていく役です。一丸となってやってる作品で、それがすごくいいところだと思っています。無事開幕できるように頑張っていきたいと思います」
ワンダースリー・ボッコ役は松田るかは「今回、反陽子爆弾という大きな爆弾を持って地球にやってきます。このボタンの所在は我々にあるので、多くの人に観に来ていただけないとどうなるかと。(成河が「押しちゃうぞ~」)」押しちゃうぞ~。(笑)楽しんでいただければと思っております」と、ユーモアいっぱいのコメント。
ワンダースリー・ノッコ役の相葉裕樹。「ワンダースリー3人の中ではだいぶおっとりしているというか、抜けている感じですけれども、3人のバランサー的なところの役どころでもあります。見どころは、本役以外にも全員一致団結してコロスを演じているので、いろんなところで出演しています。僕はコロスを演じることが初めてだったので、すごく新鮮に思っています。お客様も初めて見るような表現の作品になるのではと思います。劇場でお待ちしております」
星兄弟の母を演じる彩吹真央。「家族やみんなとの交流を見て『地球っていいところだな』と宇宙人みんなに思ってもらえるように、そして『私たちが今住んでるこの地球は本当にちっぽけだけど、あったかいんだな』とお客様に感じていただけたら嬉しい。情報機関F6という違う役では、役者として楽しみたいと思っています。手塚先生とウォーリーさんの世界観の化学反応が刺激的なので、私もみんなも楽しみながら、お客様に楽しんで頂けたらいいなと思っております」
ハム・エッグ役は中村まこと。「ハム・エッグは手塚先生がデビューする以前の落書き超のようなものに、すでに登場しているという大変由緒ある歴史あるキャラクターです。「W3」は1965年の6月6日、まさに60年前の今日に放送開始で、今日は記念日です。今日は僕も当時、初回放送ではないですが、多分その2年後ぐらいの再放送を家のちっちゃい白黒テレビで見て、夢中になった思い出があります。内容はほとんど覚えていませんが、ビッグローリーというタイヤのでっかい乗り物に乗りたくてたまんなかったです。
原作コミックには何コマしか出ていないハム・エッグですが、今回組み入れてくださり、奥行きを与えてくださっているのがくすぐったいのですが、そこにやりがいを感じています。人間の善と悪をよく表している人物なので、単なるヒールではない、ちょっと難しいですが、それを表現できたらいいなと思っています。出番がないところを見ていると『え~』と楽しさ満載です」
ランプ役の成河は「ハム・エッグと一緒で、かなり初期の頃から手塚さんの漫画のいろんなところに出てくる役で、バイプレイヤーです。それをスターシステムなんて呼んだりしますけど、全然設定の違う漫画でも出てきて、人気があるかと思います。今回また新しい視点をいただきました。エーグニという架空の独裁国家の幹部で、非常に大きな野心を持っています。星兄弟と我々が、見た目の平和や正義と対峙して、その真意を問うような存在です。
すごい座組で見どころはいっぱいありますが、正しく手塚治虫作品だなと思うところはやっぱり本当に幅広い年齢層の方に見てもらえる。その中で非常に高い専門性や社会性を帯びたものがきちっとの中に入って作れているような気がします」
井上瑞稀はキャスティングについて「真一が原作とは違う、内側にこもるような真一を描くとなって、割と早い段階でウォーリーさんが『こういう問題児にするなら、井上瑞樹がいいんじゃないかという提案をした』と、福田響志さんから聞きまして。問題児キャスティングされているんです」と切り出すと、ウォーリーは「2年前のミュージカル『ルーザーヴィル』で一緒だったとき、(井上が)1回も喋らなかった。本当にずっと何か書いてる。何を考えてるんだろうと、逆に興味を持って僕の方から話しかけるぐらいで。でも劇場に入ってから急激に焦ってきたのか、声出しし始めた。こんな二面性だから、普段は何も喋らないけど、いろんなこと考えていて、考えていることが爆発する瞬間を劇場まで待った感じで、今回の役を考えるときのモチーフになっているぐらい。瑞稀が真一をやるなら、こういうことを言ったらどうだろうと、響志と相談しながら作業しました」と明かした。
そんな井上の座長ぶりについて、「スゴイです」と言う声があがると、井上は「嘘じゃん!」。実は自分からは全然話しかけなかったそうで、平間が「黙ってる姿がどしっと構えてるようにも見えるんです。いろんなこと思ってるんだろうなと。だからちょっと恐れております」といえば、成河からも「稽古最終日にカーテンコールの位置を作る稽古の最後に急に『スタッフの皆さま、本当にありがとうございました。みなさまでこのまま頑張っていきましょう』みたいに喋り出して。狙いを定めている座長っぷりが素晴らしかった」と声が上がった。
最後に井上からの「60年前の作品ですが、描かれている問題は今も我々の現実なのかなと思ってます。この作品が少しでも地球の未来について考えるきっかけになってくれたらと思います。皆さん、シアターミラノ座でお待ちしています」というメッセージで取材会は終了した。
登壇したキャスト陣の衣裳・メイク・ヘアスタイルからも、ウォーリー木下とスタッフ陣のこだわりが感じられ、公演ではどんな演出・魔法が駆使されるのか、興味は尽きない。
『W3 ワンダースリー 』
東京公演:2025年6月7日(土)~29日(日) THEATER MILANO-Za
兵庫公演:2025年7月4日(金)~6日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール原作 手塚治虫 「W3(ワンダースリー)」
脚本・作詞 福田響志
演出・上演台本・作詞 ウォーリー木下
音楽監督・作曲・作詞 和田俊輔
出演 井上瑞稀 平間壮一/永田崇人 松田るか 相葉裕樹 彩吹真央 中村まこと/成河
冨永 竜 石井雅登 早川一矢 手代木花野 石井千賀 大倉杏菜
<人形操演>中村孝男(人形劇団ひとみ座) 高橋奈巳(人形劇団ひとみ座)
松本美里(人形劇団ひとみ座/東京公演) 奥洞 昇(人形劇団クラルテ/兵庫公演)
<スウィング>白山博基 森田有希
制作協力 手塚プロダクション
製作 フジテレビジョン ミックスゾーン キューブ シーエイティプロデュース
企画 シーエイティプロデュース
公式サイト https://w3-stage.com/
公式X @w3_stage